48/68
番外(伏線とも言う)
"ねぇ、君は誰?"
"私かい?私の名前はね"
唇がゆっくりと動いて。
スロー再生なのに……
その声は
その言葉は
その感情は
"聴き"取れない
羽が生えた天使のような悪魔は、
こちらを嘲るように笑った。
"……聴き取れない?"
満面の笑みなのに。
満面の笑みの筈なのに。
抜け出せない深みにはまった化のような。
底知れない恐怖が
"じゃぁ、もっともっと、
聴かせて、あげるよ"
座り込んでいた私の頬をもって、
悪魔は、私の目を覗きこんだ。
三日月のように細められた瞳の奥に、
赤黒い髪をした、
赤黒い、髪と目をした、誰かが。
"見えちゃった♥"
悪魔の右手が、私の両目に延びる。
赤黒い髪をした、誰かが振り向く。
悪魔と同じ顔をした、誰かは、
"またいつかね、盲目のお嬢さん"
悪魔と同じ表情で嗤う。
悪魔の黒い爪が、私の眼球に触れる。
ぽろりと、一滴。
涙が、溢れ落ちたような、気がした。
所詮は幻。
いつか目覚める彼女の隣には、
果たして何が待っているんだろうか
結局私って誰なんですかね(´・ω・`)←考えていない




