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 1白い手袋  作者: ベン マウント
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ご招待

迎えの車だろう、白いワゴン車が佐藤の前に来て止まった、佐藤が乗ると走り出した、途中三回車を乗り換えた、なかなか用心深い、異次元から覗いている状態なので、スマホを見ても差し支えはない、スマホのマップを見ると神奈川県に入っている、着いたのは工場だった、何の変哲もないただの工場に入って行く、そしてこの工場にも地下室があった、地下室の最奥の部屋に入る、またもや隠し扉だった、中に入って見て驚いた、中が全く別のタイプの工場になっていた、佐藤から離れて工場内を見て回る、銃器製造のようだ、コンピューター制御らしい数々の自動機が並んでいる、秘密を守るためもあるだろうが、時代的にこういう流れだろう、人手のいらない機械を使っている、広い工場に人は数人しかいない、それにしても地下にこれだけの工場、凄い資金力だ、これは協力者がいるか、それとも稼いでいるかだ、資金源を探らなければいけない、この工場の持ち主から、手繰っていけば分かるかもしれない、無関係のはずはない、そう言う事は専門家に任せるべきだ、後は公安の仕事とするか、俺があまり出しゃばると、世の中の仕組みが狂ってしまってはいけない、だが、此処は武器製造、人間の訓練施設があるはずだ、俺達を襲った時自信ありげだった、大勢の中から選んでいるからだと思う、どこかに大勢いる筈だ、このままそこに行くのか、一旦戻るのか見極めなければいけない、佐藤が打ち合わせをしている

「運ぶルートの確保、出来てますか」

「大丈夫です」

「では、私は様子見に行きますので」

「ご苦労様です」

用心深い、盗聴しても分からない、証拠になるような事も話さない、だが、目的の場所に行きそうだ、再び車で出発した、以外に近いところにあった、一旦街に戻ると工場と反対側の、山をの中に入って行く、すると大きな門があった、看板も何もない、門が開いて車を乗り入れた、正面にタイ区間のような、大きな建物が立っていた、その前の白線を引いた駐車枠に、車を駐車して、建物に入って行く、中に入るとロビーのようになっていた、突き当りにドアが三か所あった、向かって一番左のドアに入った、薄暗い広い部屋、静かだが大勢の人の気配、息遣いが聞こえる、座禅のような姿勢で三十人ほどが、黙禱している、正面には男が一人、何かの宗教のようだ、佐藤がその男に近づいていく

「総帥」

「ああ、佐藤さん」

「どうですか」

「万全です、予定通り」

「彼らは」

「洗脳完了の者たちです、完璧に指示に従います」

総帥と呼ばれた男が、佐藤に敬語を使っている、総帥と呼ばれた男が、最前列中央にいる男に

「あとは任せた、頼むぞ」

そう声を掛け歩き出した、佐藤も続く廊下に出て進み、一つ部屋に入った中に入ると、ちょっとした重役の部屋を連想させる、大きな机と立派な椅子、重厚な応接セット、壁に大きな日本地図、十数か所に赤いシールが張られている、何を意味するのか、ソファに座って

「決行は決まりましたか」

「ほぼ、だが、まだ確定していない、近い事は確かです」

それ以上は話さず、近況報告をし合っている、その時、体に危険信号が、だるくなって来た、今日は能力を使い続けている

「佳代子、一旦外に出るぞ限界だ、また忘れていた」

「わかった」

跳躍して外に出る、門から離れた地点でいったん手袋を取り、神様に貰った錠剤のようなものを、出して飲み込む再度両手袋をすると、こんな時、家に戻れたらなぁ、そンな事を考えながら、ここからなるべく遠くに離れるつもりで、跳躍した、何処かは分からないが、人けのない部屋の中に着いたようだ、手袋が消える感覚と

「え、何、どうして」

呟く佳代子の声がした、意識のあったのはそこまでだった、目の前が真っ暗になった


少し明るい、眼を開けると眩しかった、此処は何処だろう

「いけねえ、寝坊したかな」

時計を見る、九時駄目だ、もう間に合わない、起き上がると

「あっ、気が付いた、良かった、何回目なの気を失ったしまうの」

「そうか、またやっちゃったか」

「またやったじゃないわよ、でも、今度は一晩だけで良かった」

『そうか、一晩で済んだか」

「気を付けてよね、危険な場所でなくて、ああっ」

突然声を上げる

「それどころじゃなかった、慎也、どうなっているの、佐藤をつけて行って、慎也が限界だとか言って、倒れた時、めまいがしたような気がしたら、この部屋にいたのよ、どうなっているのかしら」

「そうか、あの時、部屋に帰りたいって考えたんだけど、テレポーテーション下って言う事か」

「だから、変だから塚田さんたちに、何も言ってないのよ、突然部屋にいて、慎也は気を失っているし、説明できないから」

「佳代子、正解、よく気が付いてくれた、助かった、そうだよ、説明ができないから、良くやった、ありがとう」

佳代子はキョトンとした顔で

「まあ、それくらいは気が付くよ、秘密男の慎也と一緒だと」

「そうか、テレポートまで出来ちゃったか」

嬉しいような、秘密が増えて困ったような、複雑な気持ちだった、凄く良い事だけど、素直に喜べない、常識外の人間になって行く、自分が何か大きな荷物を、背負わされたような気がしてきたが、まあ、細かい事は気にしない事にしよう、果たして、これが小さい事と言えるか、どうかは別として

「塚田さんに、調査結果を伝えて、対策を練らなくては、行こう」

佳代子と二人で塚田さんの事務所に向かう

「ああ、帰っていたんですか」

白下がドアを開けて迎えてくれた、相変わらず三人そろって在室していた

「佐藤の調査報告」

「えっ、もう、ですか」

結果を伝えている時、ふっと思い出した日本地図

「塚田さん、日本の原発の地図出せます」

「ええ、ちょっと待ってください」

パソコンの画面を見て確信した

「奴等の部屋の地図、この場所に赤いシールが貼ってあった、原発の一なんだ」

「やばいじゃないですか、もし原発にでも何かする計画だったら」

「国家の危機になりかねない」

「すぐに官房長官に連絡しましょう」

「竜崎さん、後はこちらで手を打ちます、とりあえず佐藤の身柄を確保すれば、少しは計画を後れさせる事が出来るでしょう、その間に手を打ちます、各原発は自衛隊を含め、警戒に当たらせます、貴重な情報ありがとうございます」

これから先は国の問題だ

「ああ、それから、竜崎さん盗聴器やカメラを、発見してやった会社、覚えてますよね」

「ええ、忘れるほど昔じゃないですから」

「創立記念パーティーに、招待されているんです、竜崎さんと私に招待状が来ているんです、一緒に参加して貰えませんか」

「ええ~、俺はそう言う所苦手なんで」

「そう言うと思ったので、お断りしたんですが、是非にと言われ断れませんでした、いろいろとお付き合いの関係上、断り切れない事情もありまして、今後、何かの役に立つこともあるでしょうから、お付き合いいただけませんか、良かったら佳代子さんも一緒に」

「どうして佳代子と」

「私もどうはんしますが、夫人同伴が常識みたいになっていまして」

「佳代子は婦人じゃないし」

「夫人も同じじゃないですか、それとも他に女性が」

「とんでもない、佳代子一筋ですよ」

思わず言ってしまった、何だか佳代子が嬉しそうにしている

「だったら、良いでしょう」

「佳代子、どうする」

「私は行っても良いよ、慎也が良ければ」

「はい、決まりですね、通常のスーツで良いそうですので」

結局出席する事になってしまった


日本を代表する会社だけの事はある、会場に入っただけで気後れしてしまう

「良くテレビに出てくる人が、大勢いるわね」

「そうだな、政治家や経済界の大物達だ」

「竜崎さん、気後れする必要はありませんよ、あの人たちは肩書、竜崎さんは実力ですよ、私はちょっと向こうに行ってきますが」

「どうぞ、俺たちは大丈夫ですから」

塚田は職務上、色々な人に挨拶が必要らしい、佳代子と雰囲気に圧倒されながら立っていると

「おやぁ、何だ、此処は貧乏人の来る所じゃないぞ、何を迷い込んでいるんだ、ごちそうでも盗み食いするつもりか」

高校時代の同級生、上村次郎だった

「うるさいなぁ、招待されたんだよ」

「何だって、誰かの招待状を盗んだのか」

そんな問答をしていると

「竜崎さん、良く来てくれましたね、こういう事はお嫌いだと聞きました」

「ええ、そうなんです」

あの時、社内を案内してくれた、重役の一人だ

「お父さん、こいつと知り合いなの、おかしいじゃない、こんなやつが何でここに入れたの」

「何だ、その言い方は、お前竜崎さんを知っているのか」

「うん、高校時代の同級でね、うちとは家の格が違うから、友達じゃないけどね」

お父さんと言われた重役の、顔色が変わった

「ちょっとこっちに来なさい、竜崎さんもすみません、こちらへ」

近くの小部屋に、俺、佳代子、上村親子が入った

「お前、学校ではそんな態度で、人に接していたのか」

「そうだよ、貧乏人と付き合っても、何の得にもならないし、こいつなんか三流の会社の平社員なんだよ、親は、それが生意気に此処にいるから、意見していたんだ」

「竜崎さん、息子に何と言われたんですか」

「招待状を盗んで来たんじゃないか、料理を盗み喰いに来たのかと、まあ、高校時代から此奴には、この程度の事は、いつも言われてますから、もう慣れてますよ」

パシーン、上村が平手打ちされた音だ

「良く聞けよ、竜崎さんは会長が是非にと招待した、お客様だ、その人に対して、何という事を、会長を馬鹿にしたと同じなんだぞ、この事が会長に知れたら、私は完全に首だ、バカ息子のせいでな」

傍にあった椅子にへたり込んでしまった、暫く座ったままだったが、少しおいて

「何れにしても、竜崎さんに謝りなさい」

「なんで俺が」

すかさず反対の頬も叩かれた

「未だわからないか、土下座して謝りなさい」

上村を無理やり床に座らせ、頭を押さえて土下座させている

「申し訳ありませんでした、知らない事とは言え、こんな息子だったとは」

「ご存じなかったのですか、昔からこんなやつですよ、多分今も俺は悪くないと思ってますよ」

積年の恨みだ、はっきり言ってやる

「そんな、いくら何でも、そこまででは」

そう言った途端

「なんで俺が貧乏人に、頭を下げなきゃいけないんだ」

顔を上げて、涙をぽろぽろ流している

「ねっ、こういう奴ですよ、こんな立派に育てた親がいけないのですよ、もう、手遅れでしょうね」

「申し訳ありません、許してください」

「おや、驚きですね、こういう風に育てたのではないのですか、意識して育てなければとても、こうはならないでしょう、親が普段から金持ちぶって、貧乏人を馬鹿にしていた、それを見て育ったからこうなる、俺は高校時代から、こんな調子で言われ続けてきましたが」

「勘弁してください、そんな育て方をした覚えはないのですが」

「覚えはなくても、子供は親の背中を見て育つ、と言うじゃあないですか」

「そうですね、勘弁できませんなあ」

後ろから声がした、えっ、と思って振り返ると塚田さんがいた

「話は聞かせてもらいました、そこまで侮辱しても、まだ当たり前だと思っている、本当に、どういう育て方をすれば、こんなクズが育つのでしょう、全く腹が立つ」

「塚田さん、はあー、もう御終いだ、私の人生はこれまでだ、こんなバカ息子のお陰で」

この展開に佳代子は、呆気にとられた顔で、無言のまま見守っている

「だいたい、何で、そんな奴をみんなでちやほやするんだ」

「まだ言ってるか」

今度は拳骨で頭を殴っている

「この人のお陰で、会社は何百億と言う、賠償金を払わなくて済んだ、他に作ってしまった製品が、売れなくなる処だったのを救ってくれた、会社にとって何千億もの損害を、防いでもらったのだ、くずなお前とは大違いだ」

「何でそんな事が出来たのだ」

「うるさい、お前はもう、親でも子でもない、二度と家に来るな、学費のやらん、これからは自分で稼いで生きていきなさい」

「そんな」

「うるさい、この場からも出て行け」

「そんな、ごめんなさい」

ようやく自分の立場が分かって来たらしい

「許してください」

自分から土下座している

「誰に謝っているんだ、竜崎さんに謝れ」

今度は素直に俺に向かって土下座している

「竜崎、勘弁してくれ、俺が悪かった」

「謝って住む程度か、何年間だ、自分で分かるよな、自分だったら許すか」

「・・・・・・・・」

「そう言う事だ、まあ、自分のしてきたことに対しての結果だ、受け止めるしかないな、じゃあな」

「会長には私から報告します、竜崎さんを侮辱したという事は、一緒に招待された、私も侮辱されたと同じですから」

「塚田さん・・・・・」

「何か、文句がありますか」

「いえ・・・・」

父親も床に崩れ落ちた


お読みいただきましてありがとうございました

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