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第49話 ゴーレムの主、新たな仲間+1を測る

ご来店いただきまして誠にありがとうございます。

「まったくもう。柘榴はやりすぎなんだよ」


 柘榴が修練場の修理をしている間にロビーまで戻ってきた一行は、探索もしていないのに疲れる羽目になった木葉に苦笑しながら備えられている4人掛けのテーブルに座る。


 木葉たちのような話題のある美少女がいれば勧誘やナンパ等ありそうなものだが、近くから椅子を持ってきた鮫羅木も同じテーブルにいるので探索者たちは恐れて近寄ってこなかった。


「そういえばさっき鮫羅木さんのことをにいちゃんって呼んでいたけれど、ご兄弟なのかしら?」


 依和那が先ほどのことを振り返って、都斗に気になっていたことを聞く。


「ああ、鮫羅木さんはいとこなんすよ。昔はにいちゃんって呼んでたんで偶につい出ちゃうんす」


「俺は別にそのままでもいいんだがな」


 年下の従妹を可愛がっているのだろう、普段の荒々しい雰囲気を引っ込めた口調で口をはさむ。


「うちのクランは荒くれ者やはみ出し者が多いっすからね。鮫羅木さんが舐められるような要因は減らした方がいいっす」


「まあ、こんな感じなんだ」


 仕方がないとでも言うかのように、肩をすくめて嘆息する。


「それじゃあ、改めて自己紹介をするっすよ。わっちは書ノ上都斗(しょのかみとと)っす。ジョブは魔法使い。まあ、一般的なジョブっすね」


「確かに一芸には秀でているわけではねえが、都斗は4大属性はすべて使える。もしかしたら、魔術では更に適性が増えるかもしれねえと思ってな。同行がてら売込みってわけだ」


 都斗から話を引き継いで、鮫羅木が同行させた理由すると木葉達は納得した顔をした。


『確かにこのパーティなら柘榴さんから魔術を直接教わることも可能ですが、せっかく教わってもこちらで探索をしていたらあまり利がないのではありませんの?』


「そうでもないっす。木葉ちゃんたちと違ってわっちは専業探索者なんで休日は皆と探索して、平日は黒龍の牙で探索するっす。用事があるときは休ませてほしいっすけど」


「え?浪人生なのに勉強は大丈夫なんですか?」


「だから、わっちは〇三じゃないっす!これでも大学卒業してるっすよ」


 見た目から浪人生扱いされて慌てて否定する都斗を見て、鮫羅木が苦笑しながら助け舟を出す。


「こいつがずぼらなのもあるんだが、都斗、眼鏡を外して見せてやれ」


「…………わかったっす。皆さん、ちょっと顔を寄せてほしいっす」


 木葉たちはよく分からないがとりあえずテーブルを乗り出して顔を寄せると、都斗は眼鏡を外して眼を開いた。


 眼鏡を外すと切れ長の目をしており、仕事が出来そうな美人であるが口調やだらしない身なりのせいで残念美人になり果てている。一部の層には人気がありそうなジャンルである。


 そして、都斗の眼は虹彩の中に無数の文字が浮いているように見えて、木葉たちは驚いて息を呑むが直ぐに目を輝かせて、特に木葉は大興奮だった。


「カッコいいよ!まるで<ダンジョン伝説ガングリオン>に出てくるシュバインの全知の瞳みたいだよ」


(なんか色々こうタイトルだっさとか、なんで腫瘤とか豚なんすかとか、かっこよく聞こえる響きだけで名前決めてないすか?とか思うところはあるっすけど)


「木葉ちゃんって厨二病なんすか?」


 都斗が大興奮の木葉に微妙に引きつつ、依和那に尋ねると神妙にうなずいた。


「そうっすか……」


 若干早まったかなと思いながら、気味悪がられなかったことを嬉しく思う。スキルのせいで変質した後天的なものであるが、この眼を気味悪がられた過去があるので瓶底眼鏡で普段は眼を隠していた。


 しかも、スキルの意味が分からず役に立っていないので完全に負債にしかなっていなかったので、都斗自身はこの眼を嫌ってすらいた。


「わっちの眼は聖刻眼ってスキルの影響っすけど、これの意味が分からないんすよ。スキルの使い方は既出のものは調べられるっすけど、未知のものは自分でたどり着くしかないっすから」


 都斗は再び瓶底眼鏡を掛けると困ったように笑った。


 現在地球で確認されているスキルは、すべてが解明されているわけではない。鑑定のスキルを持った者は元々希少な上に、熟練度によって鑑定ができる深度が異なる。スキルの効果まで鑑定が出来るのは現在世界にただ1人【大教授(グランプロフェッサー)】という二つ名を持つ者がイギリスにいるのみだ。


 当然、伝手もない都斗では鑑定をしてもらうことなどできず、未だ自らのスキルの効果を知らぬままでいた。


「それなら、柘榴に聞けばいいよ。無駄に物知りだからあたし達のスキルも知ってたし」


「無駄にって……」


 だんだん雑になっていく柘榴の扱いに依和那は一瞬恐ろしい子を見る目をしたが、9割方自業自得なのですぐに平静に戻って話を続ける。


「それは助かるっすね。魔術を教えてもらえることは期待してたんすけど、思わぬ副産物ってやつっすね」


「よかったじゃねえか」


「あっ!」


 嬉しそうな都斗を眺めながらはたと柘榴から預かっていたアレを思い出した依和那は、ポケットからソレを取り出して皆に見せる。都斗と鮫羅木は不思議そうな顔をするが、既に知っている2人は興味深そうに見ている。


「そういえば柘榴から鑑定眼鏡を借りていたの。せっかくだから、都斗さんの能力を鑑定してみないかしら?何気にギルドの測定機より色々観えるわよ」


「本当っすか?もちろんっす。これから仲間になるんすから、説明する手間が省けるっす。色々ってところも興味深いっすね」


「面白そうだな。俺もいいか?」


 鑑定眼鏡の効果を説明すると、都斗だけでなく鮫羅木まで乗り気になって鑑定を頼まれた。


「鮫羅木さんも?いいんですか?」


「あん?………ああ、嬢ちゃんたちなら広めたりしないだろ」


「もちろんです!」


 鮫羅木はあくまで外様なので、自分たちに能力が知られてもいいのかという確認を込めて聞くと、思いの外信用されていたようで軽く肯定の返事をされた。


「俺もあいつに無策で挑むほど馬鹿じゃないからな。あいつを調べる時に嬢ちゃんたちのことも調べてたんだよ。まあ、ずいぶんとお人よしだなとは思ったが。」

(青くて危なっかしいと思ったのは言わねえほうがいいな)


 柘榴と関わるならば懸命な判断なので特に文句などいえるはずもなく、とりあえず大体柘榴が悪いという結論で木葉たちは納得した。


「それじゃあ、観てみましょうか」


書ノ上都斗

23歳

クラス:魔法使い

レベル:67

魔力:488

力:D

知力:B

精神:C

速さ:E

器用さ:C

スキル:火魔法(下) 水魔法(下) 風魔法(下) 土魔法(下) 聖刻眼 魔力上昇(下)


鮫羅木武雄

30歳

クラス:重槍剛士

レベル:197

魔力:151

力:A

知力:D

精神:B

速さ:C

器用さ:B

スキル:槍技(上) 剛槍技 斧技(中) 剛力 頑強 瞬足 根性 気合 闇夜の灯 耐久上昇() 力上昇() 


「はっ?はぁぁぁぁあああああああっ!?」


 依和那が鑑定結果を書いて渡すと、2人とも興味深そうに目を通していたが、鮫羅木が突如大声を上げて、周囲にいた者たちの視線も木葉たちに集中していた。


「どうしたの?」


「あ、あぁ、すまねえな」


 木葉に問い返られてはっとした鮫羅木がバツが悪そうに謝ると大声に驚いて周囲の者たちの視線も散っていった。


「俺のレベルは以前に測定したときは180を超えたくらいだったんだが……。それが今日見たら200に届きそうになってるからよ。ちょっと念のため、ギルドの測定器も使ってくるわ」


 鮫羅木は声を潜めて木葉たちに驚いた理由を告げると、測定器の方に歩いて行った。


 鮫羅木の背を見送った後、木葉たちも声を潜めて話し合う。もしかしなくても、かなり厄介事の予感がした。


「これって、間違いじゃなかったら原因はアレしかないよね」


『それしか考えられませんわね』


「これに関しては柘榴が悪いわけじゃないんだけれどね……」


「にいちゃんってあれでも日本の上澄みなんすけど……」


「「『「圧倒的格上との戦闘による急速なレベルアップ」』」」


 4人は顔を見合わせると重い溜息を吐いた。


この世界でスキルはジョブに着いたときに得る場合と閃きで得る場合があります。

例えば鮫羅木の槍術や剛槍術はジョブに伴うものですが、斧術は後天的に閃きで得ています。

ただし、相性や才能も有るので同じ行動を取ったとして同時期に得られるわけではありません。

ですので、レベルが高くてもスキルが少ないということもありますが、逆もまたあります。

木葉達は特異な経験をしたせいでやや多めです。

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