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東高七不思議 弐

これは俺がずっと疑問に思っている事で未だ解明されていない人類の謎の一つである

なぜ眠るのか

ある人は同調圧力といい、またある人は脳の情報整理と言った。


だが俺はこう思う 眠る事は練習だと

何を言ってるかわからない?

つまり 生き物はいずれ迎える永眠 の練習を毎日しているのさ

だって眠る事は生き物が無防備になる状態 進化の過程で排斥されないって事はそれほど大事って事だ。

だから授業中に寝ても怒らないでほしい

むしろ褒めてほしい


「よく練習しているじゃないか!偉いな!」


だが現実は非情だ


「おい!一宮!聞いているのか!?」


「え?あっ!はい聞いてます!」


咄嗟に嘘をつく ここで寝てましたと言える根性はない


「そうか じゃあ続き読んでみろ」


終わった 瀕死状態でマダンテを使われた気分だ


「ケンさん ココですよ」


だがここで天使が舞い降りる

横からハナコが小声で指を指してくれた

ハナコ、お前はいい奴だなあ 帰ったらシュークリーム買ってやるからな!そう思い読み始める


「えー、剰余の定理とは・・」


「何で数学が机の上にでてるんだ?今は現代文だぞ!後で職員室に来い!」


ヤラレタ、

くすくすと笑い声が聞こえる

何て奴だ 俺がハナコに何したって言うんだ

言うまでもなく 俺はその後先生にこってりと油を絞られた

とぼとぼと教室に戻ると ケラケラ笑いながら柊がやって来た


「いやービリケンとハナコちゃんで漫才でもしたら?」


そういや忘れていた 柊は女子高生の一件で見えるようになったのか


「何でだよ…というか柊は授業中眠くならないの?」


「私は夜しっかり寝てるからねー」


「俺も寝てるはずなんだけどなー」


「それはそうとビリケン 今日の放課後また校門前集合ね!」


「また七不思議か?柊は憑かれやすいからやめた方が良いんじゃないか?」


柊は七不思議を探してる途中で憑かれて飛び降りかけたのに まだ懲りてないようだ


「それはもう大丈夫だよ!だってホラ!」


と 得意げにお守りを見せてくる


「お守りでどうにかなるとも思えないけど」


「このお守りは篠原さんがくれたんだよー」


翠にもそんな可愛い所があるんだなー と思っていると背後から


「作ったのはお婆ちゃんだけど」


と翠の声がした


「うわ!ビックリした!いつからそこに!?」


というか翠には俺の心の声が聞こえてんのか?


「さぁ?」


これは 口と心どっちに対するアンサーだろう?


「ともかく二人とも放課後 また七時ね!」


と言い残し風のように去って言った


「台風みたいな奴だな」


「いつも渦中にいるのは健だけど」


「そうか?」


「そうよ」


どっちかと言えば巻き込まれているだけな気もするけど…まぁどっちでもいいか



前回同様 一旦家に帰ってから集合場所に行く事にした

時間もある事だし 先に宿題を終わらせよう

偉いな俺 ノートを開くとすすーっとハナコが横にやってきた


「おや?ケンさん宿題やるのですか?偉いですね!」


「そうだよ 俺はまだ国語と算数の区別もつかないけど宿題やるんだよ」


「すみませんでしたぁ!」


初めて見る座敷わらしの土下座 しかも見たことのない綺麗な姿勢だった ハナコなりに反省はしてたらしい


「仕方ない その美しいフォームに免じて許すよ」


許すも何もそもそも寝てた俺が悪いし、でもこれは言わないでおこう


宿題が半分くらい片付いたあたりでちょうどいい時間になり 家を出る


余裕があるとこんなにも気持ちが楽なのか と思いながら軽い足取りで校門に向かう


「あら 早かったわね」


さすが翠 こんなメンバーでも5分前集合を守ってる


「今日は余裕をもって来れた」


「でも今日の宿題は割と多いわよ」


甘い、甘いぞ翠 今日は何だかいつもと違う俺なんだ


「実は半分終わらせてきた」


これにはさすがの翠も驚いたようだ まぁ翠は全部終わらせてるのだろうけど


「今日は槍でも降るのかしら」


15分ほど経ち 帰ろうかと思い始めたあたりで ようやく柊がやってきた


「いやーゴメンゴメン!アニメがちょうどいいところでさー」


遅刻の理由がハンパない


「さぁ!七不思議調査隊 行きますかー!」


張り切って校門を乗り越える 俺と翠も続く


「今日はどこなんだ?」


「今日は中庭!中庭のチミドロ って名前」


「さぁ!行こうか諸君!」


と柊が勇み足で進み始める


「……」


俺の聞き間違いだろうか、何だか不吉な名前が聞こえたような 一応聞いてみるか


「柊 今何て?」


「だから!チミドロ!中庭のチミドロ!」


「めっちゃ不吉!また憑かれたら怖いしさ今日は帰らない?もしくは他の怪談にしない?」


助ける側の気持ちにもなって欲しい また押さえて祓うなんてごめんだ


「しない!行くよビリケン!」


まぁ柊の事だからこう言うだろうとは思っていた

だがな、俺には切り札がある!


「翠 はどう?」


きっと翠だって仕事が増えるのはごめんだろう?

この状況で二体一 にする作戦。


「私は面白そうだと思うけど」


「だろ?…え?お、面白そう?」


「ええ、そう言ったけど?」


「あれ?ハナコは?」


「別に良いんじゃないですか?」


あまり興味がないと言った感じ


柊には聞こえないようそっと翠とハナコに耳打ちをする


「また柊が悪霊に憑かれたらどうするんだ?」


「前回私は自分の未熟さを知ったわ もう大丈夫 誰の手も煩わせない」


なんだか翠がいつもより頼もしい 翠がそう言うなら大丈夫かな俺は何も起こらない事を祈るのみだ


「じゃあケンさんは要らないのでは?」


「それもそうね 健は帰っていいわよ」


「おいそこ二人!俺も付いて行くよ!」




「この辺のはずなんだけどなー」


二棟と三棟の間にある中庭をウロウロしながら柊が呟く


「前回は運が良かっただけなのかも知れないわね」


翠が少し飽きた様だ


「確かになー ただ憑かれて運が良いのかは置いといて 毎回遭遇出来るとも思えないしなぁ」


もう今日は帰ろう

と言いかけたその時 その場にいる全員が動きを止める


"何か"に見られている

そんな感じがする 翠と柊も何かを感じたようだ

これは俺の気のせいかもしれないが やっぱり前回同様翠がドヤ顔してる 霊感がある事が嬉しいのだろうか…ってそんな訳ないか


木々が音を立てるたび 背筋がゾクゾクする

冷や汗が頰をつたう


「あそこに何かいるわ!」


翠が一番大きな木を指差して言った


木の後ろに回り込むとそこには悪霊ハナコと同じくらいの男の子が立っていた


「バレてしまっては仕方がない 祓うなり焼くなり好きにしろぉ!」


潔い霊だな どうやら悪霊の類じゃなさそうだ

すると突然ハナコが大声で


「あ!あなたは!」


と言った


「ん?ハナコの知り合いか?」


「はい 私の同僚の座敷わらしです」


「「えぇーーー!!」」


翠以外が驚きの声をあげた


「待て待て 突っ込みどころが多すぎる 悪いがハナコ説明してくれ」


「ええと 彼は私と同じ東高の座敷わらしでほぼ同じ時期からここにいます。あとはよく知らないです」


「君の名は?」


と男の子に問いかけても返事はない

捕まった犯人が黙秘を続けるが如く 黙りこくっている 痺れを切らしたのか翠が前に出た


「大した根性ね。特別にアナタ 右手の親指と左手の親指 失うならどっちが良いか選ばせてあげるわ」


「ひいぃ!ごめんなさい!優です!優って言います」


完全に翠にビビってしまっている


「そう、優くん どうしてこんな所で私達を驚かせようとしてたの?」


「お姉ちゃんたちが遊んでくれると思って…」


「私達は暇じゃないのよ?」


「ごめんなさい」


「謝れたから まぁ良いわ 所で優くんはチミドロって話聞いたことあるかしら?」


話し手が翠に変わってからスイスイ会話が進む

カッコイイよ 翠の姉貴


「あの、実はそのチミドロが僕なんだ・・」


「「えぇーーー!!」」


またしても俺と柊だけが声を揃えて驚いた

ん?みんな気づいてたの?俺たちが馬鹿なだけか?


優くんの話をまとめると

大雨の日泥遊びをしていると 下校中の生徒が優くんを血だらけの子供の霊と間違える

初めて人に見てもらえて嬉しくなった優くんは人を驚かし続けた。結果 七不思議になった


と まぁこんな具合だ 恐ろしい霊だと思っていただけにあっけない結末。


「優!私に憑いてきなさい!その曲がった根性直してあげるわ!」


と いつになく熱い一面を見せる翠

一方 優くんは


「はい!お願いします姉さん」


いいのかそれで と思ったが俺も人の事言えた立場じゃないか


結局 東高七不思議が一つ 中庭のチミドロ もとい優くんは 翠が引き取る事になり 一同は解散。


帰り道突然一人が寂しくなったのか柊はハナコ移動の話を持ちかけた


「ねぇハナコちゃん、私に憑いてみない?毎日シュークリーム食べ放題よ?」


「えっ!?シュークリーム 食べ放題?」


ハナコの目が輝いた


「何でシュークリーム食べ放題で揺らぐんだよ 」


「でも 私がいないとケンさん朝起きれないので…」


「待ってそれ恥ずかしい」


断ってくれた事は凄く嬉しいけど恥ずかしい!



ー次の日の朝


俺はてっきり 翠は優くんで来るのかと思っていた


「翠 おはよー あれ?優くんは?」


「お早う 家の掃除よ言ったでしょ?曲がった根性直してあげるって」


優くんが少し可哀想になってきた 心の中で強くなってくれと祈るばかりだ


「でも俺ちょっと優くんに聞きたい事があるんだけど」


「なら明日は連れてくるわ」


「頼むよ」


忘れちゃいけない。俺達には俺達の目的がある事を

最後まで読んで下さりありがとうございます

昨日はエイプリルフールでしたが皆様は嘘 つきましたか?私はつきそびれました まぁ普段からホラ吹いているので嘘つきが嘘つかないってことでそれはそれで嘘なのでは?と思ったり、、

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