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充実

「ケンさーん!いつまで寝るつもりですかー!」


「いてててて!分かった!起きるから!頰を抓るな!」


いや、待てよ


「今日ってまだゴールデンウィークだよな?」


「今日が最後の休みですよ」


「じゃあ なぜ俺は今日起こされたんだ?」


「あまりにも長いこと寝ているので 生きているのか心配になりまして」


そんな理由で俺は貴重な休日の朝を失うのか!?

いや、そんな訳にはいかない


「確認できただろ?じゃあおやすみ」


「……」


さっきより力を込めてハナコが頰を抓る


「だから何で邪魔するんだ!?」


「ケンさん いつまで寝るつもりなんですか?昨日も 一昨日も午前中寝て過ごしたじゃ無いですか 今日だってもう11時過ぎですよ」


そうだった、でもせっかくの休みの日くらいゴロゴロしたっていいんじゃ無いか? 休む日と書いて休日だろう?と言うか寧ろゴロゴロするべきじゃないのか?

と言おうと思ったが ここである事を思い出した


「それにケンさん 昨日明日は充実した一日にしようって言っていたじゃ無いですか」


「そうだった!」


ガバッと起き上がり 布団から出る

そして一考する はてさて


「充実した一日って何だろうな」


「人それぞれでは?」


それもそうか


「さて、俺はこれからどうしたものか」


何かしたい と言う気持ちは大事だが それだけではどうにもならない 何をするか を決めなくては


「取り敢えずこの散らかった部屋を掃除してみては?」


「そうだな 掃除しながら考えるか」


「来た時から思ってたんですが ケンさん部屋に物が多すぎるのでは?」


「自慢じゃ無いが俺は物を捨てられない性格なんだ 加えて 掃除が苦手」


「だから散らかるんですね」


「そう」


「じゃ、私が捨てるの決めましょうか?」


悪くないかもしれない

くよくよ悩むよりか時間も短縮出来そうだ


「じゃあ頼むよ」


するとハナコが部屋の半分程まで歩き


「ここからここまでゴミ!」


「…ダメだこりゃ」


頼んだ俺が悪かったな


まぁ何だかんだハナコも手伝ってくれた(邪魔もしてくれた) ので昼過ぎには部屋が片付いた


「掃除をしている時に思いついたのですが 神社に行きませんか?」


と唐突にハナコが提案する

まぁ特に用事がある訳でもないし いいか


「良いけど何しに行くんだ?」


「うーん、強いて言うなら感謝とお願いですかねー」


何に対しての感謝で どんなお願いをするのか 少し気になったが 何となくだけど聞いても教えてくれない気がする


「じゃあ 昼ご飯食べたら行くか」


何か食べ物を と思いキッチンに来たがインスタント麺しかない

あんまり好きじゃ無いけど まぁいいか、


「ケンさんどうしてお湯沸かしてるのですか?」


「ん?あぁラーメンだよ お湯入れて3分待つだけ楽ちんだろ?」


「へぇー お湯だけで、お粥みたいなもんですか?」


何故かハナコが凄い興味津々で質問をしてくる

でも ずっと学校にいたのだったら見たこと無いのも無理ないか


「説明が難しいなー 食べてみる?」


「少しいただきます」


「どう?」


「とっても美味しいじゃなですか!このラーメンとやらがたったの3分で出来るなんて驚きです!」


「そんなにか?俺はあんまり好きじゃ無いからあとハナコにあげる」


「わあ!ありがとうございます!」


味がどうこうと言うより あまりインスタントラーメンに良い思い出が無いから好きじゃないのかも知れない 小学校の頃一人でラーメンを食べるのが辛かったのを今でも覚えている


ハナコがラーメンを食べ終わり、一息ついて 近くの神社に向かう

まあ近くと言っても30分は歩かなくてはならない といっても歩くのは俺だけだが


「そういえば ケンさんは神社参拝の作法知ってますか?」


「うーん、詳しくは知らないな と言うか神社自体普段行かないからなー 七五三が最後だから12年前に行ったきりだ」


「日頃の感謝を誰かに伝えるのは忘れがちですが 実はとっても大切な事なんですよ 神様であれ ご両親であれ 」


確かにそうだ が いざ伝えるとなると少し恥ずかしい気もする



神社に着くと ハナコの解説が始まった


「鳥居をくぐる前は一礼です」


「あー、ケンさん真ん中は通っちゃダメです!」


意外と色々約束があるんだな


「ところでハナコは何でそんなに詳しいんだ?」


「学校の図書館で読んだんです」


「なーるほど」


神社を参拝した後は寄り道をしてはいけないそうなので 真っ直ぐ帰る


家に着く頃には 日が落ち 空がオレンジ色になっていた


「なあハナコ?今日は一日充実したかな?」


「人それぞれ違うから分かりませんが 私は充実したと思います」


家に帰ると母さんが晩御飯を作っていた

晩御飯を食べ 風呂に入り いつもより少し綺麗な部屋で眠りにつく

ふと、今日のハナコの言葉を思い出す

"日頃の感謝を伝えるのは大事な事ですよ" か


「ハナコまだ起きてる?」


「起きてますよ 何だか少し眠れなくて」


「今日はありがとな」


やっぱり少し恥ずかしい もう少し感謝の気持ちを伝えたいところだが今日はこれが精一杯


「とんでもない こちらこそ何時もありがとうございます」


その言葉でなぜか凄く安心し ゆっくりと眠りに落ちた


最後まで読んでくださりありがとうございます

最近は雨が続くき 外に出るのが億劫です。

靴は濡れるし 傘で片手は塞がるし 良い事ないように思えますが 昔の人にとっては恵みの雨だったと思うと不思議な気持ちになります

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