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 1白い手袋  作者: ベン マウント
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拉致されて

あれは夢じゃなかった、リアルすぎる、だが内容はおとぎ話のようだが、今授かっている能力があるから、俺にとっては現実的な話だ、人目があると能力は作動しないと言ったが、手塚さんの前で使えたという事は、今までも片手だけの時は人前でも使えた、人目があるところでは両手が使えないという事らしい

「そうだ、四次元ポケット、とか言っていたな」

目の前にコーヒーカップがある、どうすればいいんだろう、適当にカップを見ながら、棚にしまうイメージで

「収納」

そう頭の中で考えた、念じたとでもいうのか、するとカップが消えた、本当に消えたよ

「へっ、嘘だろう」

声が出てしまう、要するに念ずれば良いのか

「出ろ」

すると元の位置に出現した、要はどうしたいのかを読み取ってくれるのだ、って、落ち着いている場合か、もの凄い事じゃないか、手品じゃなく、種も仕掛けもなく、大変な事が起こって居るのだ、確認の為もう一度、机を見て収納を念ずる

「消えた、消えちゃった、ええー」

一人感激したり、驚いていると

「慎也ー、お腹すいた」

佳代子が来た、慌てて机を元の場所に戻す

「何か食べに行こー」

「分かったよ、分かったから」

空返事を返す、四次元ポケットのショックがまだ消えない、胸がどきどきしたままだ

「何ぼーっとしてんのよ」

「うん、あー、ちょっとね」

「早くいくよ」

ようやく正気に戻った、あり得ないと思われる事は、人目があると作動しない事という事だ、でも感激してしまった、運送業で食べていけそう、でも人前で使えないからダメか、そんな事を考え、ニヤニヤしてしまう

「もうー、まだおかしい」

「あ、ごめんごめん、そうだ、たまには遠出するか、車で」

「良いわね、じゃあ、我慢して海に行こう、刺身が食べたくなった」

何だか嬉しくなっちゃって、ドライブしたくなった


少し足を延ばし千葉の海辺に来た、途中コンビニでおやつを買って、空腹をしのぎ、海岸近く海鮮レストランに入った

「良ーし、食べるぞ」

「もう限界、早く決めようー」

取れたて新線を謳ったメニューで、好みの品を注文をして、取り止めのない話をしながら、しっかり味わって食べた、昼時を過ぎていたので、店は空いていた

「フー、お腹いっぱい」

「うん、旨かった、遠くまで来た甲斐があったな」

レストランを出て車に向かって歩いていると、ガツン、頭にショックが、目の前が真っ暗になった

気が付くと両手両足を縛られ、床に転がされていた、隣に佳代子も転がされている、頭は不思議にいたくない、もう治ってしまったようだ、廃工場の中、そんな感じだ

「畜生、油断した」

そう呟くと

「おや、気が付いたようだな、塚田の使いっ走りの癖に、良い車に乗って彼女とドライブか、生意気なんだよ」

男が近付いてきて言った

「お前は」

「誰だっていいだろう、黙ってそこで寝てろ、大声出しても誰も来ないからな」

そう言って近くにあったデスクに戻って行った、佳代子はまだ気絶したままだ、男は一人のようだが、表から数人の気配がする、何かの訓練をしているようだ、男はスマホを出すと、どこかに電話をしている、佳代子を足で揺する

「塚田さんか、このスマホを使っている事で、どういう状態かわかるよな」

よく見ると俺のスマホだった

「この間の三人を釈放してくれないかなぁ、この男の命と引き換えに、何い、お前、何言ってるんだ、馬鹿か、此処に転がってる若いのが、怖いって、笑わせるな、こんなチンピラ、女はいい女だからそれなりに、後三時間だけ時間をやる、何い、ご愁傷さまだぁ、ふざけるな、こっちは真剣だからな、若いのの命は本当にないぞ、ご自由にって、お前、気は確かか」

スマホを切った、俺たちの方に歩いてくると

「お前に手を出したのは、俺たちの不幸の始まりだとよ、お前をどうにかできたら、褒美をくれるとぬかしやがった、いったいお前は何者なんだ、お前をどうしようとご自由にと言ってたぞ、ふざけやがって、こおなりゃあ、お前の首でもプレゼントしてやるか、待ってろ、気の毒だが俺たちが本気なのを見せてやる」

そう言って外に出て行った、念じて手袋を両手に呼ぶ、本当に両手に飛んできた、途端、縛ってあったロープの感触がなくなる、タイミングよく佳代子が気が付いた

「やられたわね」

第一声が其れだった、少しも川がっていない、そう言って苦笑している

「どうする、消えたまま始末するか、腹が立つから見える形で、やっつけるか」

「後の方法で行こう、お返ししてやらなきゃあ、気が収まらない」

「わかった」

佳代子を縛ったロープは、俺が触った時点で体が異次元に来て、解けてしまっている、だけど、佳代子が見ていても発動するのは何故、おかしい、今度会う事があったら、神様に聞いてみよう、そんな事を考えていると、男が戻って来た、一瞬で近づくと

「悪かったな、塚田さんの言う通り、お前たちの不幸は始まってしまったよ、そこで見ていな」

手早く男を縛り上げ、そう言ってから、入り口のシャッターをけ飛ばす、ガーン、音が響くと

「おい、何かあったか」

顔をのぞかせた男を、佳代子が引っ張り込む

「何だ、この女、縛ってあったはずじゃあ」

言ったとたん、投げ飛ばされた、床に叩きつけられて

「いてー、ガキの癖に」

立とうとしたが立てない、腰をしたたか撃っているようだ

「痛いー」

悲鳴を上げた

「どうした」

男が五人入って来た

「おっ、このガキども」

掴みかかって来た、よけながら頬にグーで一発、吹っ飛んで転がった、次は腹に一発、

「ぐえー~」

胃の中のものを吐き出している、三人目が懐から拳銃を取り出そうとしている、異次元弾でその腕を撃つ、拳銃が懐から落ちた、床に落ちる前に手で受ける、他の二人は佳代子に気絶させられていた

縛って転がしておいた男に

「良く見ていたか、こういう結果だ、残念だったな」

「お前たちは、何者だ、訓練された兵士崩れを、あんなに簡単に」

「そうだよな、手ごたえのない奴等だった」

「さあて、今度はお前だ」

そう言うと、突然男の態度が変わった、泣きそうな顔で

「悪かった、助けてくれ」

「助けるって、どうするの」

「だから、命だけは」

「安心しろ、俺の首を塚田さんの所に、持って行くって言ってたよな、代わりにお前の首を持って行くから、安心しな」

見回すと机の上に、短刀と言うのか鞘に入った小刀があった

「良いものがあるじゃないか」

鞘を祓い男に近づく

「ヒー、助けて」

「お前がしようとした事を、代わりにするだけだよ」

刃を近づけていくと、男はお漏らしをして、気を失ってしまった

「遊びはこのくらいにしておくか」

手塚さんに連絡する

「ご苦労様でした、犯人たちも気の毒に、竜崎さんに手を出した時から、運命は決まっていた、可愛そうに」

「塚田さん、此奴に好きにしろと言ったそうですね、此奴にどういうことですか、薄情過ぎるでしょう」

「竜崎さんを好きにできる人が居たら、教えてください、不可能でしょう」

「そんな事はないですよ、俺だって、人間ですよ」

「いえ、私の感ですが、自衛隊を敵に回しても、勝つのではないかと思ってますよ」

「そこまでですか、化け物を超えていますね」

「はい、そうです」

「はい、そうですって、もう良いです、分かりました、情報部だか公安だか知りませんが、よこしてください」

「公安、何て良く分かりましたね」

「何度も見ていますからね、分かりますよ、常識でしょう」

「じゃあ、手配します、ご苦労様でした」

スマホを切って

「此奴らの元を断たなきゃ、いつまでも煩わしいな」

『そうね、塚田さんたちなら、もう分かっているんでしょ」

「多分な、だがまだ、国際問題が絡んでくる、国家機関としては動けない、ってとこだろう」

「じゃあ、私たちで、やっちゃったら」

「お前、簡単に言うな」

「だって、またこんな事あると、腹が立つもの」

「それはそうだけど」

俺の車は男たちが乗ってきてあった、男たちを縛り上げ、床に転がしておいた

「取り敢えず帰るぞ」

車のGPSで見ると、海岸から離れた山の中だったが、少し下ると別荘地になっており、その先は広い道路が続いていた、すぐに高速に乗り、帰るまで二時間ほどかかった、マンションに着くと、まず塚田さんの事務所に顔を出す

「お疲れさまでした、けがはありませんか」

涼しい顔で言う、少しも心配そうな顔はしていない

「人を化け物扱いしておいて、一応そう言う事は言うんだ」

「外交辞令です」

「腹が立つ」

そう言ったが、おもわず笑ってしまった

「奴等の本体は、分かっているんでしょう」

「ええっ、国際テロ集団赤いサソリ、本拠地は中東のどこか、日本にも拠点があるようですが,まだ掴めていません」

「誰か、泳がせている奴はいないのですか」

「いますよ、相当な幹部だと踏んでいるのですが、時々姿をくらましてしまって、尻尾が掴めないのです」

「そいつの事、教えてください、俺が探ります」

「そうか、竜崎さんなら、いけるかも、分かりました、こいつです」

パソコンを見せてくれる、佐藤と名乗っているらしい、東京在住、住所と顔を頭に入れる


佐藤の住むマンションの、前の通りを挟んだ家にいる、都合よく貸家が空いていた、一か月間借りる事にした、佳代子と新婚の振りをして入居して、今日で一週間になる、あくびをかみ殺していると、交代で見張っていた佳代子が

「佐藤が出て来たよ、何処か旅行かなぁ」

何処かで、公安も張り込んでいるはずだ、こんなに分かりやすいのに、プロの公安がまかれるなんて、どんな手を使うんだろう、白い手袋の両手を使って

「佳代子、行くぞ」

佐藤の後ろに取り付く、背後霊のようなものだ、くっついて動く、一メートルくらい離れてくっつく、考えるとそうなってくれるのだ、歩いて通りに出ると、タクシーに乗った、十五分ほどで降りた、どこかの住宅街だ、少し先の小路を曲がり一軒の住宅に入って行く、空き家ではないようだが、今は人けはない地下室に降りていく、古い書棚があった、スマホを出すと、何かのページを出した、壁の一部にかざす、すると大きな書棚が移動し始めた、更に壁の一部にスマホをかざす、隠し扉になっていた、小さなドアのような部分が、奥に引っ込んだと思ったら、横に移動して人が通れる空間ができた、その先は通路になっていて奥の方に続いている、振り返って壁の横にスマホをかざすと、書棚が元に戻り扉も戻って行く、それを確認すると通路を歩きだした、結構な距離をしばらく歩くと、またスマホを取り出した、壁が突き当りになっている、再びスマホをかざしている、すると壁が開いて扉が現れた、扉を開けるとやはり住宅の地下室に出た、階段を上り玄関から外に出ると、そこは全く違う通りに面していた、これではまかれるのも無理はない



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