scene1……デビュー!
下ネタしかないです。
それでも良ければ……
放課後、西日の射す空き教室。
目の前にいる男が発した信じがたい言葉。理解しがたい、理解したくない……
間違いであってほしい、冗談だと言ってくれ。そんな風に考えていても、口からは戸惑いしかでない。
「あ、えっと……どういう事、ですか……?」
「信じられないのも無理はない。もう一度言おう、君は我が性研部に入り勇者となってもらう。拒否権はない」
目の前の男。ティアドロップサングラスをしていて表情が分かりにくい。
細身の高身長で、制服のブレザーを肩に羽織り、机に腰かけている。
この男はとある部活に所属していることで有名だ。
性研部。性癖研究部。この男が所属している部活。
噂でしか聞いたことがないけど、公式の部活じゃなくて同好会のようなものらしい。
どんな活動をしているのか、目の前の男以外、誰が何人所属しているのか定かじゃないけど僕の周りでは蔑称として名前が広まっている。
「時に馬並 大くん、君は【伝説】と呼ばれるオナニストを知っているかね?」
「は?急にナニ、え?オナニスト?」
「そう、レジェンドオナニスト。己の強すぎる性癖を理解し、自己発散ができる者たちさ」
「はぁ……」
「三大欲求のうちの一つ、『性欲』これは広い意味で遣われているが、何を性的に感じるかは十人十色、千差万別。そう、性癖は人の数だけ無限にある。その中でも異端、ごく少数が好む嗜好。人によっては異常性癖なんて呼ぶ人もいるかもしれない。そんな性癖を持った人間はどうするんだろうね?もちろん欲に負け、性犯罪者に落ちぶれたものも多数いる。しかし、己の性癖を理解し、自己流の自慰で発散しある程度コントロールしながら生活できている者も存在している。誰にも理解されずに、ただ一人でその術を見つけ出した者たちだ。尊敬に値すると思わないかい?皆迄いう必要はない。君にはわかるはずだ。今はまだでも、すぐに判る」
「えっと、つまり異常性癖者の相手をする勇者になれってことですか?」
「ざっくりとした理解だね、素晴らしい。さらに詳しくするなら『異常性癖を御しきれなかった者』の相手かな。さぁそろそろ時間だね」
彼が口を閉じて、時計を見上げる。16時42分。
どこからか男の絶叫が人気のない校舎に木霊した。
突然のことで思わず身が竦む。
彼が何も言わずに席を立ち、ついてこいと親指を立てる。
足早に歩く彼の背に、物語の始まりを感じた。
下校のチャイムはまだ鳴らない。




