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第62話 ゴーレム、深層に入る

ご来店いただき誠にありがとうございます。


10,000PVを越えました。

誠にありがとうございます。

 作戦を開始すると田中と薬師寺は先と同じように、さざえに向かって走り出す。


 知恵がつけば成功体験を繰り返すのは人も魔物も同じなのか、さざえも先ほどと同様に身を震わせて酸の雨を噴き出したところで小林が待ってましたとばかりに嗤う。


「結界ー障壁ー監獄!」


 小林が魔術を発動するとさざえの殻体を囲うように結界が出現して噴き出した酸を内側に封じ込めた。これは柘榴が鵺に対して使用した内側に向けた結界で、それを覚えていた小林が自力でたどり着いて、ぶっつけ本番で成功させたのである。


 しかし、さすがに10mもある殻体を覆う大きさで出現させた結界は軟体を傷つけるには強度が足りず、その部分から崩壊していくが、結界で封じ込められた酸はさざえ自身の殻を溶かしていた。


「今だ!強化ー脚力、魔剣技ー雷鳴剣」


「強化ー脚力、薙刀技ー乱れ舞」


 殻体を結界で覆った瞬間に魔術で脚力を強化した2人がスキルを使い軟体を縦横無尽に切り刻んでいく。そこに2人に比べると足が遅いため、遅れてきた金田が盾を振り回して投げ放つ。


「ぬぅおぁああああああっ!」


 雄たけびを上げた金田が全力で投げた盾がさざえの眼に打ち込まれて、ぐちりという粘着質な音をたてて眼が潰される。眼を潰されたさざえは全身をくねらせて怒りの気配を発しすると、浪人達を潰そうと殻を地面に何度も振り下ろす。


 自身の酸を浴びて脆くなった殻体が地を打つごとにひび割れて砕けていく。


 大ぶりな攻撃などを躱せない浪人達ではなく、さざえの軟体は傷が増え始めて自ら打ち付けた殻体に至っては殻の中が見えるほどボロボロになっていた。


 そこからはもはや一方的な展開だった。軟体の根元部を斬り刻まれ、打たれたダメージによって身体を支えることが出来なくなったさざえは倒れこんで軟体を藻掻かせることしかできなくなった。


 胴体が手の届く場所まで来て、殻も脆くなって破損していれば、そこから浪人達の総攻撃によってさざえはついに動かなくなって消えていった。


「よしっ!我々の勝利だ!半兵衛君のお手柄だね」


「へっへっへぇ。ぶっつけ本番だったけどうまくいってよかったぜ。俺ってば本番に強いのかねぇ」


「本番に強ければとっくに浪人卒業をしているのではないですか?」


「ふぐっ。今のは致命傷だぜ……がくっ」


「なにはともあれ、下層の攻略おめでとうございます」


「あんがとね~。うちらも結構イケてるでしょ?」


「はい。驚きましたよ。金田は喋れたのですね」


「……そっち?彼が喋らなかったのは貴女のせいでしょう」


 浪人達がそれぞれ喜びを分かち合っていると、戦闘の終了を確認した柘榴が合流して下層の初攻略を祝福する。茶々を入れるのは柘榴の性分なので、それに付き合ってくれる浪人もなかなか付き合いがいい。


 浪人達は一通り喜びを分かち合った後は疲れた体に鞭を打って、さざえが消えた場所に現れた宝箱を回収に行く。上層と中層でも一応宝箱はあったが魚人の槍やポーションだったのでアイテムバッグに一応入れてはあるが、ポーションはともかく槍はクランの倉庫行きか売却になる予定である。


 探索者の醍醐味である宝箱を皆で覗き込みながら、ボス部屋で出現する宝箱は罠がないので田中があっさりと開ける。


 宝箱の中には真珠のような色の刀身をもつサーベルが入っていた。田中はサーベルを手に取りしばし観察をすると、柘榴に向かって差し出した。


「すまないが、鑑定を頼みたい。小生の勘だとかなりのものだと思うのだが」


「分かりました。………ええと、これは………と」


ボルテックスブレイド

効果:水属性強化(小) 連撃威力強化 水魔法(中) 渦生成


「ふむ。この連撃威力強化と渦生成とは?」


 いつものごとく鑑定結果を書いて渡すと内容が分からないものを質問された。


「連撃威力強化は連撃を重ねるごとに威力が上がる効果で最大10スタックです。渦生成はその名の通り渦を出す効果です」


 田中からボルテックスブレイドを受け取ると、その場の空中や地面に直径1mほどの渦を作って見せた。


「なるほど。ありがとう。やはりこれは使えそうだ。渦生成も色々面白い使い方が出来るな。皆、これを小生が使ってもいいかな?」


「ちょうどサーベルですし、田中さんが使うのがよろしいと思います」


 薬師寺が田中に賛成をして、他の3人も頷いて賛成の意思を示す。


「皆、ありがとう。それでは、休憩を取ったらいよいよ未踏の地の深層となる。その前に作戦方針を決めておこう」


「さすがに深層となると不安だわ」


 田中の言葉にいよいよ人類がとある1例を除いて未踏の地に足を踏み入れることに尼子が不安を漏らす。S級でも…否、人類の最前線に立つS級だからこそ未知を恐れ警戒する。


「深層では私が先頭に立ちます。貴方達はサポートに回りなさい。せっかくこの至高の私と共に深層に潜る機会を得たのですから最大限に有効活用するとよいのです」


 その言葉に薬師寺と小林と金田が信じられないことを聞いたようにまじまじと柘榴を見る。


「なんですか?何か言いたいことがあるのでしたら拳で聞きますが」


「拳で聞くってなんだよ!?いや、思いの外優しい言葉だったんで、あんたにも優しさがある………うぎゃぁあああっ!」


 口を滑らせて余計なことを言った小林が柘榴に目潰しを喰らって悶絶するのを尼子が呆れたように見る。


「馬鹿ねぇ。柘榴さんが優しさなんか見せるはずないじゃない。ただ、面倒くさくなっt………あひぃいいいいいっ!」


 得意げに喋っているところにハバネロを放り込まれた尼子も悶絶して転げまわる。


 そんなじゃれあいをスタイリッシュに眺めながら田中は考える。かつて、配信に映った深層はボス部屋のみであったので、人類にとって深層という領域の情報は未だ0に等しい。


 そんな深層に己たちが通用するのかは未知数だが、この先に関しては配信のようにボス部屋だけなのか更に先があるのかは不明だ。


 己達にも矜持はあるが、それはここで示した。ならば、ここから先は師を仰ぐがごとく先達たる柘榴に教えを受けるのは道になるであろう。柘榴の言う通り、これはチャンスだ。ここで学び己の糧とし、後進に伝えるのもS級としての役割であると結論付けた。


「柘榴君。貴女の案に乗らせてもらおう」


「ええ。至高の私に任せておけばいいのです……早く帰りたいので(ボソッ)」


 特にデメリットがあるわけではないので、柘榴の余計な一言は聞き流して全員が休憩に入る。その間に今の戦闘で傷んだ装備のメンテナンスをする柘榴と、なんか応援をしているこのはちゃんを見ながら、田中は生産職を連れてくることの恩恵を感じて、そのリスクを天秤にかけてスタイリッシュに思考に耽っていた。


 休憩を終えてメンテナンスをしてくれた柘榴に礼を言いながら装備を身に纏って、いよいよ深層へ足を踏み入れた。


 下層との境の扉を抜けたそこは高台になっており、深層領域のすべてが見渡すことが出来る。


 そこは中央に神殿のような建物が存在しており、そこから1本の道が伸びてやや小ぶりの神殿が存在している。小ぶりな神殿は全部で8か所あるようであった。


「これって……」


「このダンジョンの深層はボスラッシュステージのようですね。あの小神殿に中ボスとでもいうものがいるのでしょう。海ステージでこの形……天秤な武器でも出しましょうか?」


「ノーセンキューよっ!」


 ヌンチャクとかトンファーとかを取り出そうとした柘榴を薬師寺が取り押さえる。


「では、続く未知の通りにまずは中央の神殿に行ってみましょうか」


 柘榴がそう言って歩き出すと特に否はない浪人達も後に続く。しばらく、歩くと特に魔物が出ることもなく中央の神殿についた。


 神殿の入口には大きな扉があり、その扉は固く閉じていた。一行は扉を開くギミックが探し2人一組であまり離れない様に探すことにする。


「おーいっ!こっちに来てくれ」


 散会して直に小林が声を上げて皆を呼ぶ。皆が集まると設置されている石板を指差して、くぼみを指し示す。


「このくぼみ。全部で8つあるんだがさっき見た小さな神殿も8つだったよな。そこに鍵みてーなものがあるんじゃないか?」


「そうですね……。ええ、それではこれに合うものを探しに小神殿を回りましょう。おそらくそこには中ボスのような存在がいるはずですが覚悟は良いですか?」


 最後の確認とばかりに浪人達に覚悟を問う柘榴に、全員が覚悟を持って返事を返した。



本当は麻痺の眼とか身を引っ込めてローリングアタックとか持ってたさざえさんは全体攻撃で雑に決着をつけようとして割とあっさりやられてしったようです。

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