第一話
※異世界転生モノです
ー昼休みー
「先生、俺今日塾があるんで二者面談別の日にしてもらえませんか?」
職員室の真ん中あたりにある担任の先生の机の横に立ち、先生が何か書いている様子を横目に見ながら言った。まだ若い女の先生だ。
「田中君、塾に行くのは大切だし立派なことだけど、二者面談のある当日になって言われると少し困るなあ。」
先生は少しあきれたような困ったような表情をしながら椅子をこちらに向ける。ハーフアップにした髪が少し揺れた。
「はい、つい二者面談のことを忘れていてさっき授業中に思い出しました。すみません。」
「はあしょうがないなあ。じゃあいつにしようか。出席番号の順にやってるんだけど、とりあえずみんなが終わってからでもいいかな。田中君は最後でもいい?」
「はいもちらんです。ありがとうございます。」
そう言うと先生は二者面談のスケジュール帳のようなものに書いてある9月2日の欄の田中の文字を一度消し、9月18日の欄に書き直した。
「じゃあ18日にしたから、日曜日だけどいい?先生学校きてるんだけどさ、田中君部活でいつも来てるでしょ?」
「えー先生なんで日曜なんですか?まあいいけど」
「先生も部活があるからね、時間は後でまた言うから、忘れないように近くなったら。じゃあよろしくー」
そう笑顔で言うとすぐに机に向き直り用紙に何かを書き込み始めた。
高校一年の担任ってそんな忙しいものなのだろうか。それに昼休みなのに。
「はい、じゃあ失礼します。」
そう言って職員室を後にした。教室に戻ろうと廊下を歩きながら窓の外を見て思った。熱い。時折生ぬるい風が窓から入ってくるが気持ちのいいものではない。快晴の空で太陽がギラギラと熱を放射していて、早く冬になってくれと目を細めながら願った。