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 1白い手袋  作者: ベン マウント
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協力依頼

ある日の夜の事だ、佳代子と映画を見た帰り道、人通りの少なくなった歩道を歩いていると、爆音を響かせて、オートバイの群れが通り過ぎた

「うるさいな、馬鹿たちが」

そう言うと、佳代子も

「そうね、いくら科学が発達しても、馬鹿につける薬はないものね」

言いながら歩いて行くと、少し先にオートバイの群れが止まっていた、無視して通り過ぎようとすると

「おい、今何か言ってなかったか」

オートバイから降りた一人が、話しかけて来た、あの騒音の中聞こえる筈はないが、俺の表情から察したのだろう、だが、その偉そうな態度にムッとした

「迷惑な奴等だなと話していたけど、それが何か」

「何だとてめえ、女の前だからって、カッコつけるんじゃねえぞ」

そう言って近づいて来た

「ほお、世間に迷惑をかけていないというのか」

「うるせえなあ、俺たちの自由だろう」

「世間に迷惑をかけて喜ぶことを、自由とは言わないんだよ、迷惑行為って言うんだ、覚えておけ、馬鹿には覚えていられないだろうがな」

佳代子が面白そうに聞いている

「この野郎、カッコつけやがって、痛い目を見たいようだな」

「止めておけ、痛い目を見るのはそっちだぞ」

「うるせえ」

数を頼んで負けるとは思っていないようだ、殴り掛かって来た、その手を交わしながら持つと、放り投げる、十数人いる奴らが、俺たちを取り囲むと、掛かって来た、一斉にはかかれないので、二、三人ずつ掛かって来る、振り払うようにして投げ飛ばす

「こいつ強いぞ、こうなったら女を捕まえろ」

佳代子にも掴みかかって行った、それを佳代子は、俺と同じ様に振り払うようにして、投げ飛ばしている

「何なんだ、この二人は、構わん、こうなったら得物を出せ」

男の掛け声と同時に、金属バットや木刀を持ち出してきた、俺たちにとってチンピラたちの動きは、高速度カメラで撮影したようにゆっくりに見える、得物を持った手を端から叩いていく、得物を持っていた奴全員、得物を地面に落としてしまった

「まだやるか」

俺も佳代子も息切れもしていない

「まだの足りないようだな」

もう少し脅かしてやろうと、まだ立っている男たちを、もう一度投げ飛ばし始めると

「分かった、悪かった、もう許してくれ」

そう言って両手をついている

「おいおい、金属バットや木刀まで出して、俺たちをやろうとしたくせに、自分たちが不利だと許してくれだと、自分たちが道具まで持ち出して、だったらやられる覚悟だって出来ているはずだよな、参ったといえば許されるなんて、甘い考えじゃあないよなあ」

落ちていた金属バットを拾うと、リーダーらしき男の頭上で、ブーンと一振りする、その音に男は腰を抜かしたようだ、地面に座り込みジーパンの又のあたりが、黒く濡れだしたが、まだ許すつもりはない

「さあ、殺すわけにはいかないから、全員、足を折るか、手を折るか、リクエストを聞いてやる、まずお前からだ、足が良いか、腕にするか」

「助けてください、もうしません、許してください」

両手を合わせて拝んでいる

「俺は神でも仏でもない、お前は、相手が許してくださいと言ったら、許してやったか、そうじゃないだろう、あきらめろ」

そう言うと、気迫を込めてバットを振り上げ、移ふりをする、目の玉が飛び出しそうなほど目を見開き、バットを見て男は気絶してしまった、周りで見ていた男たちは、いつ自分の番が来るかと、全員股間を濡らして恐ろしさで震えている、その時、足音がして警官が駆け寄って来た

「どうしました」

聞いてきたので

「こいつらに襲われましてね、なんとか防げましたが」

その時

「お巡りさん助けて」

警官の足音で気が付いたのか、リーダーの男が、突然、警官にしがみついていった、情けないその姿を見て

「見たらわかりますよね、貴方たちが見て、見ない振りをしていた連中です、後はお願いします」

軽く頭を下げると、佳代子を連れて、その場を立ち去る

「ちょっと、君」

何か言っているが無視だ

「面白かったね」

「ああ、あれで少なくとも、暫く暴走はしないだろう、あんな馬鹿な事止めてくれると良いのだが、喉元過ぎればッて事もあるからな、ああいう馬鹿たちは」

「そうね、でも少しの間は静かになるわ」

「まあな、少しは薬になったろう」

二人で腕を組んで歩いていると

「すみません、ちょっと、良いでしょうか」

うしろから声を掛けて来た、高級そうなスーツを着た、親父と同じくらいの年代の男が、立っていた

「何でしょう」

「少しお話ししたいのですが」

怪訝そうな顔をすると

「あ、失礼しました、怪しいものではありません」

そう言って名刺名刺入れを出、一枚を抜き取り差し出してきた、名刺には、内閣官房安全対策室長、白下善一郎とあった

「政府の偉い人のようですが、何か」

周りに三人もの気配はする、ボディガードなのだろう

「すみません、どこかでお話ししたいのですが」

「怖いですね、ボディガードを三人も引き連れた人が、何の用でしょう」

「流石ですね、いえ、お話と言うより、お願いがあるんです」

「何のことか益々わからないけど、近くのファミレスにでも行きますか」

「そうしていただけますか」

「分かりました、行きましょう」

直ぐ近くにファミレスがあった、店内に入り一番奥の席を選ぶ、隣と前後の席に、ボディガードだろう、男たちが席を取る、佳代子が

「凄いね、流石訓練されている、って感じ」

「そうだな、洗練されている、一寸かっこいいな」

「うん、そうね」

向かいに座った、白下が

「早速ですが、先程はお見事でした」

「見ていたんですか、だったら助けに入らなければ、おかしいでしょう、いい大人なんだから」

ちょっと皮肉を言ってやる、そこへウェイターがやって来たので、コーヒーを注文すると、セルフサービスなので、佳代子が行こうとすると、白下が手で制した、ボディガードの一人が立って行った

「助けは必要ないのは分かってましたから、お手並み拝見していました」

「分かっていたとは、どういう事でしょう、初対面ですよね」

「あらためて、お詫びしておきます、実は以前から、貴方の事は調べさせていただきました」

「以前から」

「そうです、そちらの佳代子さんを、貴方が助けたときから」

「はあー、そんなに前から、何のために」

何か怖くなって来た、調査されているなんて、少しも気が付かなかった、プライバシーの侵害も甚だしい、秘密を知られているのか、まずい事になった

「ふざけるな、なんの為かしらないが、そんな事が許されると思うのか」

頭に来た、もし秘密を知られているとしたら、どうしよう、パニックになりそうだった

「お怒りは覚悟のうえで、調べさせていただきました、後でどのような要求もいけ入れます、話を聞いていただけませんか」

頭には来たが、対処方法が思い浮かばない、話を聞きながら考えるしかないか、そう思い冷静になろうと勤めて、気を落ち着ける、丁度コーヒーが来た、一口すすって

「良いでしょう、話だけは聴きましょう」

「実は、私の家は、あの工場街の近くなのです、それで帰宅途中偶然、あの場面を見てしまったのです、一瞬にして暴漢たちが倒され付所をです、夜とは言えあなたの姿が見えなかった、どういう事なのか、あんな技は見た事も聴いた事もない、仕事上、貴方には誠に申し訳ないが、貴方を監視させました、いろいろな事件を、貴方は苦も無く解決してしまう、だが、未だに貴方の遣っている方法は分からない、だが、通常ではありえない、能力を持っておられる事は確か、そこで、貴方の力を見極めるより、協力をお願いした方が、国のためになると判断したのです」

能力は知られていないようだ、佳代子と顔を見合わせほっとする

「国の為なんて、大袈裟ですね」

そう思った、大袈裟過ぎる

「いいえ、そちらの彼女、失礼ですが調べさせていただきました、佳代子さん、彼女の高校の事件、あの事件の時警視庁はじめ、国を挙げて対処しようと、総理大臣は閣議を開いていたんですよ、それが、誰もかすり傷一つせず、あっけなく解決したのは、貴方のやった事に違いありません、証拠は何一つありませんが、わたしはそう確信しています、何故なら、佳代子さんがかかわっているからです、彼女がかかわった事件は、どんな大事件でも、あっけなく解決してしまう、これはどう考えても不自然です」

「物事を大袈裟に考えるんですね」

「いえ、決して大げさではありません、彼女の高校の事件を考えてください、三十数人の生徒が殺されても、そういえますか、犯人たちの一人リーダーは、国際手配のテロリストだったんですよ」

「へー、知らなんだ」

そう言いながら、わきの下に冷や汗をかいていた、そんな大事件に繋がっていたなんて、白下はジッと俺の顔を見つめている

「それで、俺にどうしろと」

「今後、私の依頼に協力してほしいのです」

「協力って、どんな」

「分かりません、私があなたの協力が必要と判断したらです」

「なんか、曖昧だな」

「そうです、曖昧です、強制は決していたしません、あなたが協力できると判断していただけたらで結構です」

「そうですか、本当に俺の判断次第で良いですね」

「はい、誓って」

「そう言う事なら、別に構わないけど」

「申しあげておきますが、貴方の能力らしき事、絶対秘密にします、もし外国にまでもれたら、貴方の争奪戦になってしまいますから、そこで、用心のため、国家公務員として、登録させていただきたいのですが」

「どういう事ですか」

「若い貴方には、分からないと思いますが、身分保障をしてないと、外国にスカウトされる恐れがあるのです、もしもの時国が介入できないと、まずいので、ですが貴方の自由を奪うような事はしません、将来外国で働きたいという、貴方の意思ならそれは仕方ないですが」

何か、話がややこしくて、でも、束縛がないなら、協力しても問題はない

「難しい事は分からないけど、白下さんを信用して、協力出来る事は協力しましょう、という事で良いですか」

「ありがとうございます、突然協力してくれと言っても、通じないと思いお会いしましたが、良かった、それとこれを持っていてもらえますか、佳代子さんもお持ちください、これを持っていれば、国家機関どこでも、出入り自由ですから」

そう言って、免許証のような物をくれた

「お二人の登録になっているので、貴方たちしか使えません」

特別国家公務員証と書いある、ICチップが付いているので、それに登録されているという事か

「了解して頂き、有難うございました、私はこれで失礼します」

伝票をもって立ち去って行った、佳代子と顔を見合わせ

「なんか、未だはっきりわからないが、良かったんだよな」

「うん、良いんじゃない、危険でも詐欺でもなさそう、そのうちわかってくるでしょう」

「そうだな、帰るか」


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