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 1白い手袋  作者: ベン マウント
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誤解

ハイジャック事件は、世界中で報道された、怪我人一人出さず見事に解決、日本の警察力が評価されると言う事は、治安良いという事だ、政府の面目躍如という事だ、俺達には関係のない話だが、新聞を見ながら、そんな事を考えていると、白下さんから電話が来た、連続して依頼という事はないだろう

「竜崎さん、申し訳ありません、私、左遷されてしまいまして、今日付けで竜崎さんの担当が変わります」

「どうしてですか、一番手柄を立てた人が左遷なんて、白下さんが依頼したから、解決に手を貸したんですよ」

「ええ、ですが表向きは警察が、解決したことになっていますから、私は関係ない事になります、私はどうでも良いのですが、竜崎さんに無報酬と言う訳にはいかないでしょう、報酬を払えと、上に談判したのが上司には気に入らなかったらしいです、自分の手柄を誇示したと捉えたのでしょう左遷です、だって、悔しいじゃないですか、実際は竜崎さんと佳代子さんが、解決したのに何の報酬もないなんて、悔しくて、おまけに自衛隊を勝手に使ったことも、職権乱用だそうです、すみません、そう言う訳で、担当を外れますが、よろしくお願いします」

「分かりました、俺は政府と何の契約もしてませんよ、白下さんと約束しただけですから、そう言う事なら、今後一切依頼は断ります、白下さんもご苦労様でした」

「それは、困ります、引継ぎで」

「約束の時、俺の判断で受ける受けないは決める、でしたよね、無理強いはしないと」

「そうです」

「だったら問題ないでしょう、俺が受けないだけですから」

「それはそうですが」

「それに、俺の事は無暗に人に話さないでください、そう言う事です、次の職場でも頑張ってください、白下さん以外のお役人とは、お付き合いはごめんです」

「そうでした、分かりました、すみません、頼むだけで何も出来なくて」

「白下さんが悪くないですよ、周りの役人が気に入らない、それでは」

電話を切った、白下さんを左遷とは、出世と言うなら分かるが、後ろ足で砂を掛けられた気分だ、二度と協力などしないぞ、決めた


ニュースで銀行立て籠もり事件を、やっている、朝から報道番組は皆その現場の、中継だ、二人の男が銀行に立て籠もって、行員を人質に取っているという事だ、佳代子とテレビを見ながら

「白下さんが居たら、俺たちの出番だったんだろうな」

そう言うと佳代子が

「だけど、白下さん可哀そうだよね、一番お手柄なのに左遷何て、お役人て訳が分からない」

画面は膠着状態の現場、生中継でやっている、警官隊が銀行を取り囲み、だいぶ離れた警戒線から、大勢のカメラマンが其れを映している、夕やみが迫っているが、人質がいるため、人命優先で手の打ちようがないらしい、ドラマなどでは、此処で食事の差し入れに、警官が変装して、何て事になるのだが、それはないらしい、人質も犯人も腹が減るだろうに、どうしているんだろう

「佳代子、協力はしないけど、中はどうなっているか、見に行こう」

「人質の人達には悪いけど、私たちが簡単に解決すると、警察の仕事がなくなるものね」

「そうだよ、だから見るだけ」

出かける支度をしていると、電話のコール音

「内閣安全対策室の松沢と申します」

「竜崎ですが」

「実は、白下に聞いたのですが、事件に協力依頼を」

「何の話でしょう、俺は一介の大学生です、御掛けまちがいでは」

「いえ、確かに白下が」

「ええ、白下さんは知ってますが、彼以外とは話したくないので、失礼します」

電話を切ってしまった

「白下さんの後任から電話だ」

「馬鹿みたい、相手にしない方が良いよ」

「当たり前だよ、相手などしていられるか」

暫くすると、また電話がかかって来た、先程十と同じ電話盤番号からだ

「私は、内閣官房の白下の上司で、塚田と言う者だが」

「はい、なんでしょう」

「協力の依頼だが」

「なんの」

「事件の」

「なんで俺に」

「あんたに頼んで、ハイジャック事件が解決したと」

「だから」

「だから、ご存知と思うが、銀行立て籠もりを」

「お断りします、また、担当を左遷するんでしょう、人を不幸にする事に協力しない事にしましたから」

「何を言っている、人事に口を出すのか」

「いや、偉いあんたがやる事だ、文句何て言わないよ、偉いんだから自分で解決しなよ、じゃあ」

電話を切ってしまった、事件は膠着状態のまま、報道の口調が警察非難の、方向になって来た、又電話だが出ない事にする、それから小一時間が過ぎた、何も変わらない

「何だか、様子見に行く気がなくなったな」

「そうね、私は帰ろうかな」

「そうだな、送ろうか」

「うん、当然」

「馬鹿、小悪魔」

そう言って立ち上がった時、ピンポーン、となった、つい最近家から出てマンション住いになったのだが、誰だろう、未だここを知っているのは、佳代子だけのはずだ、新聞の勧誘でも来たのかな、そんな事を考えながらドアを開けると、白下さんが立っていた、後ろに知らない男の人が二人立っている、そうか、調べられていたのか、当然と言えば当然か

「竜崎さん、私からもお願いに上がりました、上司の塚田と後任の松沢です」

「白下さん、あんた以外に知られないように、という約束では」

「すみません、申し訳ありません、人の命がかかっているのです」

「だから、その偉い人が解決すればいいでしょう、事件が過ぎればまた、白下さん更に何処か、に飛ばされますよ、俺はごめんだね、だいたい俺に何の関係があるんです、その事件に、いい加減にしてください、もう二度と協力はしません、お帰りください」

そう言ってドアを閉めようとした時、塚田が土下座を始めた

「ちょ、ちょっと止めてください、冗談でしょう、俺が虐めているようじゃないか、分かった、話だけ聴きます、兎に角、中に入って、ドアを閉めてください、近所迷惑だ」

「中に入ると、三人はリビングのソファに座らずに、床に座った

「そう言うの、止めてもらえるかな、ソファに座ってください」

そう言うとソファに座り直した

「で、俺にどうしろと、聴けばハイジャック犯、爆薬も持っていたんだって、二百十数人の命を救った、立役者を左遷するような、上司さん、今度は誰に何をさせるんですか」

そう言うと、塚田が話し始めた

「言い訳と言われるかもしれないが、あの事件は世界中が注目していた、警察が解決した事になっているが、世界の専門家たちは信じていなかったんだ、各国は精鋭を送り込んで、真実を突き止めようと動き出した、あんなにあっさり解決出来る事件ではなかった、そこには重大な秘密があるに違いない、今も続いているだろう、そんな時白下を出世させれば、確実にマークされる恐れがあった、左遷ならあんな事件を、解決した立役者を、左遷何てあり得ない話だから疑われる事はない、それで左遷してもらった、何れ悪いようにはしないつもりで、だが本人に話してしまえば、ニコニコ左遷されていったという事で、可笑しいと疑われる可能性がある、だから、本人にも言わなかった、今考えると、龍崎さんにだけは言うべきだったと、後悔しているんです、白下がマークされなければ、竜崎さんは安全だったんですから」

全て辻褄があっている、ガーンと頭を殴られたような気がした

「塚田さん、本当です、俺にだけでも言ってもらえたら言ってよかったのに、畜生、そんな裏があったなんて、塚田さん、数々の無礼、許してください、分かりました、納得しました」

「分かっていただけましたか、良かった、では、お願いできますか」

「塚田さんに、借りが出来てしまった、受けないわけにはいかないでしょう、すぐに出発します」

「では、私たちの車で」

「いえ、色々と秘密があるものですから、自分の車で行きます、場所は分かりますから、それと、白下さん例のトランシーバー、貸してください」

すぐに出発した、現場から離れた駐車場に車をおいて、歩きで現場の近くまで行く、物陰で白い手袋を嵌めると、佳代子と手をつないで、銀行の前まで進んで行く

「入るぞ」

建物の中に入ると、二人の男がカップラーメンを食べながら

「兄貴、うまくいくかなぁ」

「大丈夫だ、人質を連れて前の駐車場に、ヘリコプターを用意させる、人質に囲まれてヘリまで行けば、狙撃なんてされない」

「あと、一時間で用意するかなぁ」

「しなければ、人質を撃って脅せばいいさ」

人質は二十人程、ロビーに固まって座っているが、皆さん相当に疲れた顔をしている、幸いラーメンを食べるために、拳銃を後ろに置いてある、そっと近づき拳銃から弾を抜いてしまった、丁度近くを電車が通過したお陰て、気づかれる事はなかった、二人は椅子に座っているので、佳代子と一人ずつ、男たちのベルト通しと、椅子を結束バンドでそっと結ぶ、拳銃は一丁だけだ

「白下さん、入り口から入ったところに人質、少し先に犯人が二人そろっています、拳銃の弾は抜きました、男たちは動きずらくしてあります、突入してください」

警官隊が、窓を破って突入して来た、二人の男は慌てて立ち上がったが、椅子が離れず転倒してしまった、急いで立ち上がろうとしたが、警官に取り押さえられてしまった、それを確認すると

「帰るか」

「うん」

「何だか腹が減ったな」

「近くのファミレス」

佳代子がスマホに話しかけている

「すぐそこにある、行こう」

また人助けができた、神様、これで良いんでしょうか、しかし、塚田さんには、やられた感が強い、改めて謝りに行こう


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