4話目
今日中にもう1話投稿予定です。
試験開始は7時から。1タッグにつき4人。5タッグづつ、魔の森に入れていき、魔物を討伐した時点で学園本部に連絡。判定員が確認次第、試験終了。時間制限は3時間以内。それぞれ異なるルートで進むので別のタッグとの接触はない。が、接触した場合のタッグ間での争い、協力は失格。
試験の諸注意があったあとオレ、ルークはもう一度、メンバー表を確認しに行った。見間違い、してるかもよ、冷血女王は見間違いかもよ! それにユナの存在に驚きすぎて他の2人のメンバー忘れちゃった、てへっ。
結果、奇跡は起こらず。
メンバーはドミニオ、ユナ、キーリ、オレ、ルークとなり、一旦集まることになった。
うわ、ドミニオってオレをボコるやつじゃん!キーリはオレにも普通に接する優男、サポート役らしい。将来、出世しそう。そして肝心のユナがまだ、現れていないのであった。
オレは嫌いな物はすぐ食べる派なんだけどなぁー。
ユナは焦っていた。
寝坊した!まずい!
こんな日に遅刻、皆に迷惑かけまくり、足手纏いが私になってしまう!
昨日から緊張して寝れなくてぇー、寝過ごしちゃった、ゴメンね、うふふっ。
誰だコレは!シュミレーションさえ、上手くいかない。私のプライドが許さない。
意地でも間に合ってやる!自身に速度強化をかけてユナは学園を目指した。
学園の広場でルーク達はユナを待っていた。ドミニオのいちゃもんをオレが華麗にかわして、キーリがことを収めようとする。それを何回か繰り返していたとき、遠くから悲鳴が聞こえた。
見ると、猛スピードで女が走って来ている。悲鳴はそれに当たりそうになったから、らしい。
もう、当たったら撥ね飛ばされるだろ。暴れ牛みたいだな、とキール。
うげ、こっち見た。あ、かなりかわいい。けど必死の顔。うわ、こっちに来た!ぶつかる、死ぬ!
が、そいつはルーク達の前で急停止。
後から風が追い付いてルーク達の髪は強く、たなびいた。
・・・・。黙るオレらに、そいつが唐突に
「私がユナだ、よろしく」
やっぱりかぁ。
この登場の仕方。さすがは冷血女王、理解できん!
オレがひきまくっていると、キーリは「よろしく、ユナさん」と普通に対応。
え、いつもこの登場方法なの!?
まさかのドミニオも、よろしくと追従。
あれ!?オレがおかしいのか・・・・・?
オレも普通に!!「よろしくユナさん、」と思わず「何で走ってたの?」と聞いてしまった。ドミニオとキーリがあわてて、撤回しろ!と小声で責め立てる。しまった!聞いちゃいけないのか!
が、ユナは平然と「私の家系の慣わしなんだ、驚かせたな」
「へぇ、それは素晴らしい」とキーリとドミニオ。
もう、何なのおまえら。てか、キーリ、お前は暴れ牛だって馬鹿にしてたやん。
これが、普通ならオレは普通じゃなくていいや。
ユナも、ようやく合流しルーク達は魔の森に向かっていた。ルークは試験直前の恐いような、楽しみのような不思議な感覚を味わっていた。グループはキーリのようにオレを普通に扱ってくれる人もいて、予想以上に良い。ドミニオも冷血女王がいる手前、いつものようにとはいかないようだ。冷血女王はよくわからんが噂と違い、大人しい。
そうしている間に魔の森に着き、少し、時間が経ってルーク達のタッグの試験が開始された。
森の中は木が光を遮り、薄暗い。じっとりと嫌な感覚が始終、絡みついてくるようだった。これは結構、精神的にくる。
案外、この試験は厳しいのかも。
入口が見えなくなった所で、ユナが作戦を伝えるためメンバーを止まらせる。
制限時間が3時間内と短めだから、まず、キーリの遠視魔法(遠くを見渡す魔法)で素早く標的を発見、近づき、相手を攻撃。という手順でいく。
ルークはユナの説明を聞きながら、驚きを隠せなかった。体に影響のある魔法は微細なコントロールが必要で、誤れば今回だと失明する可能性もある。キーリの精度はまだ甘く、何か、動いてる位しか、分からないそうだが、それでも凄いことなのだ。
キーリが遠視魔法をしている間は、そこで全員待機となった。
ルークは暇になり、ユナをちらり、と見る。ユナは、しゃがんで、ありの行列に「ありさん、大変だね」と喋っていた。
・・・・。友達、いないのかな。無性に切なくなったオレは喋りかけたくて、内容が思いつかず、焦り、
「ユナさんっ、試験がんばりましょう!」なんじゃそりゃ!言った瞬間後悔した。が、ユナは険の抜けた顔で「うん、がんばるよ」と優しげに微笑み、
我に返った様子で顔をひきつらせ、「今のは、無しだ!忘れろ!」とオレの頭をペシリと叩いて向こうに逃げた。なに、あの笑顔…ほれてまうやろー。
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