9話目
初めて1日だけでアクセス数が100を越えました。ありがとうございます!!
これからも細々と書いていきたいと思います。
というわけで、今回はもう一つ投稿します・
ルークは上機嫌に、ふらりと腕を伸ばし手のひらを向けた。
狼に、だ。
狼はいらだっているのだろう。ルークの行動を気にした風も無く、突っ込んでくる。
受けとける?いや、ユナは推測を自分で否定した。
意図がつかめず、「もういい、逃げろ!」とこらえきれず叫んだ。
ルークは目だけをこちらに向けてただ笑った。
心配するな、次はおまえだ、
声が聞こえるようだった。
ユナは直感した。
ルークにとって自分も獲物なのだ。ただ狼が先というだけ。
「なん、で・・・。」
こぼれるように口からそんな言葉が出る。
今の自分に充満する感情は何だろうか。
ルークが自分を殺すつもりでいる、悲しみ?恐怖?いや、違う。
当惑だ。
なぜなら、こちらを見る目はユナを慈しんでいたから。
狼がルークに飛び掛る。
ルークは手を伸ばしたまま、
何もしなかった。
その時点で未来は決まっていたのかもしれない。
予想を裏切る方向に。
ルークに狼の牙が突き刺さる。
ユナは思わず目をそらした。
瞬間、パンっと空気がはじけるような音がした.
ユナの後ろで何かが強く木にぶつかる音がした。
目を開けると
ルークが無傷で平然としている。
また、だ。
どうして傷を負わないんだ。意味不明すぎて何も信じれなくなりそうだった。
ルークがこちらに歩いてくる。
だが、視線はユナの頭上を超えていた。
そういえば、
さっきの音の正体がルークで無いなら、もう、狼しかいない。
振り返ると、幹の太そうな木が何本か折れていた。
そこに狼がぶつかったのだ。
あの様子だと勢いが全く殺されず、つっこんだようだ。
何が起こった、
そんな感想は私だけではない、狼にも感じる。
だが、狼は木にぶつかった程度ではダメージも無いのだろう、ぶんぶんと顔を振って、すぐにこちらに標準を定めた。
が、ユナと狼の対角線上にルークが入る。
もしかして私を守っているのだろうか、ユナは妙な気持ちに包まれる。
ユナの思いを読み取ったかのように「大丈夫、君を殺すのはボクだから」と、ルーク。
ユナはげんなりした。
それにしても、今のルークはまるで別人だ。
今のルークは自分を躊躇無く殺せる。会って間もない私にも分かる。
そして
前のルークにそんなことは出来ないことも、だ。
それに、あの狼の攻撃を平然と凌ぐなんてことも出来ない。
素質は在るのかもしれないが、現時点でそんな力は無いはずだ。
ユナは嘆息した。
けれども、ぜんぜん違うのに、前のルークと同じ親近感を感じるのはなぜだろうか。
が、だからこそ、なのだろう。
狼に殺されるくらいならルークのほうがいい、そんな考えが浮かんでくる。
私もたいがい、おかしくなってきてるな。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
次話で卒業試験編?は終わりだと思います。