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 1白い手袋  作者: ベン マウント
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社長交代

イライラ感抜き、爽快感優先で行きます

この一週間、白い手袋について、考えられる全ての事を調べ研究した

まず、人目があるときは姿は消えない、手袋が人間の存在を感知しているようで不思議だ、しかし、これはありがたい、秘密がばれる事がないからだ、一見ただの白い手袋をはめたら姿が消えた、何て事を人に見られたら大変な事になる、その心配がないというのは大変助かるのだ、都合よすぎるとは思うが良い事だ

次に手袋を片方ずつ嵌めただけでは姿は消えない、但し右手を嵌めると体に力がみなぎる気がする、左手だけだと頭が冴えてくる気がする、天才になった気分だ

右手に嵌めて試してみた、凄い力だ封切り前の缶ジュース、親指と小指で挟んだだけで潰れてしまう、ガードレールを軽くたたいたら、曲がってしまったが、驚いたのはそれを、戻そうと力を入れたら、元に戻った事だ、この力は使うのが怖い、加減を練習しなければ、と思ったのだが大丈夫だった、考えるだけで調整できるようだ、ただ、興奮した時どうなるかが怖い、精神を鍛えなければ、大変な事になりそうだ

左手にも嵌めて試してみた、恐ろしくなるほどの脅威だった、今まで見聞きした事全てが、瞬時に頭に浮かぶのだ、自分で記憶した覚えがなくても、聞いていれば、見ていれば脳に収まっていた、知識が、音楽がニュースが全て、訳が分からない

この能力を隠すのは、大変な努力が必要な気がする、本当に嬉しいのか怖いのか、自分でも決めかねる奇妙な心境だ


知識収集と精神力の強化のため、左手に白い手袋を嵌めて、パソコンを開いている、今の時代、百科事典など必要ない、知識はネットで調べられる、最近のニュースをチェックした後、バイトで貯めた預金がどのくらいあるのか、確認のため、ネットバンクにログインした、残高は最初に出ていた、確認した後画面を眺めていると、いくつかのサービスの中で、宝くじのコーナーが目に入り、急に買いたくなった、ロトセブン1から37までの数字の中から、七つ好きな数字を選んで買うのだが、普通どの番号が良いか悩むものだが、十口分スラスラと淀みなく、番号を選んでいけた、勝手に手が動くのだ、これも手袋の能力なのか、そう思ったが、別に運試しにと軽い気持ちでかっただけだ

後日、パソコンで情報収集した後、お小遣いのチェックを行った時だ

「七万になったか、順調にたまったな」

そう思ったが、七の前にゼロがあるのに気付いた

「えっ」

1,000,072,200

数字がおかしい、慌てて、普段はスマホのメールだけで殆どチェックしない、パソコンのメールを開きチェックする、いくつもの項目の中から、銀行のアドレスを見つけて開き呼んでみる、当選金を振り込みました、とあった、当たってしまった、どうしよう、昔は当選金を銀行に受け取りに行くと、当選者の心得的なレクチャーがあったそうだが、今でも窓口で買ったものは、そうなのかわからないが、ネットで振り込みまでしてくれると、誰も知らないうちに大金持ちだ、両親に言っても狼狽えるだけだろうし、暫くこのまま放って置くことにする、特別ほしいものはないし、白い手袋の脅威に比べたら、そんなに大事件でもないような気がした、近頃の俺は、人に言えない秘密だらけの人間になっている、犯罪者ではないが何処か後ろ暗い思いがしないでもない


いろいろあり過ぎた、年末年始の休みも終わり、久し振りの学校だ、教室に入るとそれぞれのグループに分かれ、休み中の話だろう、楽しそうに話していた、俺は特に親しい友はいないので、一人のんびりと窓の外を眺めていたが

「おい、竜崎、一寸こっちに来いよ」

クラスのボス気分で、何時も威張っている加藤雅也が、声を掛けて来た

「なんか用か」

そう返事をすると

「何い、使用人の子供のくせに、呼ばれたら来れば良いんだ」

そう言って怒鳴る、父が加藤の会社に勤めているのだ、従業員百人足らずの小さな会社だが、社長の息子という事で、鼻高々だ、親父に迷惑がかかるといけないので、しょうがなく傍に行く

「なんのようだ」

そう言うと

「売店でパンを買って来てくれ」

そう言われた

「自分で行けよ、なんで俺が行かなきゃいけないんだ」

「お前がこうして学校に来れるのも、親父の会社のお陰じゃないか、少しは感謝して、言う事を聞け」

「ごめんだね」

「何だと、てめえ」

まるでやくざだ、無視して席に戻ったが、念のため右手に白い手袋をする

「ちょっと、外に出ろ」

奴は身長百八十は超えている、俺は百七十五くらい、体格では負けるが

「外の行ってどうする」

「でかい面が出来ないようにしてやる」

「止めた方が良いぞ、大恥かくまえにやめろ」

「何ぃ、生意気な」

余程腹が立ったのか、いきなり殴りかかって来た、その手を軽く受け止め、逆手にねじあげる

「危ないなぁ、こんなところでよろけるなよ」

そのまま廊下まで行き、放り出す、廊下に転がった加藤は

「竜崎、てめえ、おぼえてろ」

涙をためて睨んでいる

「先生が来るぞ、みっともない」

そう言って自分の席に戻る、小さくなって席に戻った加藤は、昼休みに早退していった、クラスのみんなは、何も言わないがざまあ見ろ、と思っているに違いない、思わずやっつけてしまったが、完全に親父に何か仕返しが行きそうだ、何か手はないか、左手に白い手袋をすると閃いた、すぐに佳代子に電話する

「佳代子のお父さん、行政書士だったよな」

「ええそうよ」

「相談したいことがあるんだけど、会わせてくれない」

「良いわよ、家の隣が事務所になってるから、何時でもいいわよ」

「じゃあ、今日いいかな」

「急な話ね、でも大丈夫と思う、聞いて連絡する、昼休みのうちに連絡できると思うわ」

そう言って切った後、五分ほどで返事が来た

「良いって、帰りに寄るの」

「うん」

「じゃあ、私も早く帰る」

「別に佳代子に用事じゃないから、無理しなくていいぞ」

「大丈夫、私がいた方が話しやすいでしょう」

「まあ、それはそうだが」

学校が終わるのを待って、急いで佳代子の家に行くと、すでに佳代子が待っていた、すぐに隣にあるという事務所に案内してくれた、佳代子の父親は穏やかで優しそうな人だった、紹介もそこそこで用件に入る

「会社の株を買いたいのですが、どうしたらいいか教えてください」

「高校生が株をやりたいの」

「株というか、加藤製作所の株を買いたいのですが」

「何か事情があるのかな」

「はい、父が勤めています」

「そうですか、あそこの株は出回っているかな、少し評判が悪い事もあって、少し下がっているはずだが、資金はどのくらいあるのかな」

思い切って親にも話してない、十億円の事を含めた考えを打ち明ける

「恐らく今日、親父はつらく当たられていると思うんです、少しでも親父が働きやすくなれるよう、親父には内緒で手を打てたらと思って、相談に来たのです」

「凄いね君、それだけあったら、今のあの会社なら買えちゃうよ、一応調べてみよう、ちょっと待っていて」

「ちょっと、慎也、貴方どこまで規格外なの、あのことと言い、高校生なのに十億円も持っているとか、信じられない」

「あの事というのは何だか分からないけど、十億円は当たってしまったんだから、しょうがないだろう」

「しょうがないという金額じゃないわよ」

「何起こっているんだよ、佳代子には関係のない話だろう」

「まあ、そうだけど」

「この話は秘密だからね、頼むよ」

「人に言う訳ないでしょう、誰も信じてくれないよ」

そんな話をしていると

「竜崎君、あの会社買っちゃいなさい、会社はあのままで、オーナーになればいい」

「買えちゃうんですか」

「社長が能力もないのに、ワンマンで同族会社だが、株を持っている親せきは、持っていても価値がなくなりそう、金になるなら全員売るそうです、私の知り合いの証券会社が、売りたいと相談を受けていた」

「色々な手続き、やって貰えますか」

「ああ、任せてください」

「じゃあ、親父名義でお願いします」

「分かりました」

「取り敢えず十億を、おじさんの口座に送っておきます、口座番号教えてください」

「いや、未だ、そこまで私を信用していいのかね、書類も何もないんだよ」

「良いです、全面的に信用しています」

「そうですか、分かりました、引き受けましょう」

良かった、株主になって親父の立場が、有利になればと思ったが、乗っ取ってしまえば、全く心配なくなる、親父が経営に向いていなくても、専務が良い人で、社長さえいなければ、力を発揮できる人だと、以前親父が話しているのを、聞いた覚えがある

家に帰ると、何時もより早めに親父も帰って来た。疲れはてた顔をしている、そしてぼそりと

「会社でリストラを言い渡されたよ」

そう言った、それを聞いた母はあまり驚かず

「とうとう来ましたか、業績不振は社長のせいなのに、あの会社も長くないわね」

「だけど、慎也は大学だというのに、困ったな学費も払えなくなりそうだ」

「俺は大丈夫、アルバイトでもなんでも、やっていけるから、心配しないで」

「そうか、出来るだけのことはするが、苦労駆けるな」

「大丈夫、心配ないって」

母さんたちは、予測していたようだ、俺が雅也を懲らしめたから、リストラが早まったのだろう、佳代子のお父さんに頼んだ事が、終わるまで黙っていよう

本当は金の心配はない事を、打ち明けたいが、余計な心配をさせない方が良いだろう、常識外の計画なので、普通人の両親の心臓に良くないと思うから

翌日、学校に行くと、案の定

「お前の態度が悪いから、親父に頼んでお前の親父を首にしてやったぜ、ざまあみろ」

「それはそれは、ありがとうございました、来月になったら自分かもしれないのに、気の毒な事だね」

「何を言っているか分らんが、悔しいくせにやせ我慢するな、土下座すれば親父に頼んで、取り消してやってもいいんだぞ」

「まあ、そうやって威張っていればいいさ、可哀そうに、自分の足元が分からないなんて」

「くそぅ、平気な顔をしやがって、悔しいくせに」

「うるさいからあっちに行かないと、またお仕置きするぞ」

そう言って立ち上がると、走って逃げていってしまった、意気地がないのに威張りたいのだ

一か月後、今日加藤製作所の役員会が開かれる、そこに佳代子の父高階貞一が乗り込んで、いっさいの決着をつけてくれる、手はずになっている、普段通りなら親父の退職の日でもある、今日は最後の勤務のつもりで、出社しているだろう、親父を社長に据えるのは、謎の人物という事になっているが、その辺は佳代子のお父さんが、万事うまくやってくれるはずだ、

博也済の時間、役員会が終わったと連絡が来た

「万事、予定通り、終わりました」

「ありがとうございました、資金は足りたでしょうか」

「ええ、おつりがたくさんありますから、また後程」

これで親父の事は心配なくなった

その日の夜、計算違いな事が起こった、親父が社長になったと聞いた母が、驚きのあまり熱を出して寝込んでしまったのだ、親父もあまりの事に理性が追い付かず、家に帰ってくるのがやっとだった、そして母と枕を並べて寝込んでしまった、祝杯を挙げるほどの心臓を持ち合わせていないようだ、社長業は苦労するだろうなぁ



お読みいただき有難うございました

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