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プロローグ
陰陽師の安部晴明。我は、現在、三十二歳の高校二年生である。
周囲とは少々変わった経歴を持つ我ではあるが、生活は周囲同様、退屈なものだった。
勉強と会話で終了してしまう毎日。……味気ないのだ。
そんな我の一番の不満は、恋愛が出来ないことである。友達は多いが恋人は生まれてから今日まで一度も出来たことがない。
我は恋愛がしたい。支え合える人と結ばれたい……。
――そんな時、彼女に出会った。
一目見た時、我は彼女に惚れた。彼女の声はオルゴールよりも美しく、一つ一つの動作がぬらりひょんのように流麗であった。
彼女の名前は確か、み、み……駄目だ、思い出せない。おそらく暗示がかけられているのだろう。この暗示を解くためには、暗示をかけた張本人を倒すしかない。
新たな戦いの予感に、我は心を震わせていた……。