プロローグ
処女作です。楽しんでくだされば幸いです。
フルダイブ型VRMMO最新作ゲームソフト―《infinite・potential・online 》―――通称「IPO」
過去に発売されたものとは一線を画す最新型VRゲームだ。
今から7年前、世界初のフルダイブ型VRMMOがアメリカで発売され、その後すぐに日本でも発売された。当時は爆発的人気を誇り、どこに行っても、予約販売、店頭販売ともに即日完売な状態だった。しかし、それも2年もたてば落ち着き、今は、最新作ソフトの発売日から半年ほど品薄状態になるだけだ。
そんな中、フルダイブ型VRMMO――《infinite・potential・online》の情報及び値段の公表とともに、βテストが募集され、2週間後にはβテストが始まった。
βテストの開始時は、他のゲームでは抽選になるはずのβテストの募集枠が、少し余るほど人気がなかった。なぜなら、制作会社が無名だったことに加え、値段が倍以上高く、他のゲームの価格が5000~20000円であるのに対して「IPO」は50000円位だったからである。
しかし、その評価はすぐに変わった。βテスターがこぞって高評価をつけたからだ。
曰く、人類種だけでなく、魔物や妖怪などの人外にもなることができ、ロールプレイなども楽しめる。
曰く、NPCが人間と比較して遜色のないAIを搭載している。
曰く、グラフィックの質、画質、画面解像度がとても高く、まるで現実のようである。
曰く、五感の完全再現に成功している。(過度な感覚刺激は制限され、小さくなる)
曰く、自由度がほかのゲームと比較して、とても高い。
等々の様々な未公開情報が、βテスターにより掲示板に挙げられた。
それからは、予約の嵐だった。全国から予約が殺到し、予約枠はすぐに埋まった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
俺、九重 修は、仕事の都合でβテストには参加できなかったものの、ソフトの予約は予約開始日からしていたのである。
何故、人気のないソフトを予約したのかというと、別段深い理由はない。調べもせずに最新作のソフトを予約したら、たまたまそれが、人気がなかっただけだ。
俺は、50000円は少し高い気がするなと思いながら、そのソフトについて調べてみて、あまり人気でないことを知った。久しぶりに買ったゲームだったので残念だなと思ったが、新しく他のゲームを買うお金はないので、これで我慢するかという思いだった。
2週間後、βテストが始まったことを知り、もう一度掲示板をのぞいてみた。掲示場版ではテスターが揃って高評価をつけ、今まで低評価をつけまくっていた世論も逆転していた。俺はそこに書いてある二文を見つけ、目を輝かせた。それは・・・
【人類種だけでなく、魔物や妖怪などの人外にもなることができ、ロールプレイなども楽しめる。】
【グラフィックの質、画質、画面解像度とても高く、まるで現実のようである。】
俺は、この言葉を見たとき、早くゲームをプレイしたくて発売日が待ち遠しくなった。
今までのゲームでは、【人間】、【エルフ】などの人類種しかなることができず、グラフィックの質、画質、画面解像度が低く、とても現実のようであるとは思えなっかたからだ。
その日から約一か月がたち、やっと発売日が来た。今日の午後までには届くはずだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「ピンポーン」
「宅配便で~す」
俺は急いで取りに行く。
「九重様でお間違えないですね。ここにサイン頂けますか?」
「はい、ありがとうございますー」
そういうと宅配便の人は帰っていったので俺も部屋に戻った。
「ヤッター!ゲームが来たぞー」
おっと、大人げない声を上げてしまったがゲームをプレイするのが待ち遠しかったのは確かだ。
さて、説明書を読んでっと、え~と、ベットに横になって体をスキャンするんだったかな・・・次はソフトのダウンロードだ。
【ソフトのダウンロードが完了しました。】
よし、ダウンロードが完了した。では、次はお待ちかねのログインだ。
『ログインしますか? yes/no 』
yesと思った瞬間、目の前にカウントダウンが現れた。思考入力なのだろう。 5,4,3,2,1・・・
―――ようこそ、《infinite・potential・online》へ―――