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scene9 レジェンド

遅くなり申し訳ございません!

都内某所。地下鉄の駅から歩いて十数分のビルの一室。

若い男のくぐもった声が響く。その声色は苦悶や恐怖が強いものだが、よく聞くとどこか艶っぽいものも混じっている。

口枷と目隠しをされて片足を吊り上げるようにして拘束されている男児。


それが僕、馬並 大である。


少し待ってくれ、話をしよう。

この状態は僕の意思でこうなったわけじゃないんだ。

というのも、これも勇者となった者の修行になるらしい。あの怪しい部長の談なので、どこまで信用できるか疑問だが……


「いいわよ、縄を感じてっ!もっと(なか)に意識を沈めてっ!!」


僕より低くて雄々しい声が耳に届く。


「ケツがぁ!!めっちゃ食い込んでます!」

「プリプリで素敵よ♡もっと感じなさい!」


なんだろう、赤いロープが肌に食い込んで、苦痛なのにそれだけじゃない。露出した乳首に風を感じる。

体の血流の止まっている個所がわかる。僕じゃない雄の臭いを感じる。不安定な態勢、でも負担の少ない重心の位置がわかる。肌が粟立ち鋭敏になった触覚が周囲の気配を教えてくれる。

酸素を求めて呼吸が荒くなっていく。頭がぼーっとして、思考がまとまらない。


「はいそこまで」


パサリと縄がほどけ、膝から地面に降りた。

立ち眩みのような、全身に甘い痺れが広がる。ドクン、ドクンと脈打つ鼓動しか聞こえない。


「お疲れ様、休憩をしたら次はアタシの番よ!おもいっきりキツくお願いね♡」

「はい……駿河(するが)先輩……」


__________


「馬並くん、修行回だよ!」

「はぁ……部長、急にどうしたんです?」


いつもの部室に集まって早々、部長が先の宣言をした。

自主トレでは、まだ例の乳白液噴射(ひっさつわざ)の感覚はつかめそうになかったために修業は望むところであった。


「君に修業をつけてくれる方をお呼びしよう!駿河先輩だ!」


派手にターンを決めて指さした教室の扉が音を立て、大きな人影が入室した。

堀の深い沢村〇樹のような端正な顔、教室の扉をくぐらなければ通れないほどの長身。

袴に羽織の和装で、太く三つ編みに結った髪を揺らしていた。


「初めまして、私は駿河 刀伊(するが とい)。この性研部のOBよ」

「は、はじめまして。今、勇者やってます、馬並 大です。よろしくお願いします」


じろりと上から見下ろされる。

背中に冷や汗が垂れる。この先輩、強い。身長による威圧感もあるけど、覇気というかエネルギーみたいなものを肌で感じる。


「ふむ、悪くない仕上がりね。休日の間、預かるだけでいいのよね?」


部長が返事をして、僕の土日の予定が埋まった。

修業はありがたい。だが、僕の意思確認もなく話を進めたグラサンはいつか必ず絞めると、再度心に誓う。


土曜日の早朝。

地下鉄を乗り継ぎ、指定されたビルの前にいる。

どことなく不気味な雰囲気を感じる、狭いエレベーターに乗る。浮遊感がさらに不安をあおる。

フロアに降りてヘアのドアを開けると、異質な空間が広がっていた。


狭いはずなのに、どこまでも広がっているような暗闇。

窓には板が張り付けられ、日の光を遮断している。少し観察すると、等間隔にアンカーフックが取り付けられている。


パチリ。部屋の明かりがつけられて、僕の後ろから駿河先輩が入ってきた。


「さぁ、時間がないからすぐ準備して!あなたにはここで緊縛体験をしてもらうわ!」

「き、緊縛!?どういうことですか?ちょ……!勝手に縛り始めないでくださ……!くっそ、力つえぇ!」


赤いロープを取り出した先輩が、目にもとまらぬ速さで僕の体に縄目をつけていく。

どんどん拘束され、自由を奪われる感覚に恐怖を覚える。


「私の性癖はね、『緊縛』。縛るのも縛られるのも好きなの♡」

「でしょうね!!このド変態が!!」

「ノンノン、そうやって拒絶から入っちゃだ・め・ヨ」


顔は見えないが、背後に回った先輩の雰囲気がシリアスになった。


「これから先の戦いは、かつてないほどに厳しいものになるわ」

「どういうことです……?」

「コジラセモノがどんと強くなっているの。アナタは聖剣の力をもっと引き出さないといけない」


鞄からのぞく性剣(テンガルド)。こいつの力をもっと引き出す。

そうすれば、あの必殺技を思いのまま扱えるようになる。当初の目的を思い出して、決意を新たにする。


「目が変わったわね、アナタにはこの修行で『性癖の共有』までを身に着けてもらうわ」


僕はこれまでの戦い、相手の性癖に理解を示して性剣を抜いて戦った。

共有とは、どういうことだろう。


「私たちレジェンドは自分の性癖を一人(オナニー)で発散するの。でも、それで至れる絶頂(エクスタシー)はたかが知れてる」


一人の絶頂を……二人以上で、『共有』。


「そう、複数人での絶頂は相乗効果でより高みへ昇るの。それこそ感度3000倍なんて霞むほどにね」


さぁ、共に高みへ!

お”っほぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!


野太い声が響く狂乱の修業は、三日三晩続き

数えきれないほどの絶頂を経て、僕は『性癖の共有』に至った。

難産でした……

己の執筆力の無さが憎い……!

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