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トーストハプニング  作者: 谷村碧理
apple 落し物から始まる異能バトル⁈
22/28

これって現実? それとも空想?(表

 

『なぁ、にーちゃ』


『どうした妹』


 気がついたら家のリビングにいた。『さぁ選べ。結婚か、死か』と書かれたTシャツを着て、床をゴロゴロしている妹がいた。妹のTシャツのセンスは相変わらずナゾだ。ナゾすぎる。もはやこれが我が家の日常風景なんだか。


『友達から聞いたんだけど、にーちゃみたいな人はチューニビョウって言われているらしーぜ。しかもチューニビョーって病院行っても治らないってきーた』


『断じて中二病ではない。そして僕は高校一年生だ』


 マジでどこの誰から教わったんだよ、漫画好き=中二病っていう偏見。僕は常日頃から痛々しい妄想なんていてないし。ただただ純粋な気持ちで少年漫画を読んでるだけだし。


『だってそーだろ。だってこないだ読んでたあの本ってちょーかわいい女の子があんなことやらこんなことやらしていただろ』


「だから僕にそんな趣味は無い! 僕が読むのは基本的にバトル物だ!」


 思わずベットから全速力で起き上がって言ってしまった。どうやらさっきのは夢だったらしい。


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 目が覚めたら特になにも置かれていない部屋にいた。僕が寝かされているベットとその横にパイプイスが置いてあるぐらいだ。そして部屋にはだれもいない。


「だーかーらー、この本は女の子のキャッキャウフフがメインじゃないって何度言ったらわかるんだ! いいか、この本の真の主題はな……」


「だからそれがキャッキャウフフというやつじゃないのか」


「だから、だから!」


「もういいですよ、それで」


「良くない!」


 なんかドアの向こう側から聞こえてくるんだけど…………もしかしてさっきの夢ってこの叫びのせい? そして僕はどうしたらいいの? なんかほったらかしにされてるような気が…………。


 とりあえず部屋に誰かしらくるまで無言で待っておこう。あの叫びの中に入れそうにないし。



 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



『…………き、みつき』


『なんだよ』


 気がついたら僕は、外で座ってた。と言っても揺れるしキーキー音が鳴るからブランコなんだけど。目の前にいたのはとても小さい女の子だった。どこかで見たことがある気がするのは気のせいだろうか。


 思い出した。これ僕が小学校に入学するちょっと前の出来事だ。確か僕にはとても欲しかったランドセルがあって母さんに何度も何度も頼んだのに、買ってきたのは全然違うカバンだった。それでケンカして、怒って家を出たものの行くあてもなかったから近所の公園のブランコに泣きながら座ってた。そしたら僕の幼馴染の…………女の子が僕を説得しに来たところだ。あったな、こんなこと。


 そういえば僕の通ってた小学校ってランドセルの人ほぼいなかったな……。妹もそうだけど。


 その女の子(名前は忘れた。だって昔のことだし……)は僕の隣のブランコに乗った。そして漕ぎ始めた。三十秒も経てば小学生以下とは思えないようなハイスピードが出ていた。


『ねぇ、どうしてケンカしちゃったの?』


『別になんだっていいだろ』


 ランドセルのことでケンカしたとか恥ずかしくて言えない。僕は隣の彼女とは違いずっと地面に足をつけていた。


『……あ、たしかみつきママとカバンのことでけんかしたんだったっけ?』


『何で知ってるんだよ!』


 図星だった。まるで心を読まれたようだ。見事はまでの命中だ。ここからでは分からないと思うが、このときの僕はとてつもなく顔が真っ赤っかだっただろう。


『だって、いっつもえがおなみつきがそんなにおこるなんてよっぽどだよ。ぼくは小学生になったらこのランドセルで学校にいくんだってずっといってたし』


 そういえば隙さえあれば言ってたっけ、そんなこと。今思うとなんだか恥ずかしい。


『でもね』


 女の子はまだブランコに乗ったままだ。だからといって話すのをやめるつもりはないようだ。


『カッコイイとおもうよ。あのカバンも』


『うるさいよ』


 僕は静かに呟いていた。あのカバンのデザインはいつ見てもカッコ悪い。ランドセルの方が何千倍もカッコいい。お前に何が分かるんだよ。そんな僕のヤケクソな思いは言葉ではなくて涙で出していた。


『あのカバンだってとってもカッコいいとおもうよ。ランドセルもカッコいいけどさ、みつきににあってるのはやっぱりあのカバンのほうだとおもうな』


『ほんと?』


 この言葉を言ったあたりでもう僕の涙は止まっていた。なんて単純なんだろう、僕。


『あのランドセルはとってもはでだからみつきがあれをしょったらちょっとこわいかな。でもあのカバンだったらとってもしっくりくるよ。あとすきなストラップとかつけたらもっとみつきらしくなるとおもうよ』


『そっか……』


 女の子はだんだんとブランコを減速していった。


『じゃあちゃんとママとなかなおりしないとね。とってもしんぱいしてるとおもうよ』


『分かった。ちゃんとゴメンって言う』


 僕はゆっくりと立ち上がる。


『よかった』


 女の子の方はまだ止まっていなかったけど、途中でギブアップしたのか、タイミングを見て飛び降りた。


『それじゃ、かえろっか。ずっといたら()()ひいちゃうし』


 そういえばあの日は一月かそこらだったな。


『わたしも見たかったなぁ……みつきがあのカバンしょってるところ』


 思い出した。どうして僕が幼馴染の子の名前を忘れていたのか。たしか彼女は受験をして私立の小学校に入学したからだ。それからは一切あってない。幼稚園も違ったし、彼女は沢山の習い事をしていたので、この時期になるとあまり会えてなかった。たしか今日会ったのが最後だったはず。


『うん……今度写真渡すよ』


 僕は無意識で言っていた。実際、渡すどころか一回も会えてさえいないのに。


『約束だよ。じゃあかえろっか』


 今よりもずっと小さな僕は女の子について家に帰っていった。


 そうだった、ここしばらく受験とか色々忙しくて忘れてた。僕は幼馴染のあの子が大好きだったんだ。初恋だった。それは今でも心の奥で続いている。どうして忘れていたんだろう、僕のバカ。



あれ、説明回って言ってたはずだけど…………?

あ、光城の妹は現在小学生。さすがに学校の友達の前ではあんなTシャツ着てないですよ。(笑)

次回(表)は今度こそ説明回です。お楽しみに。

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