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 1白い手袋  作者: ベン マウント
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神の因子

塚田さんが

「このマンションに、何処かのスパイがいるようです」

誰なのかは分からないが、内閣情報室の情報でわったようだ、可能性のある住人を割り出しれくれた、プライバシーの侵害になってわるいが、調べさせてもらう、対象は五人だった、意外だったのは、外国大使館の人間も何人か住んでいるのに、対象にはなっていなかった、確かに分かりやす過ぎて、スパイには向かないかもしれない

五人をざっと調べてみたが、疑わしいところは見つからなかった、流石だ、情報室はどのような根拠で、この五人を抽出したのか、それなりの根拠があるはずだ、根気よく調べる事にしよう、両手に白い手袋をして、五人の対象の部屋を見張った、透明人間はこうした事の為にあるように都合がいい

一週間ほどしてようやく尻尾が見えた、塚田さんの部屋、つまり内閣官房防衛機密室に向けて、真下に住む夫婦が、盗聴器を仕掛けたのだ、真下というので一番疑っていたが、なかなか尻尾を出さなかった、塚田さんたちも用心していたので、最後の手段で細工し始めたらしい、六十代の日本国籍の夫婦だ、通常なら発見は不可能なほど、プロの手で巧妙に仕掛けられていたが、運よく俺が現場を目撃していたのだ、犯人たちは完璧に、設置に成功したつもりでいただろうが、俺がすぐに撤去してしまった、塚田さんに伝え、内閣情報室が動いた、人知れず捕らえられた夫婦は、全くの一般人だった、息子と孫を人質に取おられたような形で、働かされていた、ただ住んでいるだけで良かったのだ、諜報員の出入りさえ誤魔化せれば良かった訳だから


外国貿易会社の支社、事務室に十人の社員がいる、七人が日本人だ三人の外人は見張り役、マンションの老夫婦の、息子夫婦が此処で働いているのだ、息子たちは親が何をさせられているか知らない、老夫婦が裏切れば息子夫婦の命がない、他の日本人も同じような状態だと分かっている、まず、俺は今白い手袋を両手にしている、異次元の体は気配さえ感じさせない、机の配置から支社長と分かる男に触れる、男には感じれれないだろうが、次元を巻き戻す、この支社が出来る以前に、次に部下二人を同じように処理していく、三人ともに暫くの間ぼーっとし始めた、彼らは気が付いたとき、支社開設以後の記憶が飛んでいる、意識が混沌としているはずだ、今のうちに彼らのパソコンのデーターを、コピーしてから消去する、気付かれずに作業は終わった

これで、老夫婦の事は全て消滅した、今後支社がどうなるかは分からない、記憶のとんだ分を、日本人社員たちがどう補うか、それで存続できるのか、監視は続けてもらい、今後三人が、また同じような事をするようならば、消えてもらうしかないが、無暗に命を奪うような事はやりたくない

この時持ち帰ったデーターは、国内の企業のデーターも多く収められていた、産業スパイが目的の会社のようだ、国内大手重工業の、兵器に関係した情報等だ、塚田さんと俺はその会社の一つを訪問し、その事実を伝える、社長以下重役がそろって迎えてくれた、俺は知らなかったが、塚田さんは相当有名な人らしい、塚田さんが訪問理由を話している

「突然お伺いして申し訳ありません、実はこの社屋の中に、盗聴器やカメラが、仕込まれている可能性があります、そこで、スペシャリストを頼んで、連れてまいりました、若いが国内随一の腕をお持ちの方です」

俺が紹介された、いかにもらしい計器をもって社内を回ると、出るわ出るわ、十六の盗聴器やカメラが出て来た、計器は持っているだけ、白い手袋左のお陰なのだが、会社側は驚いた、警備担当は大分お叱りを受けるだろうが、会社の存亡にもかかわる事だ、我慢して貰おう

「ありがとうございました、助かりました」

塚田さんは凄く感謝された、勿論俺も、外国からライセンス契約の技術を、盗まれるところだった、もし盗まれたら、弁償では済まされない、国際問題にも発展しかねない問題だ、北の諸国は喉から手が出るほど、欲しい情報だという、帰る途中の会話の中で

「私ばかり良いとこ取りで、すみません」

塚田さんがしきりにそう謝る

「いえ、俺は本来は表には出ない方が良いので、気にしないでください」

答えた、その時

「あぶない」

塚田さんを抱えて飛びのく、用心のため白い手袋右を嵌めていてよかった、

左は知能感覚を、右は戦闘力、身体能力を思考によって、思うように操れるようになる

男がナイフで手塚さんを刺そうとした、交わされて空を切ったが、直ぐに態勢を整え攻撃して来た、こういう事のプロのようだ、再度手塚さんを抱え距離を置く、何処に隠れていたのか、更に二人男たちが加わった、三人とも瞬時に倒さなければ、手塚さんが危ない、仕方がない、手塚さんが見ている前だが、能力を使うしかない、一気に体を超加速すると三人の鳩尾を一突きずつして、手塚さんの傍に戻った、三人以外出てくる奴はいなかった、男たちが同時に倒れた

「えっ、今、竜崎さん、何をしたの」

無視して

「警察を呼んでください」

「まぁ良いか、警察より情報部に連絡します、調べたいので」

「お好きにどうぞ」

マンションまであと僅か、と言う所で襲われた、今日はちょっと能力を使い過ぎたかな、そう思った時、目の前が揺らぎだした、そして暗くなった、そして、周りに何もない空間にいた

「無茶をしおって、未だ、ほんの一部しか使えておらんのに」

呟くような声に、そっと目を開けると、何時かの、あの時、白い手袋をくれた老人がいた

「此処は、何処ですか」

「わしの部屋じゃ」

「部屋ですか」

見回してみたが、何処にも壁がない、空間に俺と老人が浮いているだけで、その周りだけが明るい

「分かりやすいと思って部屋と言ったが、わしが寛ぐ時の居場所じゃ、お前さん達にはただの空間に見えるだろうが、周りにいろんなものが存在している、まあ、そんな事はどうでもいいが、お前さん、もう少し体を鍛えなさい、鍛えずに無理な能力の使い方をすると、今のように意識を失う事になる、この間に命を狙われたら、死んでしまう」

「そうなんですか、分かりました、気を付けます、ありがとうございます」

思いがけ時に会う事が出来た、始めから疑問に思っていた事を聞いてみる

「それと、一つ教えてください」

「なんじゃ」

「なぜ、俺にこの力をくれたのですか」

「ああ、その事か」

「わしにもわからん、ちょっと一休みしていた所を、お前さんにはわしが見えた、その事に驚いた、皆知らん顔して通り過ぎていたじゃろう、わしの事は見えなかったからじゃ、それがお前さんには見えた、お前さんの遺伝子の中に、神のかけらがあるようだ、だから見えた、だから、遠い昔にある神が儂にくれた、白い手袋思い出し、おまえさんに与えたんだ、神のかけらとは、要するに神の因子じゃ、遠い昔、わしの仲間の神が人間を作った時、神の体の一部から作った、何万年も過ぎ行くうち、何度となく生まれ変わり、それは薄れ消え去ったはずなのに、それがお前さんの中に現れておった、地球の人間社会で言う、突然変異と言うものかもしれない、その白い手袋の力は、神の因子を持つ者以外が使っても、ただの白い手袋でしかない、手袋は使えない筈だが、お前さんは能力を使っているという事は、神の因子を持っている証拠じゃ、理解できたかな」

「神の因子を持っていると、何か良いことがあるのですか」

「さあ、遠い昔の事じゃ、もしやと思い試して見ただけで、詳しい事は分かんのじゃ」

細かい事は気にならないのは、そのせいかな、神のように大きな心、違うよな、そんな些細な事じゃないな、などと考えてみたが

「ええ、分かったような、分からないような」

「まあ、それで良い、簡単には理解できまい、その手袋は、もう、お前さんの体の一部になっておる、意識するだけで嵌められるし、脱ぐことができる、通常はおまえさんの、四次元ポケットの中にいる筈じゃ」

「四次元ポケット」

「何だ、知らんのか、と言うか、言ってなかったな、目が覚めたら、念じてみなさい、何でも出し入れできる、便利なものじゃ、但し、手袋と同じで、人目があると力は顕現しないぞ、他にも儂も知らない力が、眠っている筈じゃ、おいおい分かって行くじゃろう」

「儂そうなんですか、分かりました、ありがとうございます」

「ああ、それから、お前さんは無茶をするから、これをやろう」

緑の錠剤のようなものを出した

「これを、四次元ポケットに入れておく、また意識が危なくなったら、出して飲みなさい、安全を確保できる時間くらいは稼げるじゃろう、一度使うと次の粒を精製するのに一日かかるから気を付けて、ではな」

そう言うと空間全体が消えてしまった

夢を見ていたのか、先程目を覚ました時目を開いたはずなのに、また眼を閉じている、それにベッドの上にいる感じがする、不思議に思いながら、瞼を開けると

「ああー、良かった、気が付きましたか」

手塚さん、白下さん、松沢さんが、俺の顔を覗き込むようにして見ていた

「はっ、ここは」

「突然、倒れるから、驚きましたよ、大丈夫ですか、何処か痛いとか、具合が悪いとか、ないですか」

言われて起き上がると

「ええ、何処も」

ベッドを降りて手足を動かしてみる

「何ともありません、大丈夫です」

「よかったぁー」

三人が合唱している

「心配させたようで、すみません」

「いえいえ、暴漢三人をやっつけた後、倒れたから、慌てました、白下たちを呼んで、病院に行こうかと思ったのですが、何しろ秘密の多い人だから、一応ここに運んで、医者に来てもらい見てもらったのですが、何処にも異常はないと言うし、CT検査とかしないと分からないというので、どうしようかと相談していたら、気が付いてくれて、良かったー」

塚田が万歳をしている、大袈裟なと思ったが、塚田さんにしてみれば、そんな気持ちかもしれない

お読みいただきましてありがとうございました

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