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クリスマス

冒険者学校の時のお話…

前半の宗教の話はガルゥの考えでござりますれば…

 

 ずっと気になっていることがあった。


 なぜ現代日本は様々な宗教文化が入り混じっているのか。


 移住生活をしていた縄文時代、大小色々な“クニ”と呼ばれる集団がいたと言う弥生時代からヤマト政権そして6世紀に仏教が伝来したという。

 古来からアニミズムという自然崇拝を人はしてきた、言うまでもなく日本人も。日本では八百万の神というほうが伝わるかもしれない。

 そして戦国時代16世紀、かの有名なフランシスコ・ザビエルから日本にキリスト教が伝えられた。

 この他にもまだまだ沢山の宗教がある。


 日本人は文化の許容範囲が広く、受け入れ易い心の人種なのだと思う。オレはそう思う。

 このガルゥとして生きているこの世界の宗教がどうなっているのかそれはほとんど知らないがきっと触れる機会が来るだろう、その時まで楽しみにするとして、まぁそういう話がしたかったんじゃないので宗教の話は置いといて…


 12月25日、この日を日本人の皆様はご存知だろう。

 そう、クリスマスだ。

 だが、この世界に勿論クリスマスと言うものは存在しなかった。流石に約12年間もこの世界で暮らしているので少なくとも確実に王国には存在しないだろう。

 しかし、ついこの間冒険者学校に入学してからはや6ヵ月、このエイゲニア王国歴547年もあと数日。

 そんなときに教官からある魔物の討伐依頼がギルドから冒険者学校に出ているという話が…


 **************************************************

「おい!てめぇら!ギルドから直々の依頼だ!討伐行くぞ!オラ!」

「ういっ!シャアァいっくぞぉ!」

「気が早いのよ!しっかり装備を点検しなきゃダメでしょ!」

「グエッ」


 教壇に両手をついてオレたちに突然大声でベゼック教官がギルド依頼を連絡してきた。それを聞いたクラメが即断で教室を出ていこうとしたところでクレールがクラメの襟首をつかんで引き戻した。


 まぁーた、いつもの光景だよ…教官が大声で授業内容を言ったり、連絡を言うとクラメがすぐ反応して、クレールが叱ると言う流れが…


 オレたちは特待生用の教室(といっても普通の教室だが…)でその話を聞いた。咳き込んでいたクラメが落ち着いた所で今回の討伐対象を教官が話し始めた。


「いいか!俺らが狩るのはターキリィーバードだ!この時期大量発生しやがって畑のもんを喰い荒らしやがるうぜってぇ魔物だ」


 ターキリィーバード?この時期?

 あっ、ターキー!七面鳥か!?文化的に関係無い世界なのに…?

 オレが考えている間に皆が準備をすませて教室から続々と出ていった


「ほら、行こう、ガルゥシュ。皆に全部狩られちゃったら報酬出ないよ?」

「あぁそうだなゼン。行こうか」


 恐らく七面鳥なんだろう、丸焼きにして食ってみたかったんだよなぁ。異世界で叶えられるかもしれないとか…一羽貰えないかなぁ…?


 **************************************************


 は?こ、これ?コイツらな訳ですか?

 お、思ってたのと違う…一羽一羽が物凄くでかい…!

 体長3メートル越えのドでかい黒の羽根と後ろで大きく広がった茶色っぽい細目の尾羽、真っ赤な首と頭、青く彩られた顔が目立ち、長く垂れたあれって肉垂っていうんだったけか?…そんな奴等が総勢2、30匹居やがる。七面鳥ってこんな怖い生物なんですか?異世界の魔物だからか?


「てめぇら!コイツらは焼くと、くそウメェんだ、一羽残らず狩り尽くせ!」

「オー!やったらぁー!」

「ターキリィちゃーん!食べさせてー!」


 あ、各々旨いっていう情報で目付きが変わって襲い掛かっていった。皆欲望に忠実だな…。そう言ってるオレも食べたいけどさ。鶏よりあっさりしてるらしいな。


「ゴブル!ゴブルル!ゴブルルル!」


 うぉ!一際大きい鳴き声!威嚇音?

 あいつか?周りの奴より一回りはでかいぞ、群れのボス的な奴か?


「ゴブルルル…ルァ!」

「うわっ!あっぶね!」


 な、なんか緑色の液体吐いてきた!きもちわりぃ、酸とかじゃねぇの…

 鑑定してみるか…


 {個体名:ターキリィーバード(オス)

 ランク:D

 群れを率いるボス、アラームコールを発する。主に群れのメスたちに攻撃させる。自らは後ろから酸をはく。敵わないと判断すると逃走する}


 うわ、クズ男だ。情けなねぇ。まぁD+なら簡単に倒せるだろ。ただ逃がさないようにしないとな。


「よっ、ほ」

「グゲェエエ!!エェ……」


 う~んグロい…ズバッっといきすぎたか。頭落としちゃった。でも、ターキーって頭落とされてたよな。


「終わったか~?皮剥いでくれ、ギルドに持ってくんでな。あとで報酬は分けるから」


 皆も終わったみたいだ。ちゃんと報酬も出るし、肉も食える。いい依頼だな。

 さぁーて、ターキー作りますか。オーブンも何もないからもちろん魔法でやるけどな!


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 デ~キ~タ~!めちゃくちゃでかいターキーの完成だ!

 かなり苦労した…レシピ全然知らないし、一羽丸ごとだから魔力かなり使うし、寮の厨房貸してもらってるからおばちゃんこっち見ながら色々作ってて、緊張した。

 でも、かなり地球のターキーっぽく作れたと思う。

 何人分か分からないけど、今日の夕食だな。


「凄いねあんた。将来ここで料理作らないかい?あんたなら大歓迎だよ!」

「あはは、ありがとうございます。でも、冒険者やるって決めてるんで」

「そっか、惜しいねぇ。ま、困ったらおいで雇ってあげるからね」


 良かった、料理腕は認められたみたいだ。

 あ~、お腹空いた…


 ◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆◇◆◆


「旨いッ!」

「おいしいー!」

「あっ!おい!俺の分取んなよ!」

「へっへ~ん。こんな美味しいもんお前には勿体ねぇよ~」


 うわー、皆、オレが作ったターキーに群がってる…こんなに食堂がうるさいのも久々だな。食堂はだいたい2、3時間位夕食の時間として開いてるからいつ食べに来てもいいんだけど、今日は物凄く混んでる。あれか、匂いか。オレも作ってるときヨダレ垂れそうだったしな。


「ま、オレも一口…頂きます。あ~む!」


 ん!旨い!

 噛んだ瞬間から肉汁が湧き出して、丁度いい噛みごたえでオレのくちが喜んでる!鶏と比べると確かにあっさりしているが、それがいい。しっかりと肉の芯にも火が通ったみたいで良かった。


「う~ん美味しいな…ガルゥシュは凄いよ…」


 ありがとさん、ゼン。褒めてくれて。

 男子寮だから、ソフィたちには食べさせられなかったのがなぁー…

 ま、男だけのクリスマスも悪くは無いんじゃないかな?

 前世ではクリぼっちだったし…けっ!爆発しろ…ってね!


 あ~ソフィに会いたい。でも寮の規則で女子寮には行けないし…


 男ばっかでクリスマスっぽくはないけど少しだけ楽しめた、良い12月25日だったな。

 冒険者になったらソフィとイチャイチャ楽しいクリスマスをしてやる!ゼン抜きでな!

クリスマス・イブって12月24日の夕方だけらしいですね、厳密には日中はイブではないらしいです。

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