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第59話 ゴーレムの主、フラグを回収してしまう

ご来店いただき誠にありがとうございます。

 時間は浪人達がモササウルスと遭遇する前に遡る。


 木葉達は上層防衛の要員として探索していた。中層はB級以上が担当しており、下層との境はA級が交代で見張りをしている。今、木葉達がいるのは片側に川が流れた洞窟のようなエリアだった。


「はっ!」


 依和那の気合の声とともにサ()ギンの上位種であるサ()ギンファイターの首が飛んで戦闘が終わり仲間たちが集まってきた。


「ふう。やっぱり水辺ステージは少し勝手が違うわね。昨日も思ったけど湿った岩場だと走りづらいわ」


「そうっすね。わっちもこの強化ブーツを貰ってなければ、とっくにへばってたっす」


 後衛とはいえ都斗のあまりの鈍足に懸念をいだいた柘榴から移動を補助するブーツを受け取っており、木葉や依和那ほどとは言わずともセレスタと同程度に動けるようになっていた。


 しかし、今は無邪気に喜んでいるが、密かに柘榴と鮫羅木の間で都斗のランニング特訓が決定されている。後日、竹刀を持ったざくろちゃんにしごかれながら都内を白目剥きながら歩いているような速度で走る都斗の姿を見かけられることになる。


「あたしも岩陰よりも川の中に神経を向けないといけないから勝手が違うね。でも、セレスタが一緒に見てくれてるから助かってるよ。ありがとね」


『どういたしまして。川の中は底まで見えませんから、なかなかに厄介なものですわね』


「そうね。それでも上層はまだ陸地が広いからいいわ。下層は殆ど陸地がないらしいわよ。しかも、フィールド型。」


「うへ~~っ。それは行きたくないっすね。今回は上層だけでよかったっす」


 敵が水棲だと索敵が難しく狙撃手らしく視力のいいセレスタと2重で索敵をしているおかげで何とか奇襲を回避できていた。濡鴉も柘榴が見た目の改造をした際に関節がスムーズに動くようにされており、素早くカバーに回れるようになっていた。関節の強度は若干落ちたが、アダマンタイトの装甲で全体的に防御力は上がっていた。


「濡鴉のその盾もすごいっすね。盾に当たった魔物が凍ってたっすよ」


「cool」


「ウッド以外に喋れたっすか!?」


 濡鴉が装備している盾は、別れる前に柘榴から渡された盾でスヴァリンという名を持つ盾だった。それを渡された上で頭に手を置かれて、主たちを必ず守るようにとやさしく言われた時は心がないはずの濡鴉が恐怖を覚えたほどだ。


「さて…と、討伐の続きをしましょうか」


「うん。そうだね」


 今回のダンジョンブレイクは魔物が組織立って攻めてきていないので、防衛側は地域ごとに数パーティを割り当てて魔物を間引いていくようにしている。木葉達も平時とは比べ物にならない数を討伐しているが、幸い途切れずにひっきりなしに襲撃があるというわけではないので、まだ疲労はそこまで蓄積していない。


 一息ついて討伐を再開しようとしたところで、遠くから叫び声が聞こえた気がした。


「なんだろ?」


「俺達がちょっと見てくる。すぐ戻ってくるからこっちは任せていいか?」


「分かりました。お願いします」


 木葉が聞こえてきた声に疑問を持つと、近くで戦っていたパーティにも聞こえていたようで偵察を買って出た。


 偵察に行ったパーティが見てくる間、木葉達も討伐を襲ってくる魔物だけに留めて声の方向に神経を向けて警戒していた。


『何か大勢の足音が聞こえます』


 長い耳をぴくぴくさせてセレスタが言うや否や振動が響いてきて、時間が経つごとに振動が大きくなってくる。


「なに?」


 木葉が訝しみながら目を凝らすと煙のようなものが見えて、それはだんだんと大きく、否、近づいてきていた。煙のようなものは砂煙であり、周りの水辺では何かが刎ねるように水しぶきが上がっていた。


「おまえらーーーっ!逃げろーーーっ!」


 砂煙と水しぶきをあげているのは大量の魔物で、先ほど偵察に行ったパーティと他にも何人かが全力で走りながら叫んでいた。


「皆!撤退するよっ!」


「ええっ」『分かりましたわ』「wood」「了解っす」


 木葉が撤退を指示して、皆で入口の方に全力で走りだす。


 そして、斥候ゆえに視力のいい木葉と俯瞰のスキルを持つセレスタは見た。砂煙の奥に居たひときわ大きいソレを見た。


 頭部から背中にかけて濃い藍色をして腹側は白銀色、縞模様を持ちなぜか野球帽を逆向きに被っているそいつはカツオンと呼ばれるサバギンの進化種であった。その能力の一つに下位サハギン種の統率があるため川崎ダンジョンでは要注意の魔物として記録されている。なぜサバがカツオに進化するのかはダンジョンの理不尽であるとしか言いようがない。そして、イ・ソノ・カッツォとは言ってはいけない。


 3人と1体の後ろを走りながら木葉はポーチからクラフトソーサリーを5枚取り出すと、足止め兼攻撃のため逃げる探索者達の頭上をカーブするように投げた。


「起動」


 起動したクラフトソーサリーが巨大な炎弾となってサバギン達目掛けて落ちんとしたところで、水辺の水が大きく跳ねて羽のようなヒレを持ったサハギン種ーーーアゴギンが炎弾に飛び込みその身を焼かれて地に落ちる。更に次々と濡れそぼったアゴギン達が飛び込んでいき、そのたびに小さくなる炎弾はついに地を走るサバギンに届く前に消滅した。


 完全に消滅するまで10体程のアゴギンを倒したが、クラフトソーサリー5枚分の対価としては少なすぎる成果であった。


 更に同胞のアゴギンがやられたことに怒ったのか、迫力を増したサバギン達がクラフトソーサリーを投げる為に速度を落としていた木葉に迫る。


「ひにゃぁあああああああああっ!」


 百体を優に超える半魚人に追いかけられて、木葉は涙目で全力疾走する。幸いカツオンが統率できるのはサバギン種だけで遠距離攻撃が出来る個体が上層にはいないので、炎弾で足が止まった隙に追いかけられていた探索者たちも距離を取ることが出来ていた。


「嬢ちゃん、助かったぜ。ありがとよ」


「この先階段付近まで行けば道も狭くなる。そこで迎え撃つぞ!援軍も要請しておいてくれ」


「分かった!」


 探索者の男たちが大まかに作戦を決めて、ギルドに救援要請を出しながら走る。ダンジョン内は謎パワーで電話も出来るし通信も出来る。故に起動したばかりの柘榴が木葉の携帯で情報を取得が出来たし、配信文化が生まれていた。


 見事な逃げ足で空間が狭くなる場所まで来ると、先行していた依和那達が戦っている姿があった。


「くそっ!挟み撃ちだとっ」


「いいやっ!新手の方は統率が取れていない。別の集団だ」


「アイツらの別動隊よりはマシかもしれんが、最悪に近いことには変わりがないぞ。どうする?」


「あ、あのっ!」


 挟撃にあった状況になり苦虫をかみつぶす探索者たちに木葉が声を掛ける。


「どうした?嬢ちゃん」


「お兄さん達があたしの仲間達とスイッチして前にいる新手を倒してください。それまで、後ろの集団はあたし達が足止めをします」


「無茶だ!死ぬ気か!」


「いや、待て。さっきの炎を出した魔道具といい、前で戦っている女の子の耳が長いことといい、お嬢さんはあの咲乃木葉さんか?」


「え?あ、はい」


 更に数が膨れ上がり200を超える群れとなったカツオン達の足止めを申し出る木葉に、探索者の1人が諫めようとするが、別の1人が木葉達の持つ特徴に思い当たる。


「……分かった。君達に頼らせてもらうよ。先輩として格好が悪いがね」


「おいっ!」


「彼女はあのざっくの主さんだ。戦いはまだ拙いところもあったが、さっきのやつみたいな魔道具でも持っているんだろう。俺達は前のやつらがカツオンの群れに取り込まれる前に倒すんだ」


「くそっ!わかったよ!お嬢ちゃん、無理すんなとは言わないが、死ぬんじゃねえぞ」


「はいっ!みんなっ!スイッチしてっ!」


 木葉の呼びかけと同時に探索者の男たちがスピードを上げて新手に向かい、依和那達が木葉の方へ向かって走る。


 パーティが合流してカツオンの集団に向き直ると、カツオン達も先ほどの炎弾を警戒して距離を空けて鶴翼の陣を組んだ。


「これは、囲んでボコる気っすね」


「まずは抜けられない様に時間稼ぎだよ。皆、行くよっ!」


「ええっ!」『はい』「了解っす」


作者:水棲魔物を合成するのに疲れたので借りに来ました。マルカジリとか言ってくるし。

魔物屋:メガ〇ンでもやってたのかい

作者:違いますよー。この歯型見てくださいよ

魔物屋:(前はボコられてなかったっけ?)タイヘンダネー。それでどんな子がいいんだい?

作者:棒読みの見本!?とりあえず水っぽそうな子で

魔物屋:キャバクラ行けよ

作者:辛辣っ!

魔物屋:何食べる?って聞かれて、何でもいいみたいな返答は1番迷惑なんだよ

作者:あ、はい。すいません(なんか地雷踏んだ?)

魔物屋:はぁ~、仕方ない。カツオ、ワカメ、タラ、マス、Turbosazaeから選んで

作者:えっ、さざえだけなんで学名?それにそれって……

魔物屋:それ以上は言ってはいけない

作者:あ、はい。じゃあ、カツオで。

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