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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

コメディ

力こそ正義!暴れん坊将軍爆誕!

作者: 水源

 俺は小さなMMAジムのトレーナーだった。

ちなみにMixed Martial Artsの頭文字をとったもので、いわゆる総合格闘技のことだ。

しかし、興行としての総合格闘技が流行ったのは昔のことで昨今の不景気じゃジムの経営は厳しい。

ダイエットジムのような女性会員を指導してようやっと食っていけるような感じだった。


 そしてコンビニに寄ろうとした所で駐車場に止まっていたアクセルとブレーキを踏み間違えた車に轢かれてて死んだ。

くそ、たかが車に惹かれて死ぬとは情けねえ。


 その俺が目覚めると何故か江戸の紀州藩邸の紀州徳川家御流儀、関口新心流柔術の紀州藩剣術指南役になっていた。


「これはブルース・リーのような男を、

 俺に世界に通じる男を育てろってことだな」


 俺が剣術指南をしたのは徳川御三家の紀州藩第2代藩主・徳川光貞の四男として生まれ、兄の次郎吉が病死した後に名を得田新之助に改めた男だ。


「いいか、新之助、お前さんには世界を目指してもらう。

 それにはまずは体作りからだ」


 手に負えないほど暴れん坊と呼ばれた新之助だが俺に取っちゃあまだまだだ。


「こんちくしょう、意味わかんねえよ!」


 ウンウンと俺は頷く。


「今はわからずともいい、やがてきっと役立つだろう」


 人間の運動能力に深く関わるのは神経と骨格や筋肉だが、神経系統は生まれてから5歳ごろまでに80%近く成長し、12歳でほぼ100%成長が終わる。

そして、出来上がった神経経路は一度できると消えることは滅多にない。


 俺は新之助の全身の運動神経を鍛えるべく水練や大きな石の多い不安定な足場での河原での歩行や走行、乗馬、前転受け身などを重点的に行わせた。

この時期は反射神経の構築時期であり骨格や筋肉はまだ十分ではないので無理な筋力トレーニングは行わない。

なので十全に体を動かせる下地を作る時期だ。

一緒にコーディネーショントレーニングをくわえて行く、いわゆる運動神経が良いと言うのは目や耳などで捉えた状況から脳をうまく働かせて、からだの各部に的確な指令をだすことだ。

そしてその運動神経をきたえるためのトレーニングがコーディネーショントレーニングだな。

これは1970年代に旧東ドイツのスポーツ運動学者が考え出した理論で、運動神経を「リズム能力」「バランス能力」「変換能力」「反応能力」「連結能力」「定位能力」「識別能力」の7つの能力に分けそれらを組み合わせて鍛えるものだ。


 練習としては例えば三すくみ拳、いわゆるじゃんけんを使ったりな。

じゃんけんの歴史自体は浅いが三すくみ拳自体は日本の平安時代にはあったらしい。

三すくみ拳はヘビ、カエル、ナメクジの三すくみで人さし指をだしたらヘビ、親指をだしたらカエル、小指をだしたらナメクジと言うもので、カエルはナメクジに勝ち、ナメクジは蛇に勝ち、蛇はカエルに勝つというもの。


「ほれいくぞ」


「蛇なら!」


 俺が人差し指の蛇をして、見せると素早く新之助は小指をだして見せた。

相手の動きに対して勝つものを判断するというのは大事だからな。


「ふむ、少しは反応もまともになってきたな。

 悪くはないぞ」


「へへ、まあ、俺には才能があるからな」


 俺は新之助の頭を軽く小突いた。


「調子に乗るのはやめておけ。

 いまのお前より強いやつなんざゴロゴロしてる」


「ちぇ、わかってるって、あんたにだって勝ったこと無いしな」


 やがて元服した新之助は松平頼久まつだいらよりひさを名乗り、その後14歳で第5代将軍・徳川綱吉に御目見し、越前国丹生郡3万石を賜り、葛野藩主となった。

さらに名を頼方よりまさと改めた。


 頼方となった新之助は和歌山へ帰ることになった。

俺は藩主の側近くに仕える馬廻役と藩校での剣術指南を兼務することになった。

そしてこのくらいまで育てば運動神経の発達は終わり、骨格や筋肉を発達させることが出来る様になる。


「いいか、新之助これからはたっぷり肉を食い、海藻も食え。

 玄米や四国稗と大豆、四季の野菜もたっぷり食え。

 そして筋肉が痛くなるまで鍛え、その後十分体を休ませろ」


「おおよ、わかったぜ」


 さらに木工職人に作らせた木製のベンチと鍛冶職に作らせたダンベルなどで、ドラゴンフラッグやダンベルフライをやらせたり、チンニングこと懸垂をやらせたり、ダンベルスクワットやジャンピングスクワット、ダンベルクランチをやらせたりもした。

ダンベルとベンチの組み合わせによる筋力トレーニングは結構馬鹿にできないぜ。

瞬発力を鍛えるために縄の両端に握りを付けた縄跳びの縄も作ってそれを飛べるようにもさせた。

一年もすると大分筋肉もつき背も伸びた。


「うむ、いい体になってきたな」


「そうか?いやまだまだだな」


 無論、体を鍛えるだけでなく柔術の受け身や打撃、当身、投げ、極め、更には剣術、居合術、槍術、捕手術、捕縄術、棒術、剣術、十手術、薙刀術、ヌンチャク術、経絡殺活法なども教え込んだ。

やがて、18歳の頃には新之助は身の丈六尺を超える偉丈夫に育った。


「うむ、お前の拳は世界を狙える。

 もはやお前に俺が教えることは何もない」


「そうか、関口の親父、今までありがとうな」


 やがて新之助は22歳で紀州徳川家を相続し、第5代藩主に就任し、将軍・綱吉から偏諱を授かり、徳川吉宗と改名し、やがて将軍となった新之助は、町火消“め組”に居候する貧乏旗本の三男坊・徳田新之助と姿を変え、市井の江戸町民に混じり、度々悪人を懲らしめたそうだ。


・・・


「よいではないか、よいではないか」


「あーれー、おやめになって」


 きれいな女性の帯を引っ張ってくるくる回している商人。


「ふふ、もはや次期若年寄の座はこの儂に決まったも同然じゃな」


 そううそぶく幕閣の男の手元に障子を突き破って正義と書かれたダンベルが投げ込まれる。


「その悪事、許すわけにはいかぬな」


 ぬっと現れる男。

はっとなる商人


「お前は徳田新之助!」


 一方男の正体に気が付かぬ幕閣。


「何者じゃ貴様!」


 バサリともろ肌を脱ぐ新之助こと吉宗。


「愚か者!余の筋肉を見忘れたか!!」


 そういってぐぐと筋肉を膨張させる吉宗。


「なにぃ、余じゃと?えらそうに……」


 そう言って幕閣はじっくりと男の筋肉を眺める。

そして江戸城での将軍謁見シーンが脳裏をかすめて吉宗と気付く。


「まさか……う、上様!!」


 幕閣は驚きながら、慌ててひれ伏し、商人も続いて伏せた。


「その方、御用商人と結託して私腹を肥やし、あまつさえ、

 不正を告発した七志権兵衛ななしごんべえ

 手先を用いて亡き者にするなど言語道断。

 その罪、断じて許し難いこの場にて腹を切れ!」


 しかし幕閣は顔を上げて立ち上がる


「あいにく此処は我が屋敷。

 引かぬ、媚びぬ、顧みぬ!

 上様だろうとて殺してしまえば五里霧中。

 曲者じゃ! 出合え! 出合え!」


 ざざっと侍が、吉宗を取り囲む。


「こ奴、上様の名を騙る不届き者。

 斬れ! 斬り捨てい!」


 そう指図された侍が一斉に太刀を抜いて吉宗に向って構える。


「ふむ、止むを得ん」


 吉宗はコキコキと首ををならし、更にバキバキと拳を鳴らす。

テレッテーという効果音とともに侍たちが斬りかかる。


「ぬぅん」


 吉宗のはなった拳が侍を壁まで吹き飛ばしめり込めせた。


「ほわたぁ!」


 吉宗のはなった蹴りが侍を屋根まで蹴り飛ばした。


「ほわたたたたたたた!」


 吉宗が袴から取り出したヌンチャクで次々に打倒されていく侍。

更に御庭番衆によって吉宗めがけて投げ込まれるガトリングガン。

吉宗はそれを受け取ると固まっていた侍めがけてガトリングガンを撃ち放つ。


「鉛玉を喰らえぃ」


 やがて蜂の巣になって幕閣の部下は全滅した。


「お、おのれー」


 幕閣が斬りかかるが吉宗は片手でガトリングガンをおろし、反対の腕で人差し指と中指でその刀を留めてバキとおる。


「関口新心流にそのような剣は通じぬ」


そして”よいではないか”されていた女がいつの間にか幕閣の前に現れ懐剣を構えた。


「おとっつあんのかたきー」


 そしてずぶと腹にささる懐剣。


「な、なんじゃこりゃー」


 そう言って幕閣は倒れた。

ちなみに商人はガトリング砲の射撃に巻き込まれて蜂の巣になっていた。

吉宗はガトリング砲をお庭番に投げ返すと仇討ちを見届けて女に言った。


「うむ見事だ。

 仇討本懐、祝着に思うぞ」


「はい、ありがとうございます」


 女の瞳には嬉し涙が浮かんでいた。

上半身裸のマッチョな将軍が帯がほどけて前がはだけている女を慰める図はいったいどうだろうか?

エロいのか?エロく感じないのはなぜだ?

とにかく今日もお江戸は日本晴れ。

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― 新着の感想 ―
[一言] えと。頭の凝りが和らぎました。
[一言] これにて一件落着! かーっ、かっかっかっかっ
[良い点] ふと気になって読んでみましたが後半戦で思わず炭水化物スプレッドしました。 こんな暴れん坊将軍地上波で流したらお茶の間がエラい事になりそうだW [一言] ちがう、お前の処刑用BGMはそれじゃ…
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