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のんびりハードな休日

のんびりと目を覚ます、窓から日差しが差し込んでいる所を見ると外はすっかり明るいのだろう。

それでも焦らずに呑気に構えていられるのは 何を隠そう今日が休日だからだ。

目が覚めると 活動するか二度寝するか の選択肢が与えられる。

この幸福は何事にも変えがたい


誰にも何も言われず気の済むまで寝ていられる


ハズだった。


ぼんやりと外を眺めもう一度寝ようと決心したあたりで


「あ!ケンさんまた寝るつもりですね!せっかくの休日ですしもう少し有意義に過ごしましょうよ〜」


布団の上から揺さぶってくる

これじゃ寝れない!


「寝る事こそ最も有意義な過ごし方なんだよ!」


「それじゃあ私が暇になるじゃ無いですか」



まぁいつもの事だ。

弱き者が強き者に逆らえない 自然界では当然のルール。

かくして俺はハナコのお出かけ付き合わされる事になった どこを巡ったか順に説明しよう


一軒目。


赤いレンガ作りで洋館風のレストラン。

看板には 洋食レストラン〜Casket〜と書かれていた。


「ケンさん!ここのレストラン凄くお洒落ですよ!入ってみましょう!」


幸いテラスがあった為 ハナコは不審がられずにあったかふわふわオムライスを食べられたのだ。

側から見ればオムライス2つ頼んだ高校生。


「このオムライス最高ですね!この前散歩で通りかかった時からずっと来たかったんです!」


「この前って翠のお婆さん家に行った時か?」


「多分その時です」


なるほどー 一人じゃ来れないからマーキングしてたのか 流石ハナコと言わざるを得ない

俺はハナコに言われるまでそこに小洒落たレストランがある事を知らなかった…俺の地元の筈なんだけどなぁー


二軒目。


今度はビルの三階。雑貨店のような所で手鏡や髪飾りの売っている明らかに俺に不似合いな店。


「ハナコはなんでこんな所知ってるんだ?」


「この間 翠さんに教わったんです 翠さんの髪飾り凄く素敵だったので聞いたんです」


「いつのまに…」


付けれるのかわからないが翠とお揃いの赤い髪飾りを買ってやった


「わーい!ありがとうございます!一生大事にしますね!」


髪飾りって意外と高いんだなぁ まぁでも喜んでくれてしいいか と思いつつ店を後にする


三件目。


博物館のような所。この土地は源氏物語のモデルになったとされていて それに関する書物、当時の人々の暮らしの様子や道具が展示されている


〜平安時代の人々の暮らしと変化〜


と書かれたパネルの近くで


「昔の人はこんな大きな家に住んでたんですねー」


とハナコが言った


「それは貴族の家だよ 庶民はこっち」


近くの模型を指差す


「え、倉庫か何かだと思ってました マジですか 家ですか…」



小学校の遠足で行ったきり 全くと言って縁の無い博物館だが 行ってみると意外と面白いことに気がついた また今度ハナコと来ても良いかもしれない

入場料は俺一人分だし


少し(俺が)歩き疲れたので公園で休憩をする


「いやー、疲れるけど結構楽しいもんだな」


「でしょう?やっぱり休日は出歩くべきです!自分の街ですらこれだけ知らない事だらけですから きっと 私たちの知らないもっともっと面白い事がある筈です」


「そう言われればそうかも」


以前の俺ならあり得ないが 休日は遠くへ出かけるというのもアリかも知れないと 思い始める自分がいる に驚く


「そしてその疲れがまた良いんです」


疲れが良い?何のこっちゃ


「さて、次行きますかー」


掛け声と共に立ち上がる


四軒目。


「何でここに?」


「ここも一回来てみたかったんです 憧れませんか?映画館って」


四軒目は映画館だった 別に特別な映画館ではなく ごく普通の映画館。

確か小学校の頃両親とウルトラマンの映画を観に来た所だ。


「それで何を観に来たんだ?」


「何って映画館ですよ?」


「え?映画は観ないの?」


「映画観るのはお金がかかりそうなので結構です」


「まぁ今日くらい良いじゃんか ジャンケンで勝った方が観る映画を決めよう」


結局 ハナコがじゃんけんに勝ち、巷で話題の感動恋愛系の映画を見る事になった


病気で長くない事を告げられた少女が 事故で片腕を失ったかつて天才と謳われた少年とピアノと音楽を介して恋に落ちる


確かこんなストーリー

やはり話題作と言うだけあり、面白かったし演出も上手いだけど途中、少女が病気と判明したあたりからハナコが泣き出して ストーリーが頭に入ってこなかった


「ゔぇぇえん 凄く良かったですぅ」


「そんなに泣くなよー 」


「こんなの悲しすぎますよ 誰だって泣きます」



外に出ると薄暗くなり街灯がついていた


「暗くなって来たしそろそろ帰るか」


「待ってください あと一ヶ所だけ行きたいところがー」


「もう暗くなってきたし今度じゃダメなの?」


「暗いぐらいがいいんです」


暗いぐらいがいい?嫌な予感がするな


「もしかして…心霊スポットとか?」


「そんなとこ行きませんよ まぁまぁ付いて来てください」


30分ほど歩いただろうか

陽は落ちあたりは真っ暗になった

加えて市街地から離れたため建物の光はほとんど無く街灯だけが頼りだ


遂には山を登り始めた


「本当にどこ行くんだ?」


少し不安になる


「もうすぐです」


やはり教えてくれない


「ちょっと後ろ向き歩いてください」


「後ろ向き?こうか?」


ここまで来たんだ逆立ちだって何だって付き合ってやろう

周りから見たら 後ろ向き歩きながら独り言を言う完全に不審者だが 幸い 人はいなかった つまりそれほど山奥って訳だ


「はい!こっち向いて良いですよー」


振り向けば視界一面に俺たちの住む街が夜空の星のように広がっていた


「おぉ!綺麗だな…」


「こんな街中じゃ星なんて見れないですが 街中だからこそ見える景色ですね」


改めて見ると本当に綺麗だ もうそれ以外に形容しようが無い


「ちなみにここは翠さんのお父さんがプロポーズした場所だそうです」


「翠のお父さんは随分ロマンチックな人だな」


「街で星座でも作れそうですね」


「アレはきっと三軒隣の犬座」


「あのわさわさの犬ですか でもそれ殆どの人分かんないじゃ無いですか」


「別に分かんなくなくたって良いんだよ」



と今日はこんな休日だった。



歩き疲れたからいつもより少し早く布団に入る


「おやすみハナコ」


「おやすみなさいケンさん」


電気を消すとシンと部屋が静まり返る

時折通る車の音を聞きながら 今日1日を振り返っていた


随分歩いたせいでかなり疲れたが 今日はぐっすり眠れそうだ


ハナコの言っていた疲労感さえも良いってのはきっとこう言う事なのかな


「今日はありがとな」


「……」


もう寝たのだろうか

明日は学校だし俺も寝るとするか


最後まで読んで下さりありがとうございます

最近また寒くなってませんか?

僕は衣替えしてしまった人なのであまり寒いと対応しきません(*_*)


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