scene5 まことに遺憾です
勇者を誰かに譲渡する。
そう決めたはいいものの、誰でもいいわけじゃないはず。
だってもし、性剣を渡した相手がコジレモノになってしまったら?救済する手立てがなくなってしまう。
だから、譲渡とする相手の最低条件が『コジレモノにならない人』だ。
じゃあコジレモノにならない人とは?コジレモノは自己の性癖が拗れ、発散方法を見つけられなかった者。
自分の性癖を理解し、発散するためのオナニーができる人。これがコジレモノにならない人。
僕が見つけるべき人材だ。
つまり、僕はこれから、どんな自慰方法を用いているのか聞いて回らなければならない。
他人のオナニー方法を聞いて回るなんてどんな変態だよ!!
いや、普段の猥談の流れで聞けるかな……
くそっ!なんで僕がこんな目に……許さないぞグラサン!!
改めて奴に恨みを募らせる。
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「おはよっ!あれ?大ちゃん、眉間に皺よせてどうしたん?オナ禁中?」
「テヨちゃんか、おはよう」
朝から元気な挨拶をしてくれるこいつは、中学からの猥談友達。大ちゃんテヨちゃんと呼び合う仲だ。
知御 綴代。小柄で線が細く、とても男子高校生には見えないかわいい見た目だ。現にクラスでも美貫さんと並んでクラスのアイドルポジションを獲得している。
「オナ禁じゃないよ」
「じゃどしたん?まさか……ボクで……?」
「誰がダチでヌくか!スカート履いて出直してこい!!」
「大ちゃんは男の娘でもヌけるもんね~??今度、ボクの姉さんの制服着てあげよっか?」
「「「是非お願いします!!」」」
僕とクラスのほぼ全員が頭を下げた。
ふと、自分のカバンが目に入る。この中には忌まわしき性剣がある。
親友である彼に勇者を押し付けられるか?答えはNOだ。彼の素質もそうだけど、僕の心情的にもやりたくない。
そこまでかかわりのない人間から選出するべきだな。
戦うことも考慮して、運動神経が良い奴から候補を絞ろう。
いけ好かないが、サッカー部の下野毛はどうだろうか。
入学早々に「好物はJKの靴下、3日洗ってない物がいい」と豪語し2週間の停学を食らった猛者だ。きっと勇者の資質があるに違いない!
授業の合間に、意を決して話しかけてみる。
「下野毛くん、ちょっといい?」
「んぉ?んだよ馬並」
「下野毛くんはどんなオナニーしてるの?」
「は?」
困惑の表情。当然だろう。僕だっていきなりそんなことを聞かれたら戸惑う。
しかし、聞かねばならない理由がある!引けないんだ!
「急になんだよ……?ドン引きだわ……」
「なに引いてんだ靴下野郎!!言えよ!どんなオナニーしてんだよオイ!なぁ!?」
こいつの発言にカチンときてしまい、口調が激しくなる。
おかしな出来事に巻き込まれて、僕も少しおかしくなっていたんだと思う。
あとからテヨちゃんに聞いたら、僕の目がバキバキにキマっていて恐怖とわずかな興奮を感じたと言っていた。
授業が始まってもブチギレテンションでまくしたてたら、彼は消沈した様子で「ぬ、盗んだ靴下でシコった」と白状した。数名の女子が靴下が紛失した心当たりがあるようで声を上げ、下野毛君は2回目の停学となった。
停学中の彼には性剣を渡せない。別の候補を探さなければ……
次から1話ずつ更新できたらいいなぁ




