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情報蒐集

「で どうだったんですか?私のいない二日間は 寂しくありませんでしたか?」


ここで焦って強がってはいけない

やられたらやり返す アレだ


「寂しかったよ 話す相手もいないし 朝起こしてくれる可愛い 座敷わらしもいないし」


「え そうだったんですか!?」


予想外の返しで戸惑っているのだろう

今回は俺の方が一枚上手だったな ハナコ


「朝から暑苦しいわね 他所でやってほしいものだわ」


相変わらず翠は歯に衣着せぬ物言いだ


「ちなみに どんなところが可愛いですか?」


とハナコ


「そうだなー、え?」


予想外にぐいぐい来る

翠のいる手前 ベタ褒めは流石に恥ずかしくて出来ない


戸惑っていると


「あっはっはっは!」


翠とハナコが同時に笑う


「甘いですねケンさん その程度の返し 想定済みです」


「健はまだまだお子ちゃまねー」


完全にやられた

この二人は組ませてはいけない最恐タッグだ


「確かにハナコさんの頭の良さには驚いたわ 今朝も 絶対するのでケンさんを待ち伏せしましょう! って話を持ちかけてきたしね」


遅刻も想定済みだった様だ

おそるべしハナコ

俺がハナコにぎゃふんと言わせる日は来るのか



昼休み 外で遊ぶ生徒は物足りなく感じ

そうでない生徒は時間を持て余す

誰得といった感じの休み時間

もちろん俺はそうでない側だ。

東高の昼休みは45分 ゆっくりご飯を食べてもやはり時間が余る


「やっぱ屋上は良いよなー」


そんな時の為の屋上だ


「そうですか?確かに風通しは良いですが 何も無いじゃないですか」


「あるだろーこの風景が」


東高は山の上にあり屋上からは街の景色が一望できる


「へぇー」


と興味がなさそうな返事が返ってきた


ガチャリ とドアが開く音がする


「何してるの?こんな所で」


「何だ 翠か」


「何だとは失礼ね せっかくツキコさん もとい ハナコさんの情報集めてきたのに」


「ホントか!ありがとなー」


「お礼はハナコさんに言って頂戴」


なるほど お礼というわけか 律儀な奴だな


「1つ目 本当にハナコさんの姿を見た生徒はよると 皆一貫して 何故か追いかけられる と言っていた事。 2つ目 目撃情報の中で一番古いのが 25期生の代。このくらいかしら 後は信憑性に欠ける物ばかりね」


「1つ目はともかく 2つ目が解せないな」


「私が座敷わらしになったのは 30期生からのハズですよ」


とハナコが口を挟む


「なら本人に聞きにいく?」


「「えっ!?」」


俺とハナコが口を揃えて言う


「その25期生の目撃者は私のお婆ちゃんよ」


そんなこんなで放課後 我々一同は翠のお婆さん宅へ向かうことになった


「なぁ、翠のお婆さんも祓魔師なの?」


「えぇ そうよ」


「私 祓われたりしないですかね?」


今朝の威勢の良さは何処へやら 不安げな様子でハナコが聞く


「ハナコ ちゃんと仕事してないし 祓われそうだな」


「大体 霊が祓魔師に会いにいくって何なんですかね」




「着いたわよ ここがお婆ちゃんの家」


とにかくデカい 洋風でデカい 大きくてデカい


「翠のお婆さんの家ってホテル?」


「え?違うけど?」


なんだ…なぁんだ ただの豪邸かー


「結界とかないですよねー」


ハナコはそれどころではないようだ


「私の後ろピッタリ着いてきて 結界有ったら困るから」


まあ 祓魔師の家だから 結界とか有ってもおかしくないのか


と思っていたが 多分 結界も無く 一番奥の部屋までたどり着いた


ーコンコン


「お婆ちゃん 翠だけど入っていいかしら」


ーギイイ


と重い音を立てて 扉が開く


奥は 薄暗くはっきりと見えないが

真ん中に一人 左右に一人ずつ シルエットが見える


「よく来たね」


小さな声だが心に響くような深い声だ

ハナコはビビって俺の後ろに隠れてしまった


「こんにちは 健と言います」


「ほぅ、健か いい名だ。後ろの可愛らしい子は?」


「えと、ハ、ハナコです」


おずおずとハナコも自己紹介する


「ハナコ?それは真名かい?」


「いえ、俺がつけました」


「そうかそうか うん、君達のことは大体分かった」


「それでお婆ちゃん この前の事だけど」


「あぁ そうだね 立っているのも何だから 腰を掛けたらどうだい?」


中央に 豪華な椅子が3つ あった

多分ハナコの分も用意してくれたのだろう

3人が座ると お婆さんはボディガードのような二人を外に出し そして語り始めた


「私が高校生の時だから およそ70年前かね まだ祓魔師を始めて間もない頃にその子に出会った 消えかけでとても弱々しい霊だった 虚空を見つめ 何かに絶望しているような そんな表情だった。何が起こったか分からないが 今では正気すら感じるような強力なオーラを放っておる 」


「どうしてお婆ちゃんはその時祓わなかったの?」


と翠がもっともな質問をした


「祓魔師は悪霊を祓うのさ その子は決して悪霊じゃない 所で翠よ お茶を入れてはくれんか?話すと喉が渇く」


「解ったわ」


と翠が席を立つ

部屋には俺とハナコとお婆さんだけだ


「健君は あだ名で呼ぶ事が霊にとってリスクを伴うって知っているかい?」


「いえ、知りませんでした」


「ハナコちゃんは 知りはしなかったものの薄々分かっていたんじゃないかい?」


「はい」


お婆さんが俺とハナコを交互にみて うんうんと頷いた


「このあだ名で呼ぶ事は余程の信頼関係が無いと出来ない事なのさ 私は 出来た試しがないがきっといい関係なんだろうね」


ふとハナコと目が合う

何故かハナコが赤くなりそっぽを向いた


「翠は 愛想は良くないし 怒りっぽいが友人の為に頭を下げられる優しい子だ。私は長くは生きられないから 翠のこと宜しく頼むよ」


「俺達で良ければ」


「頼りにしてるよ」


何だろうこの感覚は 心がムズムズする

褒められる事に慣れていないのだろうか


翠がお茶を持って戻って来た


「さぁ もう暗くなるから今日はお帰り」


「そうだな 話は聞かせて貰ったし」


お婆さんにお礼を言い 家を出る


「いやー緊張したなー」


と言うと 翠は


「私は別に」


「そりゃまぁ お婆さんだもんな」


「優しそうな方でしたね」


「確かに 優しいオーラが滲み出てたな」


「お婆ちゃん 私のこと何も言ってなかったわよね」


やはり気づいていたのか


「さぁ、どうだったっけ?ハナコ」


「んー、どうでしたかねー」


「何よそれ 気になるじゃない」



「取り敢えず 翠 今日はありがとな」


「恩を返しただけよ」


今日は宿題が全く終わらなかったが翠のお婆さんに出会えたこれはきっと俺達にとって大きな前進な気がする 不思議とまた会いたいと思う人だった



最後まで読んで下さりありがとうございます

今日は雨でした これほど寒いのに雨なのかと思った次第です 私に限った話では無いと思いますが、夏は冬が恋しく 冬は夏が恋しくなりませんか?人間って欲張りですね(`・ω・´)

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