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 1白い手袋  作者: ベン マウント
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ボディガード

香月幸一郎、四十半ばくらいか、沙耶は父親に似たらしい、苦み走った渋い男だが、沙耶の目元と鼻筋はよく似ている、昔は女性をたくさん泣かせてただろうな、そんな甘い感じも匂わせ、しかし、如何にも切れ者という感じの人だ、初対面の挨拶も終わり

「沙耶がお世話になっているようで、もう親の出る歳でも何のですが、どうしても気になりまして、失礼とは思いましたが、佳代子さんにお願いしてしまいました、とんだ親馬鹿で申し訳ありません」

そういって頭を下げる

「いえ、現在は俺より塚田さんの方が」

「それは分かってますが、ご挨拶もですが、どうしても竜崎さんにお会いしたかったのです」

「どうしてですか」

「実は、お願いがありまして、誠に勝手ながら、藁にもすがる気持ちで伺いました」

「ええ~、そんな大変な事ですか」

「はい、是非相談に乗っていただきたくて」

「そんな大変な事、俺にできますかね」

「沙耶から聞いております、竜崎さんにしか頼めないと思います、話だけでも聞いてもらえますか」

「分かりました、話だけでもお聞きしましょう」

「本当に申し訳ありません」

必死さが伝わってくる、姿勢を正して聞く体制になる

「実は、外国人なのですが、私の友人が窮地に追い込まれまして、助けて頂きたいのです」

「詳しく話してみてください」

「分かりました、ありがとうございます、聞いてください、私は学生時代外国に旅行に行く事が好きで、アルバイトの金をためては外国旅行をしていましたが、ある中東の国が、なぜか気に入ってしまい長期滞在していたのですが、その時偶然友達になったのが今回の友人です、その後彼が日本に留学してきたり、こちらから訪ねたりで、付き合いが続いていたのですが、今回彼が偽名で出国しお忍びで、私を訪ねて日本に来たのですが、日本に滞在中に国でクーデターが起きて、国に帰る事が出来なくなってしまったんです、帰れないだけならまだ良かったのですが、味方の人から、クーデターを起こした側から、刺客が送り込まれてくる、と言う情報が入りまして、お忍びと言う形で来ているので、警護の人間がいるわけではなく、私一人でどうにもならない、そんなとき沙耶から聞いた、竜崎さんを思い出しまして、お願いに上がった次第です、守っていただけないかと」

「身分のある方なのですね」

「クーデターが起きるまではその国の皇太子でした、王様は捕らえられ、皇太子はお忍びで日本に来ているのは都合が良い、と言う事で暗殺部隊が送り込まれるようなのです」

クーデターを起こしたのは、叔父にあたる人らしい、以前から権力争いはあったらしいが、クーデターまでは予測していなかったという

どうしたものか考えあぐねて、加代子の顔を見る、予想はしていたが案の定、助けてやってと目が訴えている、そんな顔をされたら断る訳に行かない、佳代子の頼みを俺は、絶対叶えなければいけない義務感がある

「分かりました、会わせてもらえますか」

「それでは、引き受けてもらえますか」

「ええ、沙耶との縁もありますし、あなたの頼みでは断れませんしね、やってみましょう」

報酬とかは抜きだ、その他の細かい事も聞かず承諾した


事ころ平穏な日々が続いていたので、久しぶりに白い手袋をはめてみた途端、何故か頭が真っ白になって、そのまま意識を失ったようだ

「久しぶりじゃのう」

おじいさんが現れた

「えっ」

驚いてあたりをも回す、何もない白い空間だ

「能力を授けるから、ちょっと呼んだだけじゃ」

そう言って消えてしまった、気のせいなのかと思う程一瞬だった、再びきがとおくなって、どのくらいの時間かわからないが、気が付いてあたりを見回してみて、何時もの異次元空間にいる事を認識できた、頭が痛い何かの情報が、一気に脳に送り込まれたようなそんな気がした、ベットの上で久しぶりに白い手袋を、手に嵌めてみたらこの状態になった、どうしたのだろう、何か頭の中が整理がつかない、靄が立ち込めたような状態だ、最近は手袋を嵌めるというより、白い手袋を装着したいと、意識すると装着される感じで現れていた、緊急時でも何でもない時なので、ふつうに異次元空間ポケットから取り出し、普通に手袋をはめるように嵌めたらそうなった、だからなのかと思ったが確信はない、右手袋を外す、異次元から現次元に戻ると、妙に感覚が鋭敏になった気がする、景色が鮮やかに見える、五感が鋭敏になった気がするだけで、何処がどうとは分からない、そこまで以前との差をハッキリ感じる訳ではない、なんだったのだろう、神様がまた本当に現れたのだろうか

「まあ、良いか」

白い手袋をもらって以来、不思議な事には慣れている、深く考えずに出かける支度を始めた、沙耶の父親に頼まれた人に会いに行くのだ

「慎也、用意できた」

佳代子が部屋の入口に来た

「おお、今行くよ」

二人して沙耶の父親に指定された場所に向かう、小さなビルの住所を言われている、ビルの入り口を入ると、小さなホールに沙耶の父幸一郎が待っていた

「無理を言って申し訳ありません」

そう言って頭を下げる

「いえ、そんな事はありません、丁度何の予定もない時ですし」

「そうは言っても、危険なことをお願いして、本当に藁にも縋る気持ちでして」

「大丈夫です、引き受けたからには、必ず守ります」

「ありがとうございます、ではこちらへ」

その部屋に入ると、簡易ベットと小さな机と椅子、他には何もない、少し色黒だが日本人とあまり変わらない、四十代に見える男性が待っていた

「一人なのですか」

「ええ、お付きの人がいたのですが、いかにも外国人と分かる人なので、一緒だと目立ってしまうので、別行動してもらっています」

「なるほど、そうですか、彼なら日本人と言えば通りますね」

「そうなのです、日本に留学した事もあり、日本語も流暢ですしね」

「そうなんだ」

「紹介します」

「名前だけで良いですよ、詳しい事は知らない方が良いから」

「分かりました、ソイハイです」

「竜崎慎也です、こちらは高階佳代子、よろしく」

「よろしくお願いします、ソイハイです」

なるほど流暢な話し方だ

「ソイハイじゃ呼んだ時目立つよね、幸一郎さんの友人の康太って事にしませんか」

「えっ、ああ、そうですね、その方が安全ですね、これからは康太と言う事で、良いよね、ソイハイ」

最初何を言っているのか分からなかったらしいが、少し考えて理解したらしい

「ええ、分かりました、康太ですね」

「そうです、よろしくね」

「こちらこそよろしくお願いします」

「それと、住むのはここでは拙いでしょう、俺のところで暫く生活してもらいましょう、その方が守りやすい」

「良いのですか」

「ええ、部屋も空いてますし、佳代子、良いよな」

「私は別に、慎也が決めたなら」

「じゃあ、俺の部屋に行きましょう、香月さんは仕事に戻ってください」

「分かりました、よろしくお願いします」

「任せてください」

ビルを出てマンションに向かう、念のため白い手袋左を嵌めている、感覚が異常に鋭くなっているのを感じる

「お国では、香月さんと知り合いだと言う事を、知っている人はどのくらいいるんですか」

「私の身内だけです」

「叔父さんは」

「知らないと思うけど、従妹に話したかも」

「と言う事は、バレバレと言う事か」

先ほどから自分を上から見た、映像が頭に浮かび、少し離れたビルの陰で赤い点が点滅している、こんな事は初めてだが、今朝、異次元で気を失ったとき、頭に刷り込まれた能力だと直感、赤い点滅は俺たちに悪意を持った存在だと理解した、心の中で

「まったく、何でもありになって行くな」

そんな事を思った、何も言わずに近くのビルの横の小路に入る、少し歩いて再度横道に入る、ソイハイ改め康太は何も言わずについてくる、幸い周りに人影はない、少し手荒いが康太を当身で気絶させる、テレポーションをまだ知られるのは拙いのでしかたがない、勘弁してもらおう、ぐったりした康太を抱え

「佳代子」

佳代子は察して俺の腕に捕まる、白い手袋を両手に呼ぶ、マンションの部屋まで移動した。ソファに康太を横たえると、その僅かなショックで気が付いた

「手荒い事をしてすまなかった」

「いいえ、良いですけど痛い事は痛いです」

「ごめんごめん、もうしないから、今回は対抗策を考えてなくて、緊急だったから、でも、これで暫くは安全だから、安心して寝られるよ、相当に寝不足のようだから」

「ありがとうございます、それは嬉しい事です」

そう言ってニッコリする

不思議な事にこのマンションは、いろんな事件に関わったにもかかわらず、犯人側や関係者に特定された事がない、マンション全体に加護のようなものでもかかっているのかもしれない、一度隠しカメラの事件があったが、それ以降、塚田さんたちが本格的に、このマンションを拠点として使い、自然に俺の拠点となってから、マンションには事件が全くないのだ、不思議だが有り難い事だと思っている

康太が来てから一週間、一応塚田さん達には事情を話しておいた

「何か力になれる事があったら言ってください」

そういわれているが、塚田さんたちが関わると、国際問題になる可能性があるので、迂闊に頼めない事は分かって居るが、内緒で頼む事があるかも知れない


閉じこもって居てばかりでは、康太もかわいそうなので、買い物にでも出かける事にした、マンションを出るのは一週間ぶりの康太は

「大丈夫ですかね」

心配顔だ

「俺たちがついているから大丈夫」

脳内に危険信号はついていない、ボディガードは俺と佳代子

「どこに行きたい、康太」

「何かおいしいものが食べたい」

ソイハイも康太と言う呼び名に慣れたようで、すぐに反応するようになった

高級店はあまり好きではないが、余り人目のあるファミレスは、さすがに避けたい、焼き肉が食べたいと言うので、少し高級な個室のある店に入る、日本に来て一番気に入った食べ物が焼き肉だという、普通外人さんは寿司とか天ぷらが好き、と言うと思っていたが違う人もいるんだ、店は昼に向けて開店したばかりの時間帯で空いていた、個室に落ち着き料理の出てくるまで、特に話もないので

「これから、どうするんだ、亡命申請でもするか」

「いえ、まだ内乱がどうなるかわからないので、そうもいかないのです、それに申請したら、身元がばれて騒ぎになりますから」

「まっ、それもそうだな」

そんな話をしていると

「静かにしろ、全員手を挙げろ」

店のホールの方から聞こえてきた











































お読みいただき有難うございました

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