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 1白い手袋  作者: ベン マウント
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大統領警護

松沢さんから、依頼があると連絡があった、何故か電話では言えない内容らしい

「お会いしたいのですが、そちらに伺ってもよろしいでしょうか」

最近、俺は大学生としては、生意気すぎるが、セキュリティの厳重な、高級マンションに引っ越した、世間的に納得して貰えるように、部屋の中にはコンピュターが五台ほど設置してある、デイトレーダーという事になっているからだ、若くしてこのマンションに住んでも、言い訳ができる職業だ、実際はやっていないが、収入面で不審を持たれないように、そうしてある、秘密が多すぎて、こういうマンションに、住まざるを得なくなってしまったのだ、白下さんや塚田さん、松沢さん、皆他人に聞かれたら困る話ばかり持ってくる、だから俺の部屋は絶対に盗聴されない自信がある、松沢さんもだから訪ねてくるというのだ

「どうぞ、待ってます」

電話を切って、ソファに座ると大きく伸びをした、何だかまた何か事件が遣って来るのだ、松沢さんの話の雰囲気から、相当重大な事件が起きるのか、起きたのか、何れにしろあまり歓迎したくない事に違いない、今日は佳代子は居ないし、昼はどうしようかな、そんな事を考えているうちに、居眠りをしてしまったようだ、チャイムの音で目が覚めた、松沢さんが到着したようだ、ドアを開けると

「えっ、どうしたんですか」

松沢は分かるが、塚田、白下両氏までいるのだ

「いや、政府から極秘警備対策を、三人でチームを組んでやれ、と言う命令を受けて、集まる事になったんだが、役所でこの三人が一緒にいるのは、極秘というのに目立ちすぎる、それで竜崎さんには申し訳ないが、ここに集まる事にしたんです、役所以上に安全と言ったら、竜崎さんの所以外思いつかなくて、すみません」

「いや、良いですけど、そんなに重大な事件が起こるんですか、兎に角入ってください」

三人が応接セットのソファに座り、俺も加わり全員で顔を見合わせ

「このメンバーが集まる時は、良い事がないね」

塚田がそう言って、四人で苦笑しあった

「俺が疫病神だからでしょう」

俺がそう言うと

「違いますよ、私たちが疫病神でしょう、その疫病を治してくれるのが、竜崎さんなのです、本当に申し訳ないと思うのですが、結局最後は竜崎さんに頼るしかない、情けない三人と言う訳です」

「流石塚田さんだ、いう通りです、竜崎さん、誠に申し訳ありません」

白下が言って頭を下げる、他の二人も習って頭を下げている

「止めてください、何を今更言ってるんですか」

「あっ、今更ですか、言われちゃったけど、そうですね、今更だ」

思わず全員で吹き出し吹きてしまった、大笑いした後落ち着いてから

「三人がそろってやらされるなんて、よほど大事件という事は分かりますが、そろそろ、内容を教えてもらえますか」

「分かりました、国際会議があるのは、ご存知ですよね」

「ええ、知ってます」

「出席する、某国大統領、今内戦が勃発しているのは」

「ええ、ニュースで見てます」

「その、大統領が来るのです、反政府組織と国内の、反政府支援派が、それを狙って集結しているとの情報があって、どう守るか日本政府として守り切れるか、その護衛警備を私たち三人が、責任をもって計画実践しなければならないのです、国のメンツがかかっている訳です、どうでしょう、良い方法はありませんか」

「そんな重大な話に即答はないですよ、まずは皆さんが遣るとして、国の対策は」

「もう、人海戦術しかありません」

「ではその方面の専門家を集めるわけですね」

「そうなります、各県の優秀な者たちを集めますが、完璧ではないですね」

「相手もそれなりの人間を使うでしょうから、完璧は無理でしょう、俺もどうしたらいいか、いい方法はないか調べてみます」

「是非お願いします」

「会場、警備体制、警戒の装備など、情報をくださいね」

「勿論です、よろしくお願いします」

其の後、予想される問題点や、警備人員配置等、経験上知り得た情報を話し合った、俺には分からない事が多かったが、三人はなるべく理解できるように、分かりやすく話してくれた、分かった事は今回、三人が任された任務は、非常に難しい問題だが、失敗は許されないという事だ、失敗すれば三人が職を失うだけでは済まない、国の信用が失墜するという、なんとか完璧な大統領の護衛を考えなければ、幸い俺にはその為に与えられたような、非常識な力があるのだ、何とかしなければ、問題は人目の多い場所で、誰にも知られずに俺の力を、使う方法があるか、それが問題だ


会議まで一か月を切った、試行錯誤が続いている、佳代子にも協力して貰っているが、決定的な方法が見つからない、公衆の面前で守らなければいけない、俺の秘密は世間にばれようはないが、というのは人目があると、両手に嵌めても異次元に移動しないのだ、手袋が人目を感知し制御してしまう、つまり透明人間になれないからだが、人目のない所で透明人間になってどう守るかだ、何処からどういう形で、いつ攻撃があるか分からない、前周囲を完全に守る事が出来るか、方法が見つからない

人に見られないように、佳代子と山の中で、護衛対策の訓練をしている、訓練の要点をメモした紙を見ている、風で飛ばないように、無意識で風上に手をかざして風を遮っていた、透明人間になったままでだった、結構強い風なのに手の内側は、無風状態だ、両手で輪を作ると、輪の内側においた紙は微動だにしていない

「佳代子、ちょっと来てくれ」

佳代子を呼んで向かい合い、両手をつないで輪を作る、両手に手袋をしている、輪の内側は無風状態だ、輪の中は透明になっていない、俺と佳代子の手と体だけ異次元にいて、二人で作った輪の内側は現次元にいるのだ、つまり異次元の盾が形成されているという事だ、いけるかもしれない、佳代子の手を借りれば、完璧に大統領を守る事が出来る、可能性が出て来た、問題はこの壁の強度だ、試すのにどうすればいいか、塚田さんに頼んで、違法だという事は分かっていたが、無理に頼んでライフルを貸してもらった、俺が一人で輪を作り、佳代子にその輪の上の方を、撃ってもらって試した、弾は異次元の壁に吸い込まれ、消えてしまった、これで完璧に防御できる、しかも、公衆の面前で、俺たち二人が透明人間になって、両手をつなぎ大統領を囲んで居れば、完璧な全方位の盾になるのだ


「塚田さん、方法は言えませんが、完璧な方法が見つかりました、安心してください」

「ええー、完璧はないって言っていたじゃないですか」

「それが、完璧なのです」

「それは有りがたい、竜崎さんが言うなら、本当なのでしょうね、ありがとうございます」

「塚田さんたちは、計画通り警護を実行してください、何が有っても、大統領の安全は保障します」

「分かりました、ありがとうございます」


当日、会場の警備は厳重だった、制服の警官が隙間のないほど、並んで警戒に当たっている、その上私服も警戒しているのだから、過剰ともいえる警戒ぶりだ

「これで、俺たちが必要なのか」

ほぼ呆れた思いで会場を見ていた、俺たちは一応入場許可証は持っているが、使って入るつもりはない、外から野次馬に混じって様子を見入るながら、大統領が到着するのを待っていると、各国の首脳達が到着し始めた

「用意するか」

警戒が厳重過ぎて、物陰の死角がない、佳代子の手を引いて、機動隊を載せて来た、バスの陰に入り手早く手袋を嵌める、手袋を嵌めてしまえば、人混みも警戒線も関係ない、大統領が到着して車から降りたところに近づく

「やだな、このおじさんの近くに、居なきゃいけないの」

「それが役目だ、我慢して」

普通に話しても俺たちは、異次元にいるから周りには聞こえない

「匂いも何も感じないんだから、大丈夫だろう」

「うん、まあ、視覚だけで後は感じないから、良いけど、イケメンならもっといいのに」

「馬鹿言うんじゃないよ、イケメンな大統領何ていないよ」

「それもそうね」

話しながら二人で輪を作り、大統領はその中を歩いている、割と小柄でやせていてよかった、これがデブで大柄だったら、佳代子はもっと嫌がっただろう、会場の席に着いた、俺たちは一緒に移動したが、歩いていたわけではない、大統領にぶら下がった様な状態だ、俺たちの重量は現次元ではゼロなのだ、大統領は異次元の鎧を着ているのと同じだ、大統領に触れて俺たちの次元に来てしまうと、俺たちが見えてしまう、有ってはならない事なので触れないよう、調整してある、大統領の体との間に空気の壁を創造し、そのそとから守っている、いくら暴れられても一センチの空間が空いたままになる

「でも、気分良くないね」

「俺だって同じだよ、こんな親父にくっついているなんて」

会議も終わりに近づいた、そしていよいよ大統領の演説の番だ、演壇に上がっていく、一番狙われる瞬間だ、案の定、天井の三方から銃弾が飛んできた、警備班何をやっているのだ、ちゃんと調べろよ、大統領を狙った弾は異次元の壁で消えたが、壇上にいた何人かが倒れた、飛んでくる弾丸は見えているのだが、大統領を守るので手一杯、右手で三方向に異次元弾を放つ、放ったと同時に、スナイパーの額に穴が開いていく、異次元に時間と言うものが存在しない、放った時は到達の時なのだ、血も出ない、当たった部分は異次元に移動してしまっている、小さな空洞があるだけだ、犯人は三人他に危険は感じない、素早く倒れた人たちに触れて、次元を数分前に戻す、体が元気だった時間に戻すのだ、場内はパニック状態だが、多数の警官や刑事たちが整理に当たっている、直ぐに収まるだろう

「塚田さん、もう危険はありません、天井の南西、北と東、三人の犯人の死体があります、処理してください、俺はこれで引き揚げます」

「ありがとうございました」

こんな時だ多くは語らない、佳代子と現場から去るとき

「おい、服に穴が開いて血が付いている」

「あっ、俺もだ、何があった」

騒いでいた、怪我人もいなくなったはずだ、これで国のメンツは保てただろう、しかし初めて人を殺してしまったが、仕方なかった、見たくないから急いで会場を去る事にする

お読みいただきましてありがとうございました

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