ツンデレちゃん?
学校帰り、ちょうど目の前を莉菜が歩いていたので、とある提案をしてみた。
「莉菜、オレが毎日ボディガードしてやろうか?」
って。
そしたらすぐさま、
「いい」
って断られた。
そりゃ、そうなるか。
「なら、オレと付き合うか。」
「ムリ」
…
「オレ、モテるんだかんな?」
「透は、高級感あるケーキっぽいけど、実際には激まずケーキだから遠慮する」
ってお断りされた。
あー…そういうことか。
激まずケーキかー。
てか、こんなモテ男を拒否する人間がいることを、莉菜のおかげで初めて知った。
「じゃあ、どうすればオレと付き合う?」
「え、どうなっても付き合わないよ」
⁉︎
なんだって⁉︎
そんなことある?
オレだよ?
「莉菜…頭大丈夫かよ?」
「は?なにが?」
「オレだよ?モテるこのオレが付き合ってあげるって言ってんだよ?」
「それよりバイト遅れるよ。」
「バイトより、恋愛について詳しく教えてあげるって」
「大丈夫です」
カランカランと、喫茶店に入っていく莉菜。
…
このカランカランが、チャペルの音ならよかったのに。
新郎新婦の入場です‼︎みたいな。
しかし実際には、ただの喫茶店に出勤してきた、バイト二人組…
お店には、新聞を広げてくつろぐおじさん一匹のみ。
一匹だけかよ。
てか、オレの親父やん…
暇かよ‼︎って、店の経営を気にしていると、本日貸し切りの紙を発見した。
あー、たしか自治会でどうのこうのって先週あたりに、聞いたわ。
耳がすっかり忘れてたんだな。
しっかりしろ、耳たち。
もはや耳のせい。
莉菜は、テキパキとエプロンをつけて店の準備を始めだした。
莉菜って…
莉菜ってさ、めっちゃスタイルいいんよね。
髪も長くて艶々でさ、美人で知的。
なのに、なぜ彼氏がいないの?
…
え?
もしかして、ずっとオレに片想いしてたんじゃね?
なんだよ、莉菜〜。
けなげかよ?
思わずふふんとにやけてしまうじゃないかぁ。
テーブルを丁寧に拭いている莉菜にオレは、詰め寄った。
「莉菜って、けなげなんだな♡」
ってさ。
莉菜は、は?みたいな顔をしていた。
照れ屋さんなんかね?
そんでもって、不器用さんなんだね♡
「意味わからないし、それよりテーブル拭きなさいよね」
ツンデレ莉菜さんに注意されましたぁ。
「は〜い」
とふにゃけた返事を返し、テーブルを拭いた。
莉菜ってば、学校もバイトもオレと一緒なんて、どんだけオレと一緒にいたいんよ♡
莉菜は、今までオレが次から次に彼女つくってたから、きっとさみしかっただろうに。
むしろ、ヤキモチをやけばやくほどもえるのか?
嫉妬に狂いながらも、オレのそばにずっと居続けたんか?
どんだけだよ!
まぁ、やっとオレのおかげで両思いになれたんだから、莉菜も安心だろう。
テーブルを拭きながら、隣にいる莉菜に
「今まで迷惑かけたな」
って微笑んだんだ。
莉菜は、
「え?べつに」
ってこたえて、テーブルを拭き続けた。
ツンデレちゃんなんだな!
いいだろう♡
オレは、幼馴染なんだから莉菜のことは、なんでも知っているのさ!
バイトをしながらも、莉菜をチラチラみては、微笑んだ。
あぁ、オレは今までなんでこんな近くに莉菜がいたというのに、ふらふらといろんな彼女をつくってしまっていたのだろう…。
バイト終わりに、莉菜からひとこと言われた。
「今日の透、なんか…とっても…」
「ん?かっこいいだろ?」
「いや、気持ち悪い」
⁉︎
あぁ、莉菜はツンデレなんだっけ。
「はいはい、ツンデレちゃん。莉菜の気持ちは、わかってるから大丈夫だよ♡家まで送るよ」
…
「いや、目の前だし。じゃ」
ツンデレな莉菜は、さっさと帰ってしまった。
まったくかわい子ちゃんなんだから。
そんな次の日、廊下でツンデレ莉菜が…学年で頭が良いって有名な、石野くんと仲良さげに話していた。
ん?
莉菜が男子と仲良さげなんて珍しいな。
まぁ、どうせ石野くんだし心配なかろう。
と、余裕ぶっていたら…全然余裕がなくなってきたんだが?
続く。




