表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/11

全員……しゅー、あれ?足りない?

主人公サイドの味方達です。

-----


「そんなことが……」


執政机の前に出された、椅子に座り優雅に茶をシバく丞乃。


「ああ。今では愛しい伴侶よ」


龍は執政机に広がっている資料を読みながら、丞乃達に今までの事を話す。


「我が親友の泰然(たいぜん)よ。そちらはどうだったのだ?」


泰然と呼ばれた男は、膝の上にのせた少女の頬をぷにぷにつつき。


「ああ。あっちじゃあ特にはな。マセガキ……美那奈(みなな)のほうも特にはない」


「そうか……。我が親友と私の敵、虚無(ノイン)の奴等は動かないか」


泰然は嘆息し、丞乃は深く肩を落とし、龍は資料を読み進める。


そんな男性陣を横目に、女性陣(二人と一匹)は互いに今までの事を話し合っていた。


「そこで、龍が……」


「成る程…流石はマスター」


「ところでなぁ…虚無ってなんやのん?」


「確かにな。私と龍には関係が無いのだしな」


「そうですね。お話ししときましょうか」


こほんと、仕切り直すメイドの女性。


「まず始めに。自己紹介し直しましょう」


そう言って、女性は立ち上がり頭を下げる。


「私は、ドラゴ・エメラル様の従者、メリッサ・クレイス。そして、前世の記憶保持者です。その前世にて、あちらにいる丞乃様、泰然様、美那奈様達と共に、人ならざる何か…虚無(ノイン)達と戦っておりました」


メリッサは鈴の音のような声で、スラスラと説明を始める。


「先程、人ならざる何か…と申しましたが、訂正させていただきます。虚無は、元を辿れば人です。ですが。感情を捨て、欲を捨て、名を捨て、理性を捨て……彼ら、彼女らは、人よりも優れた者になろうとし、人ではなくなった者達です」


「むぅ……。神にでも成ろうとしたのか、そやつらは」


美春は首をかしげ、思い当たる節を言ってみる。

しかし、メリッサは首を横に振り。


「神になろうとするのであれば、理性を突き詰めていかないといけません。その時に、感情と欲が消え去ります。そして、名は自らを定義するのに必要な為、捨てれば存在ごと消え去ってしまいます」


「神にも名はあってぇな。あのじいさんは、ゼベルスっちゅう名があるんよ」


「ふぅむ」


「みはるんが言いたいことは判るつもりぃけど、こりゃばっかりわぁな……。ああ、めりやんが説明したんわ一つの考えよ?」


影法師はそのまま、神についての説明を始めた。


神とは、そのものずばり人の偶像であると。

人が信じることにより、その姿を常に変えていく不定形な何か。


丞乃、泰然や美那奈はその神を、人の欲の塊と定めて。

虚無達はその神を、人の弱き醜い感傷と定めて。

ドラゴや魔王、メリッサや影法師は理性の果てであると定めて。


「そうは言うても、神ちゅうのは判らん存在ゆーこと」


「んん"。話を戻しましょう」


逸れていった話を戻すため、一つ喉を鳴らすメリッサ。


「少し話を端折りますが、私達はその虚無達を殲滅したのですが……」


「この世界にも現れたのを確認して、降り立った……と?」


「いえ。丞乃様が転移してしまったのと、私が天寿を全うして死んでしまっただけでございます」


影法師はガクッと体を落として、美春はため息をつきながら肩を竦める。

ころころと、口許を隠して笑うメリッサ。

してっやったりと言った雰囲気はないので、美春達は苦笑する。


「さりとて、どのような確率で同じ世界に来れるのだ?」


「そなね~。しかもいっちゃんメンドイやん。転移と転生でなんと」


「いえいえ。私が転生したのは全くの偶然で、丞乃様は因果を辿って来たのです」


「……うむ。虚無について、知りたいことは粗方判った」


美春は深く頷き、理解したことをメリッサに示す。


「では……主人とはどういう関係なのでしょう?」


小首をかしげ、メリッサは美春に問う。

その目には、少しの嫉妬と好感。興味が大きく映っている。


「そやねー。ごっつ興味あるわー」


「む、むぅ……。お前達は知っていると思うが……」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ