ごっこまんの140字小説集②
ごっこまんがX【https://x.com/gokkoman】で発表している140字小説のまとめ
知恵の実を食え
蛇がイヴを誘惑する
「神様がダメって」
【これでもか】
蛇は知恵の実の芯をくり抜き、バターを入れた
粉砂糖をまぶしてオーブンへ投入
バターキャラメル香る焼き知恵の実のパンケーキ、シナモンとバニラアイス載せ、チョコソース別添え
罪深い味
背徳グルメはイヴの罪を負ったのである
――楽園追放回避
・
「お嬢ちゃん、こんなとこで何してんだ」
「こっちの台詞よ!この変態!荷物は!?ふ、服は!?」
「これが正装だ」
「威張るな!物を揺らすな!大体ここダンジョンのボス部屋……あれ?ボスは?」
「倒した」
「は?え?魔法で?」
「素手」
噂は本当だったのだ
全裸の変態に気をつけろ
手練れだから
――ライクアソウル
・
うんとこしょどっこいしょ
それでもカブは抜けません
それに引き換えおじいさんの髪の毛は
おばあさんの歯は
息子の間は
嫁は
「おい助平ジジイ何考えてんだい」
うんとこしょどっこいしょ
全くこのババアは気が抜けません
それに引き換え青空は
我が家の床は
天井は
「覚えてんなら塞ぎな」
見抜くな
――抜ける抜けない
・
チャラ男『イェーイ!オタク君見てるぅ?
これからオタク君の大事な彼女に…
代わってノンケ号に乗る
予備のパイロットもいねえってさ
で俺に白羽の矢が立った
噂、本当なのか
タチ号とネコ号の間に挟まった男はユーリ線に耐えらんねえって
…泣き言じゃねえし
世界を救えるのはユーリロボだけなんだ』
――チェンジ!ユーリロボ 百合の間に挟まるチャラ男最後の日
・
首無し鶏マイクをご存知だろうか
首をはねられてなお18ヵ月も動き、餌をついばむような仕草もしたという驚異の鶏
給餌は流動食をパイプで
餌の誤嚥がなければもっと長生きした可能性もある
そこから導き出される仮説が1つ
デュラハンはハーピィである
仮説が正しければ、それを陰ながら支える者もいる
――首なし考
・
夏祭り
花火スポットに到着し、彼女と横並びに座る
話題がない
試し打ちの花火が炸裂し、彼女が驚いて僕にすがった
チカチカ、ドンドン
澄んだ瞳に花火が映っている
「大丈夫かい」
清掃ボランティアの人に声をかけられて二人離れる
花火はとっくに終わり
互いに瞳の輝きと心音を花火と勘違いしていた
――夢花火、私の心は夏模様
・
父が卓に並べた料理を払い落とした
「一体何回言やわかんだこの愚図!」
案の定、怒鳴る
早々に退散して正解だった
「ごめんなさい、ごめんなさい」
嗚咽混じりに謝罪を繰り返す
「そそっかしいんだから足元に気をつけろって。怪我はねえか?」
ドリフみたいに滑った父に母は肩を貸した
ここから乳繰る
――令和親父
・
私を真似る奴がいる
最初はアクセ、鞄、服、着こなし、髪型ときて遂に化粧まで
並べば双子同然で、私は心底迷惑していた
ある日からそいつは私になりすまし、男子の告白を片っ端から袖にした
「いい加減にして」
「何で?悪い虫を追っ払ってやってんのに」
学ランに着替える幼馴染は悪びれもしない
――真似っ子防波堤
・
お隣の奥さんが来た
「これ作りすぎちゃって」
「ありがとうございます。ところでこれは?」
「旦那が作ったロボットのプラモデル。同じのを何個も」
「あー違う違う作りすぎたんじゃないです」
「もう困った人で」
「そうですけど」
「650体も」
「やっぱり原作の場面再現をしようとええ650体!?」
――クワイエットゼロ完全再現は普通に迷惑行為
・
ピノキオは鼻を股に移植した
嘘をつけば己が逞しくなる気がした
しかし間を置かず、嘘で女を悦ばせる営みに嫌気が差した
欺瞞に満ちた愛
木彫りの人形の心は空っぽのままだった
「ありのままの君でいて」
ある女性との出会いから世界に彩りが蘇る
エグいのより可愛いのが好きな彼女はショタ食いだった
――下半身に正直なピノキオ
・
「お姉さん一人?俺と遊ぼうよ」
『結構です。間に合ってます』
「こ、怖い顔しないでよ……ただ俺、シルバニアファミリーとリカちゃんとメルちゃんをクロスオーバーさせてストップモーションアニメ一緒に作ってくれる人を探してただけで」
『モルカー出すのってどうです?』
「やっぱ話わかんじゃん」
――ナンパ遊び
・
我が家には怨霊が憑いている
【末代まで祟る】
僕がその末代
祟りは恋愛弱者だ
【困るぞ】と怨霊
【お主一族を追ってわかったが人類クソじゃ。全員祟る算段はある。実現まで持たせよ】
急に言われても
【お主、あの女子好いとるじゃろ】
怨霊が憧れの人に憑依する
「これで練習せい」
僕の癖が壊れる音
――一族繁栄
・
人々の頭上に数字が浮かぶようになった
何の数字か様々な仮説を呼び、分数や無理数、虚数や数式が報告されるにつれて数字は無意味と見なされた
少なくとも、数字は実在しないという主張は消えた
対して、未観測数非実在説は唱えられていない
無際限に増殖する未知の数学記号の解明が急がれているためだ
――ラマヌジャンの賜与
・
「博士、うちの合体ロボなんスけど」
何か不具合だろうか
「合体シーケンスで超力場を出すじゃないスか」
一旦バラバラにした機体を保護しつつ反重力でガッチャンコするアレね
「あれ…侵略者に直接ぶつけるのってどうスか」
後日、パイロット一名が殉職
人類の敵は侵略者ではない
ロマンへの無理解だ
――超力場合体ガッチャンダー
・
心を持つロボットチーム“勇機隊”
孫が指揮官だったらしい
なんやかんや諸悪の根源を倒した勇機隊はお役御免
孫は普通の学生に戻った
それで勇機隊の現在はというと…
【お爺様、農薬散布完了しました】
【こっちは合鴨の収容完了だぜ】
【環境解析完了。非常に良好です】
何でかワシんとこで農業しとる
――勇機農咆ファーマードの引退生活
・
人間たちさあ…異種族を魔族って一緒くたに呼ぶのやめない?
魔界も魔王もやめ
人間の王はキングとかツァーリとかスルタンとか色々あんじゃん
全員が全員お互いを魔王だって呼べば国際問題だよね
うっかり呼んじゃうのは許すよ
でも自称してる風潮を流されるのはね
信者がご本尊を邪神呼びするかって話
――ポリコレ魔族
・
魔王降臨の時、台座の聖剣を抜く勇者が現れる――
聖剣を授けた神は、近頃魔王が降臨しても聖剣に血が着かないことに気づく
【無血で和平を結んだか】
神は人類の成長を喜び、下界を覗いてみた
魔王軍が近代兵器で蹂躙されている
現代に剣は時代遅れ
聖剣はリマインダー
勇者は徴兵ポスターを飾っていた
――人類の成長
・
「今夜のことは秘密よ」
雪女に見逃された男は後に妻を娶った
「お前見てっとあの女思い出すわ」
「…どんな人?」
「初めての女でよ、別嬪でよ…」
「…ふうん?他の女は?」
「二番目のは乳がでかくて…」
「他は」
「三番目はケツが…」
「雪女は!?」
女遍歴を聞かされ雪女は焼き餅を焼いたとさ
――雪女TrueEnd
・
「王様の耳はロバの耳!」
床屋が王の御前で口走っていたなら、即座に罰せられていただろう
ロバは縄張り意識が強い
耳が良く、侵入者を積極的に排除したがる
タイマンなら狼とも渡り合うガッツも備えている
王、領地内での嘲弄を察知し、城を単騎で発つ――!
床屋に逃げるだけの猶予は残されていない
――その点王様はすげぇよな。頭の中までロバたっぷりなんだもん
・
「くそっ!何回ループしてもあいつが死ぬ!」
嘆く親友には悪いがお互い様だ
先にループしたのは俺の方
何度繰り返しても親友を失った
親友の死を避ける必須条件、それは俺の死だ
「まさか僕が死ぬしか…?」
その逆もまた然り
やめろよ
またループの猶予が短くなる
俺たちの死は瞬間になりつつあった
――二重螺旋ドリル型袋小路ループ
・
「このバター…虎では?」
『マーガリンです』
「このコクで?」
『知っての通り、バターの材料は虎から乳へ、今や植物油です。これは代替虎を混ぜた原点回帰の逸品です』
「素晴らしい。何を代替に?」
『虎を自称する実業家』
殺気、またこの手合いか
私はネクタイを解く
プレゼンターも質が下がった
――令和の虎狩り
・
大岡越前は母を名乗る女二人に子の腕を引き合わせ、手放さなかった方を本物とすると告げた
だが本物と認めたのは先に手放した方
母なら痛みに泣く子を不憫に思うためだ
残る偽物に大岡「某のママになれ」と迫る
「天晴、バブみを満たすに足る独占欲」
大岡がオギャる
『きっも』
でも何、この気持ち…
――大岡裁き 子争い
・
「三匹の子豚を知ってるか」
『藁、木、煉瓦の家に住む豚兄弟と狼の話だろ』
「狼は煉瓦の家を突破できず豚に負ける。教訓がわかるか」
『安全のために手間暇をかけろ』
「狼は米国人と手を組むべきだった、だ」
『何で』
「焚きつけと薪とオーブン、肉が揃い踏みだろ。最高のプルドポークができらぁ」
――三匹の子豚セット
・
「キスはダメ。赤ちゃんできちゃう」
『可愛いこと言うね。サキュバスなのに』
「違う違う。サキュバスだから」
『?』
「私ら人間で言うと常時逆立ちなの」
『ちょっとよくわかんない』
「今話してんのは上の口じゃなくて下の口な訳」
『嘘だあ』
「嘘じゃない。下の口は正直だから」
『やかましい』
――食べるってそういう
・
潤いのない人生
バーで独り酒の日々
バーテンが酒を出す
「頼んでない」
『あちらのお客様から…』
客は首を振り、別の客を指す
その客も別の、また別の…
最後の客は言う
[彼は見つけられるものなら見つけてみろ、と]
舞台はバーから古い洋館、そしてアマゾンへ
この夏、最高の冒険が私を待っている
――月へ
・
「ニンニク入れますか」
『もう入れてます』
既にニンニクヤサイアブラチョモランマカラメが着丼済
私ほどのジロリアンになればコールを待たず一杯が完成する
名付けて“先取りコール”
研鑽は速さの先の次元に至る
全てはロットのためだ
「ニンニク入れますか!?」
店員にはまだ早いか、この次元の話は
――超次元次郎
・
ゴーレムはemeth(真理)の札を核とし、自律起動する
止めるならeを切り離しmeth(死)にする
出会いを大切にさせるならhe met
ウザいくらい自己主張を強くするならthe me
何でもエロ認定させるならteme h
エロいものとの遭遇率を上げるならmeet h
【テメー、H】
【Hドコ?】
仲良しだな、最後の二体
――ゴーレムのバリエーション
・
「ケルベロス飼ってんだ」
へえ良いな
「頭三つで個性あんの」
三倍可愛いな
「こいつは賢い」
リーダーかな
「こいつは強い」
噛む力とか?
「こいつは素早い」
身体一つなのに…?
あ!バンプの“三人のおじさん”だ!冗談かよ!
「マジだって。水浴びさせたらわかる」
うわ、一頭だけ素早いイヌドリル
――三頭のケルベロス
・
あ、ダークエルフだ
「闇の国から来た」
遠路遥々…何かご馳走するよ
「バターチキンカレー」
インド人?
「インド違う…妙にデカいナンだな」
インド人?
「インド違う…あ、音楽。踊ろう」
インド人?
「しつこい」
闇の国?
「そう」
肯定で首傾げるのインドだよ
ラッシー飲む?
「左手で渡すな!」
――ダークエルフ熱帯出身説
・
冒険者のダークエルフは曲者だ
依頼達成の際、依頼主に奢ってもらうことがある
だがこいつ、勝手に全部激辛にする
「故郷では普通」
で、料理を独占する
ある日、ハーピィ族の依頼を達成
案の定激辛料理尽くしだ
だがハーピィは余裕で食べた
鳥は唐辛子が平気なのだ
「赤字だ畜生」
今日の飯は旨辛だな
――メシウマダークエルフ
・
ドワーフて女も髭あるんだ
「人間の女より目立つかもね」
男と違って整ってるな
「編んだり、髪と地続きに見せたり、生え際を隠したり…結構気を遣うよ」
剃らないの?
「ハッハ!髭剃りを見たこともないよ!」
嫌じゃないなら、薬局か電気屋で見てく?
「良いよ。挙式はいつにしよう?」
えっ?
「えっ?」
――ドワーフロマンス
・
次はメスガキです
谷有線,里親ライナー,JD線,近親線,わからせ線はお乗換♡
ザコは右側に変わる♡
Next Heki Is Mesugaki M023
ザコに告げる♡
やむを得ず急展開することがあるから,吊縄,ツインテ等を持つが良い♡
股筋線では平日ダイヤの終日,女性専用展開を設ける♡
理解しろ♡
ザコ協力むしろ邪魔♡
――メトロガキ
・
遂に死の魔術の完成だ
これで全て私の思い通り
「楽しそうだな、死霊術師!」
ああ、勇者か
遅かったな
もう魔術は発動させた
「外道め!」
何とでも言え
刮目せよ…美しき死を!
「こ、こんな…虹色に光って」
貝類をオパールにする魔術、成功だ
「ズルいぞ過程見せる約束だったろ!」
ごめん興奮してつい
――美しき死を
・
「こっくりさん、おいでください」
十円玉が独りでに【はい】の欄に動く
準備完了
数十枚の十円玉に告ぐ
「真のこっくりさんは唯一人。この盤面で戦い、勝ち抜いてみせろ」
我こそはと十円玉が乱闘
敗者が次々と場外へぶっ飛ばされる
十円玉が場外の観客を襲う!
「こいつら手を組んだ!歯向かうぞ!」
――大乱闘スマッシュこっくりさん
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↓は本当に読んで欲しいやつ
無原罪御宿の吸血鬼
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