佳代子の親友
セキュリティの強化、という点で会長も異論はなかったが、今回盗聴盗撮機が二か所に有った事には驚いていた、専門業者の見落としか、業者が点検を行った後に設置したのか、勿論調査が行われる
「竜崎さんのお陰です、放置していたら又大変な事になる処です、本当に何度も助けていただいて、ありがとうございます」
会長が深々と頭を下げる、部屋にいる関係者も全員、習って頭を下げている
「もう、そう言う事は止めてください、仕事としてやったんですから、当然でしょう」
「はははっ、硬い事はお嫌いでしたね、事許してください、もうやめますから、気持ちだけは伝えないと、気が済まなかったものですから、勘弁してください」
「まあ、良いですけど、やっぱり、会長さんと話すのは疲れます」
「そんな、そう嫌わないでください、やはり直接お礼が言いたいじゃないですか」
「お気持ちは分かって居ますから、そんなに気を使わないでください、それより会長に会いたい人は他にたくさんいるでしょう、俺なんかにかまっていないで、そういう人たちに会ってやってください、会長を嫌って言っているのではありませんよ、俺なんかに会う時間を、そうして使ってもらった方が、世の中の役に立つお思うから」
肩を落として
「はぁ~、私も嫌われたものですね」
「だから、嫌っているわけではないです、個人的に良かったら休みの時に、ご自宅に遊びに行きますよ」
「本当ですか、きっとですよ、そうして貰えたら家族も喜びます、孫たちが竜崎さんの話をすると、喜ぶんですよ」
「俺、そんな面白い事しましたっけ」
「まあ、ちょっと脚色してますが」
「あ~。、ちょっとじゃないでしょう」
「バレましたか」
「そんな、行きにくいじゃないですか、そんなヒーローみたいな話の後で」
「いや、そこまでは大袈裟ではないです」
「そうですかぁ、疑わしいですね」
何時か自宅を訪問する、約束をして帰してもらった、駐車場まで送って来た専務の佐伯さんが
「あんな楽しそうな会長、見た事ないです、いつもピリピリした雰囲気なのに、それに、あそこまで会長にハッキリものを言えるのは、竜崎さんくらいなものですね、政府のお偉いさん達でも、遠慮しているのに」
「そうですか、俺は別に会長を利用しようとか、頼みたい事があるわけではないし、思った事を言っているだけですけど」
「その辺が気に入っているのでしょう、会長に近づくのは必ず、利害が絡んだものばかりですから」
「そうでしょうね、考えてみれば孤独な人なんだ」
「確かに、家族以外に気を許せない、立場が立場ですからね」
「憐れんではいけないけど、俺からすると気の毒に見えてしまう」
「あながち間違いではないですね」
「じゃあ、失礼します」
「ありがとうございました」
深く頭を下げる佐伯さんにお辞儀をし、車を発進させた、ようやく解放された気分だ、俺のことを守り神扱いしている、過大評価だと思うが言い訳してもしょうがない、放っておくことにする
「佳代子帰ったよ」
「お帰り」
新婚家庭のようだが、真実はまだ違う、かと言って同棲でもない、同居しているだけだが、誰もいない部屋に帰るより、良いに決まっている、いるのが加代子なんだから尚更良いのだ、そんな事を思いながら、佳代子の後姿を見ていると
「どうかしたも」
そういってこちらを向いた
「嫌、何でもない」
加代子の横に座る、昼間の疲れかうとうとしてしまう、テレビを見ていた佳代子の携帯が鳴った
「えっ、分かった、すぐ行く」
何かただならぬ様子だ
「どうした、何かあったのか」
「沙耶が大変なの」
「沙耶がどうしたって」
「警察に捕まったって言うの」
「どうして」
「よくわからない」
「よし、兎に角行こう」
急いで一階に降りると一階駐車場に急ぐ、車を飛ばして沙耶の家に行くと、家の前には警察車両が何台も止まっていた、近所の人たちだろう、やじ馬も見える
「おばさん」
加代子が中年の女性の傍に駆け寄っていく
「佳代子さん、どうしよう沙耶が、沙耶が警察に捕まったって」
「なんで捕まったの」
「大麻所持とかいってた、あの子がそんな事をするなんて、信じられない」
「嘘よ、沙耶がそんな事、絶対あり得ない、何か事情があるはず、大丈夫、私が絶対助けるから、心配しないで」
加代子が俺の方を向いて
「沙耶は、絶対に無実よ、大麻所持何てあり得ない」
「誰かに嵌められたとか、考えられないか、兎に角細かい事情が知りたいな、このままではどうしようもない」
「ええ、そうね」
こんな時、頼りにできるのは、一か所しかない、塚田さんの事務所に電話を入れると、白下さんが出た
「白下さん、頼みがあるんですが」
「何でも行ってください」
「実は加代子の友人で」
事情と今の状況を話すと
「了解、すぐに調べます」
警察の情報はすぐに入るはずだ、家宅捜索か何かで家にも入れず、家の前でたたずんでいる沙耶の母親の傍に行く
「おばさん、大丈夫だから」
加代子が母親の肩を抱いて話している、そこへ刑事らしき男が近づいてきた
「あんたたちは」
「沙耶の友人です」
加代子が答える、男は俺の方も見るので頷いた、俺も友人と言う事にしておく、佳代子の親友だから何度も会っているし話もしている、曲がった事が大嫌いな、真っ直ぐな性格の女の子だ
「君たちは、あの部屋に行った事は」
「どの部屋ですか」
「香月沙耶がいた部屋だ」
「どこの部屋」
住所を言われたが、佳代子には覚えがないらしい、勿論俺にも覚えはない
「なんで沙耶がそんなところに」
「そこで友達と大麻を吸っていて、朦朧としているところを、我々が踏み込んで捕まえたんだ、君たちもやってないだろうな、調べればいずれ分かる事なんだが、念のため君たちの名前、教えてくれないか」
隠す必要もないので教える
「また聞きたい事があったら、お願いする事かもしれませんが、その時はよろしく」
そう言うと刑事は行ってしまった
「私、全然知らない場所だった、おかしい、絶対におかしい」
「行ってみるか、その場所に」
「うん」
先ほどの刑事に言われた場所は、そう離れた場所ではない、車に戻るとその場所に向かった、その場所はすぐに分かった、パトカーが赤色灯をつけたまま停まっていた、入り口は警戒線のテープが張られている、古いマンションの空き部屋のようだ、三階の部屋らしい、部屋の入口に警官が立っている、携帯が鳴った
「白下です、警察の情報です、容疑は大麻所持、タレコミの電話があって、現場に踏み込んだところ、沙耶さん達三人が現場で朦朧としていたそうです、本人たちは、麻酔をかがされ気が付いたら、此処にいたと言っているそうです、今の処の情報はは以上です」
「分かりました、ありがとうございました」
「聞こえたよな」
「ええ、聞こえた、恐らく誰かが沙耶たちを嵌めたのね」
「確実にそうだな、しかし、佳代子の友達が三人とは、お前たちを恨んでいる奴に、覚えはないか」
「う~ン、絡んできたり、無理やり誘う連中を何人も懲らしめているから、結構恨まれているかも、特に私が恨まれていると思うけど、犯人は私には敵わないから、沙耶たちに手を出したんじゃないかなぁ」
「そうか、あり得る話だな、そうなると佳代子の身代わりと言う事だ、全力で解決するぞ」
「ありがとう、そうしてくれると思った」
「当たり前だろう、よし、そう言う事で、まずは周りの様子を見てみるか、何か手掛かりが見つかるかもしれないからな」
まずは人目のない場所に移動する、白い手袋を両手にはめると、現場上空から周りの様子を見てみる、薄暗くなり始めているが、まだ視界は良好だ、目を凝らし見回していると
「あいつら、見覚えがある」
マンションの向かいのビルの屋上に、三人の男たちがマンションの様子を見ていた
「沙耶に片思いの奴の取り巻き達よ、はっきり振ってやったのが気に入らなくて、いろいろやって来たから、私がきっちり約束させたんだけど、国会議員の孫で、警察の偉い人とも知り合いで、とか言って脅してきたけど、やれるものならやってみなさいと言ったら、覚えてろ、とか言って帰って行ったけど、彼奴ならやりかねないな」
「奴らの所に行こう」
男たちの傍に移動する
「おい、上手くいってるようじゃないか、警察も沙耶たちを逮捕したようだぜ」
「熊田さんに連絡しろ」
「それより、帰ろうぜ、もう確実に逮捕された、此処にはもう用はない」
「そうだな、熊田さんの所に行こう、沙耶とかいう女もバカだな、熊田さんに逆らうなんて」
加代子が俺から離れようとしたのを押さえて
「今、こいつらを痛めつけても、熊田とか言う奴を捕まえなきゃ意味ないだろう」
そのまま男達についていく、高級住宅街のいかにもお屋敷と言った感じの家に入っていく、玄関ではなく勝手口のような所から入った、母屋ではなく庭の一部にある、離れのような建物に入る
加代子がスマホを取り出した、向こうからは見えないが、こちらからの物は作動し現次元に通用する、中に入ると
「熊田、彼奴が熊田」
長身のいかにもイケメンと言うかにやけた男が、中年の男と向かい合ってソファに座っていた
『すべて熊田さんの計画通り、うまくいってます」
「ああ、ありがとう、ご苦労さん、僕に逆らったんだから、相応の目にあってもらわないとね、これで彼女は一生消せない傷を負うわけだ」
「坊ちゃんに逆らうなんて、バカな女ですね」
加代子がまた出ていこうとするのを止めて、見ている
「山口さんが上手くやってくれたおかげです、これ、瀧田組長に」
そういって札束が入っているらしい袋を渡す、受け取った山口と呼ばれた男は、袋の中身を少し抜いて覗き確かめると
「毎度、それでは、私はこれで失礼します」
そういって去って行った、毎度と言う事は、他にもいろいろやらせていると言う事だ、熊田も瀧田組も社会的に、消えてもらわなければいけない
「うまく撮影できたか」
「うん、全部証拠は撮ったよ」
「じゃあ、行くか」
車に戻ると、マンションに戻り塚田さんの事務所に行く、幸い塚田さんたちは帰らずに事務所にいた、俺が加代子の撮った証拠を、警察に出せば、いろいろと面倒に巻き込まれるが、塚田さんのルートなら俺には関係なく、処理してくれるはずだ
「相変わらず凄いですね、竜崎さんを敵に回した者は可哀想に思えてしまう、分かりました、行ってきます」
すると三人が立ち上がった
「三人で行くんですか」
そう言うと白下が
「勧善懲悪、こんな面白い事、塚田さんだけに任せられませんよ、味合わなければ」
そう言ってニヤリとした
「ご勝手に、よろしくお願いします」
三人は嬉々として出て行った、良い歳をしてと思うが何だか憎めないトリオだ、何れにしろあっけなく解決しそうな雰囲気だが、これも全て白い手袋のお陰だ、異能力をフル活用して、ズルしている気もしない訳ではないが、悪をやっつけるのに手段は選ばない、俺はそう決めている
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