佳代子の親友
証拠の動画だけでは完璧ではない、塚田さんルートで無理を押し通してもらい、何とか沙耶と連絡を取り、拉致された場所と時間を聞き出した、元暴走族、今はKSKのリーダー坂崎に全員招集をかけてもらう、今はKSKの顧問になっている如月と恋人の由利子も来てもらう事にする、一人でも多く手が欲しい、沙耶から聞いた場所と時間を中心に証拠集めを始めてもらう、現場近くの防犯カメラのチェック、目撃者はいないか聞き込み、元暴走族はこんな時役立つ、裏社会の情報はどこに行けば良いのか心得ている、そこに非番の所轄刑事たちが応援に入ってくれた、格闘技の指導員団体KSKの、いわばその弟子たちだ、ボランティアで手伝いに来てくれた、手当てを払う資金がないわけではない、日当にして払ってやりたいのだが、公務員はアルバイト禁止なのだ
塚田さんの方は、案の定、暗礁にのち挙げていた、如何に塚田ルートでも押し通すことは不可能だ、正式な手続きを踏まない、動画は証拠として認められない、認めるとなると、内容は住居不法侵入をしていなければ撮れない内容だ、罰しなければいけなくなる、法律的にそう言う事らしい、しかし事実は事実なのだから、無視するわけにもいかない、検察としては頭の痛いところだろう、熊谷の祖父からの圧力もかかっているようだし、塚田さんが悩んでいた
そんな時、坂崎達が証拠を見つけてきた、マンションに連れ込まれる瞬間を、近くに住む住民の車の、ドライブレコーダーが映していた
一気に事態が急変した、犯行の実行者のいる瀧田組は、解散せざるを得ない状況に追い込まれたが、最後まで熊田の名は出さなかった、解散後、面倒を見るような約束でもしたのだろう、このままでは熊田を逮捕出来ない、そんなとき又も坂崎達がやってくれた、瀧田組の車を運転していた、若い衆を篭絡し買収に成功したのだ、組長たち幹部は熊田の伝手で、今後の保証はされているが、末端の若い衆はこれからの保証は何もない、路頭に迷うのだ、その不満に上手く付け込んで証言させた、若頭が何度も熊田邸に出向いた事を証言した結果、熊田が依頼した事が証明され、熊田は取り巻きとともに逮捕された、その為、沙耶たちは無事釈放さることになった、警察は誤認逮捕をマスコミに発表し謝罪した、結局、警察が嘘の情報に振り回され、余りにも安易な逮捕劇に、マスコミの追及は厳しかった、所轄の署長と本庁の関わった者たちの首が挿げ替えられた
一方沙耶たちは悲劇のヒロインとして時代の人となり、沙耶などその美貌が知れ渡ると有名になり、大手芸能事務所にスカウトされてしまった、今や若い女性たちの憧れの存在になっていた、それを受けるか断るかは沙耶自身の問題だから俺の知らぬ事だが、ハッピーエンドと言っていいだろう
「沙耶は断るんじゃないかなぁ、チャラチャラしたことは嫌いだもの、マスコミの騒ぎにウンザリって言ってたし」
「そうなのか、みんなのあこがれる事なのにか、願っても出来ない事だぞ」
「沙耶には興味がないみたい、それより慎也にお願いがあるの」
「なんだ」
「沙耶が今度の事で女で、か弱い自分に腹が立ったんだって、自分の身も守事が出来ないなんて、それで、身を守る力が必要と感じたらしくて、慎也の弟子にしてくれって」
「なんで俺なんだ」
「沙耶は本当の親友だから、昔から私の事は全て知っているし、私が慎也に格闘術を教えてもらった事も知っているの、それに坂崎君たちの事も話したから知っているのよ、ごめん、慎也の事を自慢したくて、つい話しちゃったの、だから、慎也に頼んでくれって言われちゃった」
俺の事を自慢して、何て言われて悪い気はしないが
「お前、他の人には話してないだろうな、拙いぞ」
「うん、沙耶以外には話してない、それは誓ってないから、ただ、沙耶には昔から何でも話してしまうの、気を付けなければと思うけど、沙耶は絶対私を裏切ったことはないし、つい気を許して」
「まぁ、今回だけはしょうがないな、許すけど気を付けてくれよ」
「分かった、ごめん」
「それと、沙耶達の事だけど、彼女たちちょっと有名になり過ぎたな、以前より本当に危険かもしれない、本気で習う気があるなら、いいぞ、佳代子の親友じゃ放っておけないし、俺が短期間で強くなるよう、特訓してやるよ、佳代子も手を貸してくれれば、坂崎達レベルにはなれるだろう」
「本当、ありがとう、じゃあ、すぐ連れてくるね」
「ええ、今から、すぐって、すぐ過ぎるだろう」
「実を言うと、返事を待っているの」
突然の申し出だったが、本当にすぐに稽古を始める事になってしまった、道場はあるし、俺と佳代子が教えれば、恐らく最強の指導体制だ、それに俺が白い手袋によって、彼女らの脳に直接働きかけ、習熟する事によって、恐ろしく早い上達を見せた、俺の予想を上回る上達ぶりには驚いた
「慎也聞いてよ、沙耶ったら、ちょっかい出してきた、プロレスラーのような大男を、投げ飛ばしてしまったんだよ、本人が一番驚いていたけどね」
「ほうっ、凄いな」
「相手が酔っ払っていたとはいえ、信じられなかった」
教え始めて半年を過ぎたころの話だ、佳代子は沙耶とルリと千早の四人、美女ばかりの四人が歩いていたら、男だったら声もかけたくなるだろうが、六人ものグループで、気が大きくなっていたのだろう
「おい、俺たちに付き合え」
命令口調で言ってきたそうだ
「お断りします」
そういって通り過ぎたのだが、男達は追いかけてきて
「お前ら、ちょっと綺麗だからって生意気だな」
突然掴みかかって来たそうだ、思わず日ごろ習った格闘術で投げてしまった、男の仲間がそれを見て黙っているはずもなく、女四対男六の乱闘になったが
「佳代子は手を出さないで、私たちにやらせて」
沙耶にそう言われて仕方なく、手を出さずに見ていたが、結局、沙耶たち三人で六人の男を、簡単に片付けてしまったと言う、昔から火事場の馬鹿力と言うが、人間は咄嗟の時脳のリミッターが外れ、普段は出せないとんでもない力が、出るものらしい、それと同じ状態をを脳に働きかけ、常時発動したまま訓練した結果、死後い事になった、この状態が通常化すると、更に上のリミッターが作動する作動のだろうか
沙耶たちはもう、並みの男では歯が立たないほど、強くなってしまったようだ、そして、意外なことを言い出したという
「卒業したら三人とも、KSKに入りたいって」
現在のKSKには女性はいない、佳代子は特別顧問になってはいるが、指導員ではない、全国の警察から依頼が殺到して、断っているくらいだから、増やすのは構わないが、坂崎や如月に相談しなくては、俺の一存と言うわけにはいかない
「それにしても、何故そんな気になったんだろう」
「慎也にはわからないだろうけど、女って男に従うものだ、と言う考えが何処かにあるの、沙耶なんか男尊女卑の、古い考えの家庭に育ったから、そういう考えが余計強かった、でも、慎也に格闘術を教えてもらい、男と互角どころか、それ以上になれる事が分かった、綺麗だ可愛いだけじゃなく、男と互角に生きていく事が出来ると知ったら、女らしくなんて馬鹿らしくなったって、男を指導する立場になれる、そう思ったらKSKに絶対入りたい、そう思うようになってしまったって言ってた」
「そうか、なんか、分かったような、分からないような話だけど」
何れにしろ、指導員になれるだけの力がついているか、俺、如月、坂崎で審査する事になった
道場に沙耶たちを呼び、如月、坂崎が相手をして強さを審査したのだが、俺はここまで育てた立場で、分かって居るから相手はしなかったが
「如月、坂崎、どうだ、指導員の資格はありそうか」
そう聞くと坂崎が
「竜崎さん、どういう育て方をしたんですか,反則ですよ、何年も先に習った俺が、負けそうになりましたよ、どうしたら短期間であんなに強くなれるんですか」
俺も驚いたくらいだが、親友の事だと佳代子の力の入れようが凄かった、そのせいだろう坂崎達の、何倍も速く技を覚えてしまったようだ、何しろ基本を俺が指導して、後は自分たちで体に覚えこませる、その繰り返しなのだが、俺が教えた後、ほとんど付きっ切りで佳代子が指導していた、坂崎達の時と稽古の密度が違う、上達が早いわけだ
「では、卒業したら仲間に加えてやってくれるか」
「大歓迎です、依頼に応じられなくて、断るのが辛い状態ですからね、あれだけ強くて、女性で美人で、俺たちの影が薄くなるのは覚悟しなければ」
「おお、俺もそう思う」
如月が相槌を打っている
大麻騒動が全く変な方向に向いてしまった、沙耶もみんなが憧れるタレントの道を蹴って、とんでもない道に進んだものだ、これも佳代子の影響が大きい、そう話すと
「私をこんな風に変えたのは慎也、だから、沙耶も慎也の影響で変わってしまったのよ」
そう言われてしまった、その話が決まると、KSKの男どもは早くも沙耶たちの争奪戦を始めているという、誰が恋人として認められるか、まあ、好きにやってくれ、俺には関係のない話だ、俺は佳代子一筋だから
そんな珍事とも言うべき事があった、ある日の事
「慎也、沙耶のお父さんが会いたいって」
「ええっ、何で、KSKの責任者は塚田さんだろう」
「そうだけど、会いたいって言うんだもの、どうする」
「断わる訳にも行かないだろう、何時なの」
「何時でも良いって、慎也の都合で」
「俺も何時だって良いぞ」
「じゃあ、明日、来てもらうね」
「来てくれるのか、行かなくても良いのか」
「KSKの場所も見たいようだし、良いんじゃない」
「分かった」
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