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 1白い手袋  作者: ベン マウント
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親友

「竜崎、おい、起きろ、こんなところで寝ていると風邪ひくぞ」

如月に起こされた、ソファに起き上がると

「ありがとな、すっげえ良い所紹介してくれて、良かったら卒業後、正社員になってくれても良いだってさ、やってみて、良いようなら、なんてな」

「良かったな、気に入ってくれて、良かったよ」

「月三十万、新卒の給料よりいいじゃないか、こんな事って、特別な才能も何もない俺には、出来過ぎた話だ、それもみんなお前のお陰だ」

「人手を増やすようなら、由利子さんもどうだ」

「ええー、そりゃあ、喜ぶよ、でも、増やすかな」

「うん、その時はまた、聞いてやるよ」

「うん、頼む、由利子もいろいろバイトしてるから、こんないい話だったら、喜ぶよ」

だったら、追加して貰おう、どうせなら俺の関係者でかためてしまおう、その方が日に津を守るためには安全だ、そんな事を考えている時、チャイムが鳴った、インターホンの画像を見ると、あの刑事だ、どうしてわかったのだろう、しょうがない応対くらいはしてやるか、うたた寝したら怒りは治まっていた、ロックを解除してやる、暫くすると部屋のチャイムが鳴る、廊下のドアを開け

「良く分かったね」

そう言うと

「警察を舐めて貰っては困る、一番得意とするところだ、それにしても、その若さで、まだ大学生だろう、働きもしないでこんな高級マンションに、どうやったら入れるかな」

「余計なお世話です、ちゃんと自分で稼いでいますから」

「自分で稼いでいるぅ、まともな仕事じゃあ、そんなに稼げない、犯罪すれすれな事でもやっているんだろう」

「警察が、やくざのように、家に押しかけてまで、いちゃもんつけるのか」

「青二才が、生意気言うんじゃない」

「何しに来たんだ、ケチをつけに来たのなら帰れ」

また、腹が立ってきた

「何だその言い方は、年上の人間に向かって、親の顔が見たいものだ」

この刑事は駄目だ、刑事というだけで、やくざよりたちが悪い、どうしよう

「とにかく、此処は俺の家だ、出て行ってくれ」

「調書を作らなければいけないんだ、協力しろ」

頭に来た、どうすればいいか取り敢えず、ドアから押し出しドアを閉めた

「お前、公務執行部外で逮捕するぞ」

外で怒鳴っている、すると隣から誰か出てきたようだ

「何だね、騒々しい」

塚田さんの声だ

「ああ、すみません、警察です、此処の人に協力依頼に来たんですが」

「協力依頼ですか、悪いな、最初から聞かせてもらったが、あんたはものを頼むという、態度では無かったようだが」

「あんた、立ち聞きしていたんですか」

「ええ、あれだけ大きな声で話されると、自然に耳に入ってきますよ」

「だから何だというんですか」

「まるで喧嘩を売っているような話し方でしたよ、近頃の警察はものを頼むのに、あんな言い方をするんですか」

「いや、そんな風に聞こえましたか、余りに失礼な言い方をするものですから」

「聞いていた限りでは、貴方の方が失礼な言い方をしていましたよ」

「そんなわけないでしょう」

「貴方、自分で気が付いていないんですか、だったら刑事を止めた方が良い」

「貴方は、何なんですか、失礼な余計なお世話です」

「何でしたら、私の友人に聞いてみますか、どちらが正しいか」

「友人て、何の事です」

「警察庁の事務次官の、大森君は私の友人でね」

「そんな、はったりを言って、刑事を脅すと」

「張ったり、そうですか、では」

スマホを出すと電話をかけ始めた、気になるのでインターホンの画面を見ている

「大、先日はどうも、手塚だが、うん、特別用事という訳では無いが、私があんたの友人だと信じてくれない人がいてね、申し訳ない」

スマホを刑事に渡す、如月と廊下に出て行って様子を見る

「警察庁事務次官の大森です」

此処まで声が聞こえてくる

「あ、あの」

「塚田は数十年来の友達ですが、どうかしたのですか」

「い、いえ、すみません、失礼しました」

震える手でスマホを塚田に返している

「忙しいところを、手間を取らせてごめん、また例の場所でのもう、じゃあな」

スマホをポケットにしまうと

「信じてもらえましたか、この竜崎さんも彼と知り合いですよ、大森と」

「わ、分かりました、失礼いたしました、今までの事は勘弁してください」

権力をかさに着て、威張っていたのに、酷く惨めな事になっている、可哀そうなので

「塚田さんもう良いでしょう」

「そうですか、竜崎さんが良ければ」

こうなれば仕方ない、調書に協力してやる事にした、人が変わったように、丁寧な対応で感謝の意を伝えて、刑事は帰って行った

「手塚さん、ありがとうございました」

「いえ、差し出がましいと思いましたが、しつこそうでしたので」

「助かりました、大森さんとかいう人、会ったことはないのですが」

「良いんですよ、あの場面、ああ言うはったりが一番、そのうち大森にもあって貰います、銀行の時の貸しがありますから」

「余り人には知られない方が、貸しなんて思ってませんし」

「ああ、そうでした、でも、今後また相談される事もあると思いますよ」

「まあ、その時は匿名でお願いします」

「そうですね、外国の情報部が血眼で探していますからね,用心しなければでした」

「そうですよ」

「タンカーの件も、乗組員の話から、異常さを感じているはずです、また一層力を入れて情報戦が、激しくなっているはずです」

「気が重いですね」

「どうも、CIAが私を疑い始めているようなので、十分注意が必要です、気密室をここにしたのは、まずかったかもしれません」

「まあ、知れても本当の所は分かりませんから、大丈夫です、塚田さんたちは今まで通り、動いていてくれれば、俺は関係なく自由にやりますから」

「そうしてください」

塚田さんは部屋に戻って行った

「竜崎、お前、何だか話は見えないが、秘密だらけの感じだな」

「ああ、ちょっとな、塚田さんの所で働くからには、お前も巻き込まれる事になると思うから、よろしくな」

「まあ、どんなことがあろうと、お前は親友だからな、良いさ」

「はははっ、そうか」

白い手袋によって、俺の人生は大きく変わった、今の俺は、望む事はほぼ望み通り出来るだろう、腕力と金力に関しては、俺が考える範囲程度ならだが、俺は昔からあまり細かい事にこだわらないから、感じなかったが、三流会社のサラリーマンの子供だった俺は、今騒がれている、いじめに当たる事なんて、いくらでもあったような気がする

「貧乏人だから」

あれは出来ないだろう、あそこへはいけない、あんなものは食べたことがないだろう、散々そう言われた、親しい友達もいなかった、俺自身がいじけてしまっていたからなのか、貧乏だから当たり前の事と思っていた、今でも、高級レストランとか、高級の付くものは苦手なのは、やはり育つ過程で体験していないらだろう、だがそんな奴等に対して思っていた、お前の力じゃないだろう、親の力じゃないか、何を勘違いしているんだ、可哀そうに、自慢する彼らをそう憐れんでいた気がする、合おう思っていられたのは、暴力的いじめに、あわなかったからかもしれないが、自分をそんなに惨めだと思ってもいなかった、父も母も優しかったし、大好きだった、だから何があっても、みんなに馬鹿にされようとも、この二人だけは、絶対に俺の味方だと自信があった、親の愛情と三度の食事があれば、他に何を望むのだ、人をさげすむ奴らの方が哀れに思えた、そんな頃の事だ、初めて心を許せる友達ができた、それが如月だった、どういう訳細かいことは覚えていないが、いつも一人ぼっちの俺を気にかけ、気が付けば何時も俺の隣にいた、生活環境が同じ程度だった事も有って、独りぼっちが慣れていた俺と、意外と気が合った、それ以来の親友だ、そんな事を何となく懐かしく思い出していた

「よし、旨いものでも食べに行くか」

「良いな、昼はラーメンだったから、夕飯はなんにする」

「食べたいものを奢るよ」

「そうか、何が良いかなぁ」

「とにかく、外に出るか」

マンションの外に出る

「おやぁ、おい、お前、竜崎じゃないか、如月もいる」

その声に振り向くと、中学時代同級だった、上村とその取り巻き達だった、今でも変わらないメンバーのようだ

「なんだ、上村か」

昔から好きな奴ではないので、そっけなくそう言うと

「相変わらず、貧乏人同士で、このマンションでアルバイトか」

父親が大会社の重役、というので何時も俺たちを馬鹿にしていた、馬鹿の一人だ

「お前には関係ないだろう」

無視して歩き出すと

「親父の知り合いも、此処に住んでいるんだ、仕事紹介しても良いぜ」

「間に合ってるよ、じゃあな」

そう言うと

「人が親切に言っているのに、無視するな貧乏人が」

それでも無視して歩いていると

「貴様、俺様が親切に言っているのに」

追い駆けて来て肩を掴む

「うるさいなぁ、だから、お前に用はないんだよ」

「何だと、偉そうに、あのマンションで仕事できないようにしてやるからな」

「ああ、したきゃ、しろよ」

そう言って、置き去りにして食事に向かった、高級店ではなかったが、旨いと評判の焼き肉屋で、昔は食べられなかった、高い肉を腹いっぱい食べた、帰り道

「やはり、高いだけあるな」

「うん、旨かった」

「今日は泊って行けよ」

「ああ、そうするか」

そんな話をしながら、マンションに戻ったが、部屋に戻り暫くするとインターホンが鳴った、玄関ホールの画像を見ると、上村だった執念深い奴だ、取り巻きの誰かに見張らせていたのだろう

「何の用だ」

そう言うと

「留守番のアルバイトか、部屋は分かったから、お前がバイトできないようにしてやるからな」

「しつこい奴だ、やくざでもそんなにしつこくないぞ、やるたきゃやってみろ」

そう言ってインターホンを切ってしまった、如月が

「あのバカは、金持ちぶるしか自慢する事がないのだろうな、哀れな奴だ」

「全くだ」

他にやる事はないのか、あのバカは







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