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 1白い手袋  作者: ベン マウント
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事件後

国際会議の会場から帰ると、ぐったりしてしまった、白い手袋を長い事嵌めると、体力を持って行かれる事を忘れていた、しかし、あの能力は、俺のエネルギーが使われて、作動しているという事なのか、だが体力を消耗するのだからそうなのだろう、良くわからない、翌日、一日中寝ている事でようやく回復したが、やはり体力は地道に、毎日続けなければ、本物の持久力はつかないと、よくわかった、俺はまだまだ、楽な道を選ぶ性格からぬけ切れていない、反省しなければ

分からない事はまだあった、俺だけ周到に準備した警察が、あの三人の犯人を見逃すなんて信じられない、どうにも合点がいかないので、松沢さんに問い合わせた

「我々も、あり得ない事だと思って、調べたのです、事前に細工をしてあって、あの日、天井裏の電線がショートしたんです、会議は始まってしまうし、営繕管理課が慌てて、工事の人間を入れてしまったらしいのですが、それが犯人たちだったわけです」

「そんな、単純な事だったのか」

国の面目がかかった、一大イベントがそんな単純な手に引っかかるなんて、でも世のなかそんなものかもしれない、蟻の一穴という事があるのだ、何れにしろ無事に終わってよかった、その事についてはほっとしている、だが俺には、すっきりしない事がまだあった、俺自身の問題だが異次元弾の事だ、あの時咄嗟に使ってしまったが、何故か頭の中に方法が浮かんだのだ、今まで思った事も、使った事もなかった事がだ、あの後、真夜中の公園で、異次元弾と言うものを試して見て驚いた、思った場所に確実に穴が開く、俺があそこに、と場所を思い浮かべると、鉄でも石でも何にでもだ、目視できる範囲は遠くても近くても同じだ、見えない所は試す事も、確認する事も出来ないのでわからない、一瞬だが水にさえ綺麗に穴が開くのだ、恐ろしい武器というか力だった、余程心して使わなければ、恐ろしい結果を招きかねない、当分佳代子にも内緒にしておこう、そう思った

だが物事、そう上手くはいかないものだ、その力を黙って隠そうにも、犯人たちの遺体という証拠が残っていた、警察の鑑識や科捜研で調べても、どんな武器を使って開けた穴なのか、同じ内径で額から後頭部へ貫通しているのだ、銃弾ではこうはならない、説明が付く物がないのだ、あらゆる可能性を調べても、解明できなかったようだ、レーザー光線なら可能性はあるが、大きな装置が必要だ、それに離れた場所を、正確に射貫くことは不可能だ、結局分かるはずがないのだが、究明は続くだろう、しかし公にはならなかったが、問題になったらしい、使用された物のが、解明は無理だろう、そんな武器はこの世に存在しないのだから、だが三人だけは誰がやったか分かっているが、惚けてくれているようだ、余り深くは追及しないよう、それとなく塚田さんに匂わせておいた、何れにしろ罪に問われる事はないだろう

俺のマンションのリビング兼応接室、佳代子と俺のほかに、例の三氏が勢ぞろいしている

「本当に、ありがとうございました、国に代わってお礼を申し上げます」

そう言った後、塚田は皮肉っぽく

「謎を幾つも残してくださって、揉み消しには苦労しましたが、そんな事には代えられない、大問題を無事終わらせていただきました、感謝しています」

俺は惚けて

「そうですか、何か問題があったんですか、ご苦労様です」

「いえ、こちらの責任で、解決させて頂ました」

「それは良かったです」

それを聞いていた佳代子が

「ねえ、何だか、キツネとタヌキの化かし合いしてない」

そう言った

「はははっ、旨い事を言う、それに近いかも」

白下が笑いをこらえながら言う

俺も我慢できなくなって、腹を抱えて笑い出してしまった、三人もつられて大笑いしている、佳代子だけキョトンとした顔でそれを見ていた

「しかし、本当に助かりました、大統領と側近がやられたら、今頃私たちはここには完全にいない、竜崎様様です」

「犯人を倒した武器の調査何て、どうでもいい事ですよ」

「シー・アイ・エーが異常な興味を示しているようですが、大丈夫ですよね」

「証拠も何もないのですから、見つかる事はないでしょう、ねっ、竜崎さん」

「えっ、何でおれに聞くんですか」

「いやいや、念のため、ご意見を聞きたくて」

「分かりませんよ、そう言う事は貴方たちが専門でしょう」

「そうですね、それと、来ていたスーツに撃たれた跡があるのに、体に傷がない人が三人もいたんですよ、あの人たちが負傷していても、大問題だったのですが、本人たちは撃たれた記憶がないそうです、スーツの傷についても心当たりがないとか、数分ですが記憶が飛んでしまっていたようです、次元を戻した間の記憶は、異次元に行ってしまっているので、有るはずがない

「そんな奇妙な事も起こっていたんですか、知らなかった、良かったですね、問題が大きくならなくて」

「ええっ、本当にお陰様で助かりました」

塚田はそう言ったが三人は俺をジト目でみている

「その目つきは、何を意味するか解りませんが、事後報告ありがとうございました、こんな若造に、偉い人が三人もその都度お出でいただき、誠に痛み入ります」

そう言うと、白下が

「ああっ、皮肉言ってる、竜崎さんも世間ずれしてきましたね」

「ええっ、擦れ過ぎた大人の出入りが激しいものですから、汚れてしまいました」

がっくりしたゼスチャーをする

「あー、そう言う事を言うんですか、冗談ですよね」

「本音です」

みんなで爆笑してしまった

「報酬は振り込んでおきました、ありがとうございました」

三人は帰って行った

「なあ、佳代子、旅行に行きたいと思わない」

「うん、良いね、行きたい」

「又、如月達を誘って行くか」

「うん、賛成、由利子さんに会いたい」


信州の旅の続きをする事になった、中央高速を走っている

「うわー、あれって諏訪湖ね、さざ波が白く光ってる、きれい」

女性陣は相変わらず楽しそうだ

「何時かは悪かったな、途中で放り出してしまって」

「いや、由利子と結構楽しく、あちこち寄って帰ったから」

「どのコースで帰ったんだ」

「慎也が言っていたコースを、俺達だけで帰ったんだ、天気が良かったから、高原のドライブコースは最高だった」

「そうか、良かった、つまらない思いをさせたかと思っていたが、良かったよ」

「うん、お前らの方が何か大変そうだったから、俺達だけ楽しんで悪い気がしていたよ」

「そんな事はないさ、お前が楽しくてよかった」

「うん、おまけに、また誘ってくれてありがとう、本当はちょっと物足りなかったんだ」

「そうか、俺たちもだ、今回は思いっきり楽しもうぜ」

「おお、そうしよう」

中央道から長野道に入る、しばらく走り

「わ~北アルプス、良いわねー、気持ちいい」

「どうする、松本で降りるか、それとも長野まで行っちゃうか」

「松本はこの間降りたから、長野までいっちゃおう」

「そうするか」

佳代子た知の意見も聞いて、長野で高速を降りる、まずは定番の善光寺に向かう、裏側の駐車場に車を置くと、境内に向かう、門前からは逆コースになるが最初に本堂に向かう事になる、本堂の裏側に出たところで

「前見て歩け、この婆あ」

「すみません」

「どうしてくれるんだ、食えねえじゃねえか」

「すみません、弁償します」

老夫婦が、三人の男に囲まれ謝っている、それを見て佳代子が傍に寄って行く

「どうしたの」

声を掛けた

「うるさい、ガキは引っ込んでろ」

「ガキとは何よ、いい大人が年寄りを虐めているから、注意しようと来たのよ、あんたたち恥ずかしくないの、大の男が三人もでお年寄りに、何を言っているのよ、みっともない」

「黙って聞いてりゃあ、言いたいことを」

「じゃあ、どうしたのよ、言ってみなさいよ」

「うるせえ、もいい」

三人はそう言うと、その場から歩き去った

「ありがとうございました、ぶつかって、ソフトクリームを落としたから、どうしてくれるんだといわれまして、お嬢ちゃんのお陰で助かりました」

「いいえ、気を付けて帰ってくださいね」

老夫婦は手を取り合って帰って行った

由利子が

「佳代子さん凄いわね、あんな怖そうな男たちに、よく言えたね」

「だって、おじいちゃんおばあちゃんが困っていたら、黙っていられないもの」

「でも、普通怖くて言えないわ」

「由利子さん、佳代子だったら、相手がやくざ十人でも、平気で言っちゃうよ」

「ええー、そうなの」

「ああ、何しろ怖いものなしだよ、間違っていると思ったら、相手が誰であろうと関係ないんだ」

「凄い、尊敬しちゃう」

「慎也、大袈裟に言わないで、私だって相手尊敬を見て考えて言ってるわよ」

「そうかな、まあ、良いけど、佳代子のそういうとこ、嫌いじゃないよ」

「あ、そう言うの、二人だけの時やって」

「そう言う事じゃないが、まあ良いか、行こう」

凄い人並みだった、逆行するのに苦労するが、同じ方向の流れに乗れた帰る人達だろう、参道の店を覗きながら、下って行く

「お腹すいた」

佳代子の一言で遅い昼食を取る事になった、参道にある食堂に入り食事をしていると

「注文と違うじゃないか」

「俺のも違う」

「何だこの店は」

何だかチンピラのようなのが多いな、そう思っていると、また佳代子が声の方に行ってしまった、仕方なくついていくと先程の三人が、店員に文句を言っていた

「またあんたたち、チンピラは早く消えなさい、警察呼ぶわよ」

「何い、またてめえか、うるさいガキだ、黙ってすっこんでロ」

「黙ってられないわ、年よりいじめの後は、食堂でいちゃもんつけて、何なのよあんたたちは」

「うるせえ、おい、行くぞ」

「代金払って行きなさいよ、無銭飲食で警察呼ぶよ」

「うるせえなあ」

そう言うと財布を出し、三千円を抜いてテーブルに置き

見ていた店員が

「お待ちください、おつりを」

「釣りはいらねえよ」

そういって店を出て行ってしまった

食事を済まし駐車場に戻り、スマホで出た観光スポットを、四人で検討した結果、戸隠方面に行く事になった、GPSを頼りに戸隠に向かっている時、前の車が急停車した、追突寸前で停止すると、前の車から五人の男が下りて来た、先程の男たちもいる、そう言う事か

「如月達は俺たちが下りたら、ドアをロックして中にいてくれ」

「いや、俺も」

「如月悪い、正直邪魔だから」

「そうか、分かった」

俺と佳代子が下りて、ドアのロックの音を確認すると

「又お前らか、懲りないな」

「ほんと、チンピラもここまで落ちると、哀れね」

「このクソガキ」

佳代子に殴り掛かった、予想していたので、躱し乍ら腕を掴み、道脇の茂みに放り込む、他の四人を二人ずつ、あっという間にやぶの中に放り込んだ

「どうする、まだやるか」

五人はやぶの中に転がったまま、俺たちを見上げている、ちょっと威嚇して

「まだやるかって聞いているんだ」

「ごめんなさい、申しません、許してください」

「だったら、さっさと消えろ、早く」

脱兎のごとく、と言えるほど慌てて車に乗ると、走り去った

お読みいただきましてありがとうございます

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