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皆さん、転生って信じますか?
等と、転生について道端に歩く誰かに問いただしたい心境だ。
こんにちは。エルベルトです。齢は今年で三歳でーす。そして転生者でーす。
周りを見れば、赤、白、黄色のここは何処のコスプレ会場かな状況の映画のような中世風の大通り。
これが何処まででも続くんだぜ……?信じられるか?
「エル。どうしたんだ?」
隣で手を繋いでくれていた黒髪の少年……と言ったって僕よりも年上の、六歳のお兄ちゃんが心配そうに屈んで、顔を覗き込んでくる。
眠たげな瞳ではあるが、黒水晶のように透き通った黒目に、夜空を思わせる黒髪。
なんって美少年何でしょううちの兄!
透き通るような白い肌とか、それどうやって維持してるんですかお兄ちゃん!
なにもしてないんですねわかります!
そんな脳内発狂をしていることなど露知らず、お兄ちゃんはなにも言わない僕にさらに心配そうになる。
大通りの隅っこで、なにもイベントを起こしてないのに、今、何故か前世の記憶を思い出したのさ!
……そう言いたいがそうも言えず、三歳までの記憶を辿り、お兄ちゃんに心配ない旨を伝えようとする。
「だい、じょぶ。はよ、かえろ」
肩にかけられた手を離してその手を引く。
今日は休日だと言うのに、大通りに人はもうほぼいない。
空が茜を帯びてきた今の時間帯は、ここでは絶好の商売時だと言うのに、屋台を出している商人も居ない。
それは何故か
「そうだな。今日は魔物が近づいてきている。
……騎士がちゃんと対処してくれていると良いんだが」
「そだ、ね」
僕の住むこの領地は、何故か魔物に狙われやすいからだ。