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第98話 ゴーレム、連携する

ご来店いただき誠にありがとうございます。

 一先ず攻撃をする事にしたはいいが普通に殴ればさすがにヨダでも自身がダメージを受けるかもしれない。遠当てか逆位相でも叩き込むかと考えていると柘榴からグローブが投げられた。


「ヨダ、これを」


「助かる!」


 柘榴が投げ渡したグローブを装着しながら一足でンガグイの懐に飛び込むと胴体に連撃を叩きこむ。


「ンギィッ!」


 インファイトを仕掛けてくるヨダに嫌そうに距離を取ろうとして、触手を全身から波賀の皮を突き破って襲わせるが軽く手で払われた挙句空中に蹴り上げられる。


「ナ、ナンダトッ!?」


 自身の攻防一体の触手を簡単に払われて驚愕するンガグイに、柘榴がとても人間では持てないであろうカノン砲を両手で構えてンガグイを狙い撃つ。


「ラグナロクツヴァイ、ファイエル!ぶち抜きなさい!」


「きゃあーーーーーーーっ♡」


「儂っちの家がぁーーーーーーーーっ」


 放電をするように魔力を纏う砲弾を胴体に受けてンガグイを天井をぶち破って吹き飛ばされた。高火力火器に魅せられてトリガーハッピーエルフの目がハートになって魅せられている。そして、ダンジョンを壊されてウェイヤスは涙目だ。


「お姉ちゃん、多分ダメージはないぞ」


「ふむ。貴方に殴られても呼気が漏れただけでしたね。【衝撃無効】でしょうか?」


「吸収の方かもしれんな。後、どちらにしろあの振動で己が身にダメージがいかないのはそのせいだろう」


「ならば色々試してみましょうか。貴方も主にいいところを見せたいでしょう?」


「ああ、そうだな。頼むぜ」


 ンガグイが戻ってくるのを待ち構えながら柘榴は、剣、槍、ドリル、ハンマー、フラスコ、チェーンソー等を取り出して床に撒く。


「これからいってみるか」


 オーソドックスに剣と手に取りヨダが呟いているところで、波賀の皮がボロボロになり本来の姿ーーーミミズが絡み合うような姿になったンガグイが戻ってくる。


「「「うえ~~」」」


「や、やっぱり今回は柘榴達に任せたいな~なんて」


 本来の姿を現したンガグイは成人男性を越える大きさになっており、蠕虫がうぞうぞと蠢いている様に日本人達はドン引きになっているがハリス達は割と平気そうだ。見た目で日和そうになっている木葉には柘榴がにっこりとスマイルを向ける。


「うう……何でハリスさん達は平気そうなんですか~」


「人間の体から生えてたのはさすがに気持ち悪いが、大陸はワーム系が出るダンジョンもそこそこあるからな。特に砂漠のところは」


「ただの慣れだったよ~。大陸のダンジョンは行きたくないよ~」


 マスに理由を聞いた木葉が泣きごとを漏らす。


「ギギギ。キサマラノコウゲキナドキカンガ、ナゼオノレラノ【崩壊撃】を受けられる!?」


「別に説明の義理はありませんが……【減衰のグローブ】はその名の通りエネルギーを減衰させるのです。ただ、両方向ですのでこちらの攻撃も減衰されますが。ですので、マネをしてはいけませんよ」


「出来ないよっ!」


 ちらっと木葉を見て言う柘榴に木葉は返す。


(躱せなかったら受け流しとかやりそうだった。危なかったよー)


 反射的に柘榴にはああ返したが、正直あまり動きは目で追えていないながらもヨダが触手を弾いていたようだったので自身も受け流しとかやりそうと思って内心焦る。


 そんな木葉を余所に戦いは激しさを増す。大多数の触手を向けると先端が口のように開いて撒かれた武器を試すヨダに殺到する。


 しかし、柘榴が射撃で当たりそうな触手を狙い撃って逸らす。粗方の武器を試すとンガグイを蹴り飛ばして距離を取る。


「粗方試したが打撃以外の物理は効果は薄いながらもは効きそうだな。だが、あれは再生を持ってるな」


 先ほど剣で斬りとばした触手が再生しているのを指さして言う。


「ふっ。温いことですね」


「キサマッ!オノレラヲチョウロウスルカッ!」


 嘲られた怒りに呼応して物陰に潜ませていた己をあらゆる方向から柘榴に飛び掛からせる。


「柘榴っ!!」


 木葉の叫びに応えるように口元に笑みを浮かべると、木目調の黒い長剣を取り出した。


「レーヴァテイン、起動(アクティベイト)


 起動した神器ーーーレーヴァテインが炎を噴き上げて迫るンガグイ達を一瞬で塵にする。


「ナ、ナンダトッ!?」


「だから温いといったのです。物理に比べると魔法耐性がやや脆弱ですね。私の魔術でもダメージを与えられそうなくらいですので神器には抗しきれないでしょう」


「神器……ダトッ?」


 元々ランクの低いダンジョンにいるような者だと思って気にしていなかったが、今頃になって目の前の存在が何者か気になった。


「キサマラハナニモノダ?」


「む?なんだかんだと聞か「柘榴真面目にやって」……神造ゴーレムの柘榴です」


「同じくヨダだ」


 猫役をやらされると察した木葉がセリフを速攻で潰すと、柘榴はスンとした顔になってシンプルに名乗る。苦笑しながらヨダも名乗ると、それだけでンガグイには柘榴達が何か理解できた。


「キサマラオセッカイソウゾウシンノ!?」


「近所に余ったお惣菜配る感覚でゴーレム配っているので間違ってはいないがなぁ」


 わざわざこの世界にも柘榴達を置いていくくらいなのでお節介には違いないが、近所のおばちゃんのような扱いの創造主の言われようにヨダは否定できないながらも腑に落ちない表情になった。


「ヒッヒイィィィィィッ」


「逃げたらコレ(レーヴァテイン)で焼きます」


 全個体を分離して逃げようとしたところで、今しがたその威力を見せつけられた剣をペタペタ掌で叩きながら平坦な声で宣告されてンガグイはピタリと動きを止めた。


「うわ~。どっちが悪か分かんないっすね」


「それは簡単よ。どっちも悪なの」


「やっぱりお姉さま素敵………」


 どう見ても悪側の脅し文句を平然と告げる柘榴に都斗が面白そうに呟くと依和那からあっさり断定された回答が返ってくる。ほとりはM魂に火がついて目がハートになっている。


「さて、行きますよニ〇ース!」


「やっぱりそのつもりだったぁ!?」


 木葉がツッコんでいる間に2体は既に動き出していて、ヨダがまるで分身をしているようなスピードで四方八方から滅多打ちにして、ダメージは無いながらもンガグイが周囲に広がることを許さない。


「力技で行きましたねっ!そのまま押さえてください、レージングル」


 ンガグイはヨダの滅多打ちで圧縮されたところに鎖の神器で圧縮されたまま拘束される。


「マスター!」


「う、うん」


 ここまで自分の為にお膳立てしてくれたんだから迷ってなんかいられない。ただちょっと過保護だなーとかあたしずるしてるなーと思わないでもないが気のせいだということにする。柘榴が普段言っている通りチャンスは最大限利用する。


(力を貸して………じゃない、貴方の力はあたしが信じる道の為に使うの!)


 選んだ超越者にアクセスをすると、ソレからの思念が木葉の中に染みこむように入り込んできた。


ー寒い、寒い、寒い。燃える、焼ける、灰になる。楽しい。楽しい。温かい。皆燃やすと温かい。


(前は分からなかったけど………これが、超越者の思念。柘榴の言っていたことが分かったよ。怖い。邪とかじゃない。分かりあうことなんて出来ない。これは存在そのものが相容れないんだ。意思を持って捻じ伏せる!)


 木葉はンガグイの前に立ち精神の中で開放する超越者の思念と戦う。柘榴との繋がりに精神を集中すると揺らめく白い炎が象る狼が浮かび上がる。


(捻じ伏せる………こんなのどうやって捻じ伏せるのぉ~)


 残滓とはいえ自身より圧倒的な存在を前に怯んでしまったことを狼は感じ取ったのか、心なしか愉悦を含んだ表情で迫り大口を開けた。


(あ………)

方向が違えば大人なファンタジーのさ……敵役です。

本作は健全な小説ですのでバイブレーション機能は健全に使われます。

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