第83話 ゴーレム、切り札を託す
ご来店いただき誠にありがとうございます。
「それでは切り札を託す前に久しぶりに貴女達の能力を診ておきましょうか」
柘榴が玩具(2万円)をしまって鑑定眼鏡を取り出す。
「そうだね!新しい課題の為にも知りたい!」
「わたしも新しいスキルとかないか気になるわ」
咲乃木葉
16歳
クラス:斥候
レベル:88
魔力:179
力:D
知力:D
精神:B
速さ:C
器用さ:C
スキル:生存本能 生活魔法 混乱耐性 勇気 短剣技 投擲 罠解除(下) へっぽこ戦術
従魔:柘榴 濡鴉
姫宮依和那
16歳
クラス:疾剣士
レベル:91
魔力:183
力:C
知力:D
精神:D
速さ:B
器用さ:C
スキル:速剣技 回避術 風魔法(下) 魔法剣(風) 見切(下) 疾駆 根性 速度強化(下)
セレスタ=ストアラス
184歳
クラス:精霊射手
レベル:96
魔力:305
力:C
知力:C
精神:B
速さ:C
器用さ:B
スキル:射撃 精霊魔法 隠密 必中 俯瞰 早撃ち
書ノ上都斗
22歳
クラス:魔法使い
レベル:95
魔力:628
力:D
知力:B
精神:C
速さ:E
器用さ:C
スキル:火魔法(下) 水魔法(下) 風魔法(下) 土魔法(下) 聖刻眼 魔力上昇(下) 膀胱強化
「さすがにあまりスキルは増えていませんが……が?なんですかへっぽこ戦術というのは?それに都斗もここまで限定的な強化範囲は初めて見ましたよ」
鑑定結果に成長が見て取れたので感嘆していたが、読み進むと訝し気な表情となった。
「あたしだって知りたいよっ!スキルって誰が決めてるのぉ!?」
「超よけいなお世話っすよ!レベルが上がってた喜びが吹っ飛んだっすよ!」
おかしなスキルが生えていた2人が嘆いているのをよそに順当に成長していた2人は素直に喜べていた。
「根性って鮫羅木さんのと同じやつね。効果は限定的だけどあの子に付き合うなら役に立つわね」
「スキルが増えナかったのは残念ですガ、もう少しで上級職に成れそウですわね」
「うううぅ。羨ましいよう………」
「ほ、ほら、木葉も精神の素質が上がってるじゃない。ね?」
「ううう、でも確かに最近は心が強くなった気がするかもっ!」
「多分ストレス耐性が上がっただけのような気がするっす」
「うわぁああああああん」
「都斗!」
「ごめんっす!」
悲喜交々な光景を健がドン引きした目で見ており、それをさらに俯瞰して観察していた柘榴の袖がちょいちょいと引っ張られたので、そちらを見ると濡鴉が自分を指さしていた。
「濡鴉も自分の能力を知りたいのですか?」
「wood」
濡鴉の伝えたいことを推察して尋ねると肯定するようにコクコクと頷くのでそれではと鑑定をしてみる。
濡鴉
主:咲乃木葉
種族:ククノチゴーレム
レベル:88
魔力:30
力:A
知力:D
精神:D
速さ:C
器用さ:C
スキル:硬質化 怪力 巨大化 根張 防御強化(中)
「これは完全に前衛タンクですね。魔力が少ないのは固有魔力に回されているからでしょうね。根張はノックバック無効。………巨大化は伸縮自在ですかね?」
「wood」
問われた濡鴉がスキルを発動して2m程の大きさになって止まると他のメンバーがぽかんとして見上げていた。
「それが最大ですか?」
それ以上は大きくなれないかと聞かれた濡鴉が首を横に振るとパーの形で手をだす。
「5m程ということですか………というか、5倍ですか?」
「wood」
そうだというように頷いて元の大きさに戻ると、円形を表わすような手の動きをしてピースサインを示す。
「ふむ。確かに盾は大きくなりませんので、取り回しを考えると2倍くらいまでしか大きくなれませんね。いいでしょう、盾の問題は考えておきます」
「wood」
頼むとでもいうように頷いて部屋の片隅へ移動して置物の役目に戻った。
とりあえず若干へこんでいる主もいるが現在の能力も伝えたことであるし、本題に入るためにテーブルに飛び乗るとセレスタに行儀が悪いとそっと下ろされた。
仕方ないのでその場で注目を集めて胸を張る。
「これは吉祥院舞姫に勝つためというよりも、マスター自身に必要になると思っているため元々メインクエスト完了後に教えようと思っていたことです。それが少し早くなっただけといえばそれまでなのですが、できれば上級職にクラスチェンジした後にしたかったですね」
「それはなんでなの?」
「精神が重要になるからです。それは後遺症が残るようなものではありませんが、マスターが後から部屋の隅で膝を抱えてキノコを生やすかもしれないので」
「あ、あたしやっぱり棄権してもいいかな~なんて………」
「ダメです♡」
柘榴の不安をあおる説明を聞いて腰が引けた木葉が吉祥院との対戦を棄権したいと希望するがにっこりと却下されて項垂れた。
「それって木葉に危険はないのかしら?」
「マスターが自らの信念を確固として持っていれば問題ありませんが、すぐにぶれるような芯のないものであれば変化があるかもしれませんね」
「えらく抽象的っすね」
「他者の想念と直接マスターの精神に干渉することになるので、精神的支柱が必要なのですよ」
腰の引けていた木葉であるが信念はある。父親のような人を助けられる人になるという想いは簡単に変わるものではないと信じている。その想いへの信頼が揺らげば自身の根幹が揺らぐ。故にソレから逃げるという選択肢はなくなった。
「柘榴、あたしやるよ!」
「ええ、マスターならいずれ使いこなせると信じています」
「うん。それであたしは何をすればいいの?」
「私の主がのみが使えるこの能力を使うためには………」
「う、うん。使うためには?」
「私との絆を深める為、ギャルゲーのように!乙女ゲームのように!至高の私を攻略してください」
「へ?」
「「「「へ?」」」」
覚悟を決めて柘榴の言葉を待っていたところで、思いもよらぬ内容を聞いて木葉の目が点になった。そして固唾を呑んで聞いていた面々も目が点になった。
「ふふん。あまりの困難な試練に言葉も出ないようですね。確かにこの至高の私は攻略難易度も至高!それでも困難を越えて見せねば私は使いこなせないということなのです!」
胸を張って高笑いする柘榴はこの後5分で攻略された。
少し短めですがキリがいいので今話はここまでです。




