満月の日
オバケって案外仲良くなれたりするんじゃ無いですかね。
私はオバケ 見たことありませんが、、
俺は学校の屋上で授業をサボって空を見上げ
「あぁっ!くそっ!つまんねーの!」
誰にともなく言ってみる
今の世の中の仕組みだとか 政治が腐ってるだとか世間の不条理に腹が立っているわけではないが
"つまんねー"が俺の口癖だった
決まった時間に起き、決まった時間に登校。
決められた宿題をこなし 決められた期限に提出。
誰がこんな世界を楽しめるんだ?働け無くなるまで働かされて退職。俺は死を待ってるようで怖かった そして何より自分がそうなることから逃げたかった
そうは言っても別に世界に絶望ている訳じゃない
もしかしたら?って想像するのは楽しい
可愛い女の子が覗き込んできて 頭をぶつけるかも
ひょっとしたらUFOの墜落とか見れるかも
能力の発現とかするかも
まあ今まで起こったことが一度もないけれど…
そんなくだらない事を考えていると次第に瞼が重くなってきた
ふと目がさめる
一体どれくらいの間眠っていたのだろうか
寝違えたのだろうか 首も痛い
「ん?」
おかしいぞ?辺りが暗い
次第に状況が理解出来てきた
「ええ!?もう夜じゃん!」
いやいや、誰か起こしに来てくれよ せめて電話くらい…
と思ったが カバンやケータイは教室に置きっ放しだ
学校で夜を明かすわけにはいかないからともかく 学校から出よう。
と、その前に教室に向かわないと
校舎の中は暗く 正直怖い…非常口の看板が怖さを引き立てている気がする
早く学校から出たい。怖い。怖い。
飛ぶように階段を駆け降り 何とか教室に到着。
「カバン ケータイ 財布…よし!」
荷物を確認して教室を出る 刹那
「あのぉ~」
後ろから知らない人の声がした
「うぉぉぉ!!」
一目散に逃げ出す…予定だったがドアが開かない!
ガタガタガタッ!
力ずくでもダメだ
「ちょっといいですか~?」
やっぱり聞き間違いじゃない
逃げ場はない 意を決して振り向く
するとそこには中学生くらいの女の子が立っていた
いや、浮いていたと言うのが正しいだろうか
めちゃくちゃかわいい…艶のある長い黒髪 着物姿がよく似合う でも多分オバケだよなぁ
「ど、どうしたの?お嬢ちゃん」
慌ててはいけない、冷静に れ、冷静に、
「ここから動けないんです すみませんが助けてもらえませんか?」
「わかった、どうすればいい?」
勿論 即答だ 迷う余地が無い
「多分この教室にお札か塩 もしくは魔法陣があるはずなのですが、それを壊して下さい」
「よし、お札か塩か魔法陣だな!」
20分くらい探しただろうか 教室の四隅 椅子の裏にお札らしきものを発見。
破って窓から捨てた
「本当に ありがとうございます!私 座敷わらしです
名前は忘れました」
「座敷わらし?あぁ、うちの学校古いんだっけ?よく自分の名前なんて忘れられるね」
「いや、まぁ記憶喪失と言うのが1番近い表現かもです。自分が生前何者でどうして死んだのか全く記憶にないのです」
そんなものなのかなー まぁ死んだ事ないしわかんねーな
「気にならないの?」
「気になります。ただ私は質量を持たない言わば幽霊。調べようにも術が無いので」
「俺でよかったら手伝おうか?」
こうして多くの謎を抱えたまま 座敷わらしが付いてくる…否 憑いてくる事になった。憑く瞬間に少しだけ肩が重くなった気がする まぁ寝違えたからそれのせいかもしれないが
「これから名前を探す もとい お前の記憶を取り戻す訳だが 取り敢えず呼び名を考えなくちゃな」
「大先輩にむかって お前とは失礼な!呼び名なんてなんでも良いじゃないですか!」
どうやら機嫌を損なわせてしまったらしい
ん? 大先輩…ダイセンパイ?
「いやいや、どう見ても俺の方が歳上でしょ」
「じゃあアナタ 第30期生の人数言えますか?私は言えますよ!この目で見てきましたから」
「なるほどね 見た目は子供 中身も子供 そんでもって年齢が俺より上って訳か」
「中身は立派な大人ですー!」
もう少しからかいたい所だがいつまでも学校でぐずぐずする訳にもいかない ひとまず話を戻す
「まぁその話は置いといて 呼び名だよ 座敷わらしってのは固有名詞じゃねーからな 他の座敷わらしとも区別つかなくなりそうだし」
「そうですねー 特に思い付かないので決めちゃって下さい」
さっきまで怒っていたのにけろっとしてそう言った
「そうだな 何かトイレに居そうだしハナコだな」
「それ別の妖怪ですよね まぁ構いませんが 私は何と呼べば…」
「あー 言ってなかったっけ?俺は 一宮 健 入学当初はイチケンって呼ばれてたんだけど テストで最下位取ってから ビリケン になったんだよなぁ」
しまった!余計な事を言ったな と思った時にはもう遅い
「じゃあ ビリケンさんですね」
「やめろ!何か大阪にいる幸運の神さまみたいじゃねーか! ケンでいいよ」
「ではケンさん 改めてよろしくお願いします」
そう言ってぺこりと丁寧にお辞儀をした
長く綺麗な髪がサラリと流れる
「よろしくな ハナコ」
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