閑話1
「俺は請負人。名前は、日阪 一将ってんだ」
時系列としては、美春が転校してきて二日目。
場所は作中出てこない、通学路にある喫茶店。
「というわけで、頼まれてほしい」
「はぁ?」
喫茶店にて、依頼人であるおっさんに依頼内容を聞いたところ。
俺こと日阪 一将はストーカー行為を依頼されていた。
「おっさん、自分で言ってる言葉の意味。理解してる?」
「ああ、しているさ。君に、ストーキングしてほしい人物がいる」
「ストーカーしろってハッキリ言うな。犯罪だろ?」
「それは言わば、自分の為に、相手に不快な思いをさせることだ。探偵だって、一歩間違えばストーカーさ。警察の張り込みだってそうだろう?違いなんて、相手に接触するかどうか、依頼されているかどうか。とかだろう」
ぐぅの音もでないとはこの事だ。
正義のための執行であろうと、ところ変われば悪の所業。
それを、本音と建前の国で言うとはな。
「なぁに。実を言うと、この依頼はとある読者様方の為に作成する。言ってしまえば、公式のものだ。本人たちには許可を取っている」
「俺のいる意味がないだろ……」
「意味はあるさ。君は義妹とイチャコラしているんだろう?だったら……書けるさ」
「ねーだろ。彩葉は妹だ」
「嘘をつくなよ、少年。君は、義妹と愛し合うなかだろう?」
「チッ……!」
「露骨だねぇ……」
露骨にもなるさ。おっさんに隠し事は無意味。
だったら、こうして露骨に嫌な態度を取るぐらいしかできないだろ。
ってか、このおっさんが書けば良いだろ。
「くっく。まぁそうだね。報酬の話にいこうか」
「……」
「とりあえず。義妹でも結婚するには困難極まるだろうて、ほい」
「あ?んだよ、これ」
二枚綴りの……チケットか?
「異世界行きのペアチケットさ。帰るときは、私に言えばいい」
「……頭沸いてんのか?」
「何を言う。私は至って正常だ」
「沸いてんのがデフォってことな」
彩葉に聞いてみて、行きたいなら行くとしよう。
コイツは、ヤバい類のモノホンだ。
となれば。本当に行けるかもしれない。異世界とやらに。
だけど、これじゃあ足りなすぎる。
「乗せ、500から」
「ふむ。ならば1000でどうか?」
「ノッた。行った後のと半々で」
「了承した。誓約書はこれだ。サインと拇印で」
「あいよ。コピーと写真、それから」
「今の会話内容を録音した、レコーダーだ」
「確かに」
「それでは頼むよ!」
颯爽とレシートを持って、レジへと向かっていったおっさん。
ああ、いや。三咲ヶ丘 丞乃氏か。……まぁ良いや。おっさんで。
さてっと。彩葉にお願いするか。確か、転校生は……。
閑話は全て、一将君に頑張ってもらいます。
主人公達には殆ど絡みません。