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第58話 ゴーレム、やべえモノを出す

ご来店いただき誠にありがとうございます。

 死闘の末に強敵をなんとか倒した浪人達であったが、その姿は正に満身創痍という状態であった。特に一身にモササウルスの攻撃を受け続けて金田は装備も身体もボロボロであったし、田中と薬師寺も無茶な魔術とスキルに覚えたてで制御の甘い魔闘術も重ねたため指一本動かすことも困難な状態だった。


 後衛の2人にしても、前衛ほどではないが自力で上級魔術にたどり着き、重複発動などという現在の自身のスペックを越えたことを行った為、内面の方のダメージが大きい。


 しかし、皆今だけは倒れながらも勝利の余韻に浸っていた。今襲われたらさすがに助けてくれるはず……助けてくれるよね?と、若干疑念を抱きながら。


と、そこへ高見の見物を決め込んでいた疑念の的の柘榴が拍手をしながら歩いてきた。


「いい戦いでしたねぇ。お見事でしたよ」


 本人は素直に褒めているつもりだし、糸目でもないのだが、どことなくうさん臭さを感じてしまうのは日頃の行いのせいだろう。


「はぁはぁはぁはぁ。そう言ってもらえると光栄だね」


「ちょっとは手伝ってくれてもいいじゃない」


 田中が苦笑して応える傍ら、尼子は口をとがらせてブーイングを入れる。


「おや?差し入れにマナポーションと中級ポーションを持ってきたのですがいらなかったですかね?」


「え、うそ!?いる!欲しいっ!さすが至高のゴーレムねっ!えーっと…なんかすごいわっ!」


 手に持った瓶をわざとらしく振って仕舞おうとする柘榴に、焦った声をあげて雑な持ち上げ方をする。しかし、最近は扱われ方が雑だったので、とりあえずでも褒められて気をよくした柘榴は全員にポーションを渡した。


 渡されたポーションを飲んだ浪人達は身体は回復したので、とりあえず身を起こして背の高い岩がある岩陰に移動して座り込む。


 体は回復したが前衛の3人は装備がボロボロになっていた。特に金田は盾が用を為さないほど破損してしまっていた。


 このままでは調査を続けるどころではないので、先について相談をしようとしたところでモササウルスのドロップを拾ってきた柘榴が傍らに立った。


 モササウルスのドロップは浪人達がこれまで見たことのない大きさの魔石と背のものと思われる巨大な革、それに一升瓶ほどの大きさの骨格標本であった。


「え?あれだけ苦労して骨格標本?博物館にでも寄贈しろってか?」


 小林が納得いかなそうに不満を漏らす。言葉にはしないが他のメンバーも残念そうにしている。


「ふふん。これはこう使うのですよ」


 浪人達の不満などは一切顧みることなく、骨格標本を海に漬けると「起動」と唱えた。すると、骨格標本は巨大化して戦った時と同じ全長20mまで大きくなった。


「マ・ジ・か!?」


 一連を見せられた小林は巨大化した骨格標本を呆然としながら見上げていた。


「アンデッドというよりは自我を持たない機物ーーー乗物の魔道具に近いようです。骨のように見えますが、内外がシールドで隔てられているので潜ることもできそうです。いらないのであれば「いるいるいる!ごめんなさい、いります!」」


 再び縮小してしまおうとした柘榴に小林が食い気味に主張する。


「元々貴方達の物ですから、どうぞ。さて、装備がずいぶんとボロボロになっているようですから、この革を使って何かを作ってあげましょう。どうせその状態では先に進むことなどできないでしょう?」


 骨格標本を返しながら柘榴が言うと、浪人達は顔を見合わせると代表して田中が口を開く。


「それならば、その革と金属素材を交換して金田君の装備をアップグレードしてくれないかい?」


「(゜Д゜;)」


「タンクである君の装備が殆ど全損している状態では先に進めないよ。多分柘榴さんはこの下層域ではほぼ手を貸してくれることはないだろう」


 田中の言葉に金田が驚きをあらわすが、理路整然と理由を説明されると納得して、改めて気合をいれる。


「うーーむ。それでしたら、この辺りならいかがでしょうか?それとも、鮫羅木のように私と戦って手に入れてみますか?」


「それはまたの機会にさせてもらうよ。さすがに探索中にやることではないしね。この素材がどのようなものか教えてくれるかな」


 苦笑しながら柘榴の挑発をスルーして、素材の説明を聞きながら吟味していく。


「まずガン〇ニウム合金は金田君が自爆させられそうだからなしだね」


「イデ〇ナイトも全滅しそうだからなしだわ」


「超合金〇って……なんでだよっ!?もしかして、ロボット好きなのか?」


 いろんな意味でやばい金属を並べる柘榴に小林がツッコみついでに聞くとこくんと頷く。


「はい、ですのでスキル名まで中途半端な金田にはがっかりです。そんな金田を名実ともにロボットに改造ーーー「すんなっ!」」


「っつーか、もうちょっと縁起のいいヤツにしてやれよ!っはぁはぁ」


「そもそも、それって本物なのかしら?」


 怒涛のツッコみを入れた小林が肩で息をし始めたところで、呆れた目で見ていた薬師寺から疑義が上がった。


「もちろんです。と言いたいところですが、性質を近づけただけです。最初のやつはモノポールとダークマター、アダマンタイトと鉄を1:3:1:5でいい感じに合成したものだったりします」


「………………正直アダマンタイトの方が気が休まるような名前を聞いた気がするわ」


 柘榴は頭を押さえてため息を吐く薬師寺を無視して、残念そうにやべぇSF金属をしまって黄金色の塊を取り出した。


「金?」


 見た目は金のようであるが、金は硬度が鉄の1/5しかないので柔らかすぎて武器や防具としては役にたたない。それをどうするのかという疑問が浪人達の頭をよぎる。


「オリハルコンです。あの革だとこれくらいですね」


 そう言ってピンポン球位の塊を置く。


「少っくな!」


 量だけ見ると比べ物にならない小ささに尼子が思わず不満を漏らす。


「オリハルコンは金属素材としては最上級クラスですからね。深層クラスに近いとはいえ下層の魔物の素材ではこれくらいです」


「なるほど。では、ミスリルならどうだろうか?」

 

「それならこれくらいです」


 柘榴は宅配の段ボール箱くらいの塊を取り出して置く。


「なるほど。今、金田君の装備はミスリルメッキのマナメタルだからね。盾と鎧の急所だけでもミスリルで頼むよ」


「(;ω;)ウルウル」


 田中達が自分を優先してくれたことに金田が感涙していると、柘榴が浪人達に手を差し出した。


「オーダーは分かりました。貴方達の装備も修繕くらいはしてあげますので出してください。しかし、ふむ。それだけの作業となるとさすがにすぐには出来ませんね……」


 少し考えると昨日も出した小屋キューブと4本の杭を出して浪人に渡す。


「小屋を展開して周囲に杭を立ててください。消耗品ですが、この結界杭は下層の魔物くらいなら防げます。もっとも、深層以降の魔物は防げませんが」


 ここで柘榴が装備を修理してくれるのであれば、それが最善と判断した浪人達はテキパキと小屋を展開して杭を仕掛けた。結界が起動するとすぐ中に入っていったので、最善とか関係なく休みたかっただけかもしれない。


 柘榴がやれやれとしながら中を覗くと浪人達が思い思いに転がって寝息を立てていたので、やはり休みたかっただけなのだろう。


 そのまま扉を閉じた柘榴は小屋と結界の間で預かった装備と素材を広げて作業を始めて、その様子を興味深そうにこのはちゃんが見守っていた。


ーーーーーーーーーーーーーーー


「ひにゃぁあああああああああっ!」


 浪人達が死んだように眠っている頃、主たる木葉達一行はというとーーーーー柘榴の心配通りイレギュラーに遭遇して追われていた。


モノポールとダークマターは仮説上の見つかったらやべぇ物質ですね。メシマズヒロインの生み出すやつではないです。

次回から2話は木葉回。

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