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節分

節分は立春や立冬、立夏、立秋の前日ですッテ。

つまり季節の変わり目!でもさぶくね?ってね。


ということで節分SSいってみましょー!


 

 王国歴544年

 冷たい風を肌に感じる寒空の下、オレことガルゥシュ・テレイゲル(7歳)はアシヤカ村にあるペリメ姉さんの八百屋に来ていた。


 というのもある行事を前々からやろうと思っていたからで、それはこの世界にはもちろん無いものだ。

 今年に入ってから妙に怪我や風邪をひいているオレは不意に『もしかして厄でもついてんじゃね?」と思った。


「なら厄払い…はっ!節分だ!豆まきだ!」と、まぁこういう具合かな、そもそも毎日毎日代わり映えのない生活に飽き飽きしていたって言うのもあったし、村全体でやると面白そうだと思って…ついでに季節の変わり目だし的な?


「けど…ねぇんだよなぁ…豆が。手頃なサイズが無い!」


 思わず声を荒げて不満を口に出してしまった。だって大人の拳サイズ以上の豆しかねぇんだよ、オカシイだろ!?何で豆だけこんなにも大きいんだ?成長したら地球の野菜より少し大きめって感じなのに。


 一番でかいコボダの豆は空豆が一番近い、大きさが異常なだけでしかも柔らかい。大きさはドッチボールぐらいか…まさにドッチボールにもってこいだ。ドッチボール…?

 はっ!そうだ!!これで節分ドッチボール大会をしよう!!


 ☆☆


「え~、ということですので厄払いとして節分大会を開催します!」


 アシヤカ村の広場でオレは集まってくれた村のみんなに大雑把な説明をして強引にドッチボール大会を開催した。

 だいたい50人位だろうか子どもが22人と老人が15人位、大人が10人位だ。今は昼時だから仕事で畑にいってる男と、料理をしてるお母さんたちやお婆さんたちはここにはいない。

 冒険者をやってるセドルと村の衛士をしてるダグラン師匠もここにいる。今は仕事は特にないらしい。もちろん村長やペリメ姉さんも見には来てる。


 適当に始めたから大人はあんまり来なかったって感じかな。さて、ドッチボールだからチーム分けしよう。


「子ども対大人でどうですか?」

「構わないぞ!手加減はしてやる」

「絶対こっちが勝つもんね~!」


 血気盛んな大人たちが口々に余裕の言葉を出していく。子どもたちも数が数だけに大騒ぎだ。一応楽しんでるみたい。


「一応オレは見学しときますね?」

「フッ、ガルゥも入って構わないぞ?」


 そう言うのはダグラン師匠。え~、いいのかなぁ。


「ま、まてまてダグラン!お前はいいかもしれないがオレらはガルゥには勝てないぞ!?」


 ダグラン師匠以外の大人たちがざわめく。


 結局、村長の提言もあり、オレとソフィとダグラン師匠とセドルは子どもが5人以下、大人が2人になったら入ってもいいことになった。それ以外は外野でも入るのはなし。


 子ども組はオレとソフィ抜きで上が11歳から下が4歳の計20人、大人組いわゆる鬼組は師匠とセドル抜きで7人。


「それでは顔面は大丈夫の規則で!」


 本当は顔面セーフとルールって言いたかったんだけど、これまでの生活で分かったんだけど英語は通じないんだよね…。

 まぁそれはさておきドッチボール大会は始まった。


 このドッチボール大会は子どもたちはコボダの豆を投げるとき「鬼は外」「福は内」のどちらかを言わないとダメというルールにした。一応オレは節分大会って言ったからね。


 ☆☆


 壮絶なドッチボールの末、今は大変盛り上がっている。さすがに大人たちは小さい子ども相手に本気を出せずわざと当たったようなシーンもあった。それでも子どもたちは楽しそうだったし大人たちも顔が綻んでた。


 しかし、今はそんなことはどうでもいい。遂に見学組が参戦することになりドッチボールは泥沼化していったからだ。

 まぁセドルは早々にソフィに当てられていたが…


 子ども組はオレとソフィ、鬼組はダグラン師匠だけとなってしまった。


「師匠…決着をつけましょう!」

「来い!いくらでも受け止めてやる!」


 いつの間にか熱中してたオレとダグラン師匠は大声で叫びながらドッチボールしていた。


「ウオォー!鬼はソトォー!!」

「ふんっ!」


 くそっオレの渾身の「鬼は外」が!


 オレと師匠のドッチボールは続き、フェイントや超至近距離での投げ合い、決着がつかないかと思われたその時オレはミスして師匠の顔面に…


「あ、すみま…」


 咄嗟に謝ろうとしたとき、パンッと音がしてオレの肩にコボダの豆が当たった。そのままコボダの豆はトントンと転がって…


「フッフッフ、残念だったなガルゥ。顔面は大丈夫の規則だろ?」


 くそぉー、不意を付かれたか。あ~子ども組の負けか…


「福はうちっ」


 ポコッという軽い響きがすぐ近くで聞こえた。

 ソフィがダグラン師匠の腰にコボダの豆を投げて当たった音だ。


 オレと師匠は口を開けっ広げにしてしまい、まさに鳩が豆鉄砲喰らっちまったみたいな…


「ソフィィィイ!?ま、負けた…」


 なんて呆気ない決着…父は娘には勝てないと言うことか…


 ☆☆


『鬼は外っ!福は内っ!厄払いっ!』


 明日からまた季節が変わる…

 きっと柔らかな双葉がゆっくりと発芽する…

節分は厄払いの~あれでどうのこうの…

とりま、一年の無病息災を~願って~

鬼は外~!福は内~!

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