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第46話 ゴーレム、決闘を挑まれる

ご来店いただきまして誠にありがとうございます。


総合評価が100ptになりました。お礼を申し上げます。

 配信後はとても大変だった。木葉と依和那は配信からすぐにクラスメイトに囲まれて揉みくちゃにされしまった。


 柘榴が木葉達を映してしまったのをこっそり配信を観ていたクラスメイトが秒で広めてしまい、普通にセレスタが木葉パーティと発覚してしまって質問責めにされてしまったのだ。件のクラスメイトは授業中に配信を観ていたので、職員室に呼出しを受けていた。


 しかも、乙女の尊厳破壊映像まで出回ってしまって、踏んだり蹴ったりである。セレスタが仲間になることによる騒動は覚悟していたが、これはあんまりだと邪悪(柘榴)へのお仕置きを決意した。そしてそれは柘榴達が帰ってくるのを待って即捕獲して、即決行、そして邪悪は滅びて世界に平和が訪れた。


 こうしてその週の週末にはセレスタも合法的に探索に行ける様になった為、平日はトレーニングをして土曜日を休養日にして日曜日に浅い層で連携確認という生活を送り、木葉達が学校に行っている間にセレスタは柘榴に世間の常識と勉強を教わっていた。柘榴は世間の常識も()()()()はあるので教える事はできる。


 そうして2週間が経ち新パーティでは初となる本格的な探索の日がやってきた。


 選んだ場所は名古屋第2ダンジョンだった。これまで柘榴が担っていたポジションにセレスタが入った為、濡鴉がタンクの役を担い、柘榴は後衛魔法職をすることになった。先週はその連携を試して大まかな形にしていた。それを試すのにスタンダードなダンジョンがいいだろうという理由からだ。


 ギルドの建物に入ると柘榴は大分珍しさが薄れて騒がれなくなってきたが、セレスタと濡鴉が目立つので建物内にいた探索者達がざわついていた。


「マスター、そういえばパーティも人数が3人で様になってきましたし、名前を登録したらいかがですか?」


「え、5人じゃーーー「はっはぁーーっ!やぁぁぁあっと来やがったなぁぁぁぁあっ!」」


 柘榴の提案に木葉が問い返そうとしたときに粗野な大声いて響き遮られた。


 木葉が驚いて視線を向けると190cm程身長の有る金髪を逆立てた男がハルバートを担ぎ、獰猛な笑みを浮かべながら向かってくるところだった。


 ガンメタリックな色をした甲冑に身を包みながらも、鈍重さを感じない足取りで歩み寄り木葉達の前で立ち止まった。


「あ、あの、何か御用ですか?」


「ずいぶん待ちわびたぜ。おい、俺と戦えゴーレム女」


 ガラの悪い男に委縮しながらも何とか声を掛けるが、手で制されて柘榴に宣戦布告をされて青ざめる。


「あ、危ないですよ」


 それでも危ない(目の前の男が)と思い食い下がるが、その木葉の肩をいつの間にか近寄っていた瓶底眼鏡にぼさぼさの髪をした女性が掴み首を横に振る。


「〇三さん?」


「何でそれ知ってるっすか!?世代じゃないっすよね!?………そうじゃなくて、やらせてあげてほしいっす。鮫羅木さんはどう見ても悪いことやってるチンピラなんすけど、いい歳して昔のヤンキーみたくガチで最強を目指してるっす。だから、戦うことを楽しみにして来てたんすけど、いままですれ違っちゃってて、あれでも喜んでるんすよ。顔は怖いっすけど」


 木葉を説得している都斗の視線を受けた鮫羅木は、軽く頷くと周りに聞こえない声で囁く。


「安心しろ、藤堂の事は嬢ちゃん達には言わねえ。だが、うちのクランの中にはうすうす感づいてる奴らがいるから落とし前が必要なんだ。なにより、お前とやりあって生き延びられたら俺は強くなれる気がする。これはただの勘じゃねぇ、確信だ!」


 鮫羅木の意志を感じた柘榴は静かに目の前の男を見上げて口を開く。


「藤堂って誰ですか?」


「………さすがに覚えておいてやれよ。自分が殺った奴くらいは」


 少し肩をこけさせてチンピラ感の薄れた鮫羅木が真っ当っぽいことを言う。


「貴方は………」


「あん?」


「今まで食ったパンの枚数をおぼえているのですか?」


「………そういうことを言ってるから邪悪扱いされるんだぞ」


「至高の私が悪なわけがないでしょう。私のすることこそが正となるのです」


「そういうこと言ってると嬢ちゃんに嫌われるぞ。あの嬢ちゃんはそういうの嫌いだろ」


「マ、マ、マスターが私を嫌うわけないでしょう!……ないですよね?」


 チンピラに説教された柘榴は微妙にショックを受けた。前哨戦は鮫羅木に軍配が上がったようだ。


「ふっ、冗談はこのくらいにしましょう。それで、貴方はなぜ真正面から挑むのですか?闇討ちや誘拐といった手段もあるでしょう」


「そいつはやった瞬間に黒竜の牙の壊滅が確定するだけだろ。生き残らなきゃ最強もクソもねぇ。こいつが一番俺の目的を果たせて、楽しくて、生き残れる方法っつうだけだ」


 見た目だけならどう見ても強そうな鮫羅木の赤裸々な答えに柘榴は薄く笑った。


「いいでしょう。貴女の望みを叶えましょう。ただし、マスターから決闘の許可が出れば………ですが」


「そ、そうか」


 木葉に結論をぶん投げた柘榴の返答に鼻白みながらも、のそのそと木葉達の方に向かっていく。


 一方、都斗と談笑をしていた木葉達はチンピラが再び自分たちの方に来ることに、都斗から色々(藤堂の事はぼかして)聞いていたので理由が分からずキョトンとする。


「悪ぃな、都斗から色々聞いてると思うがあいつと決闘をさせて欲しいんだ。嬢ちゃんに迷惑をかける分は都斗を無期限で出向させるってことで手打ちにしてくれ。こいつは都斗の希望でもあるんでな。こいつはなかなか優秀な攻撃型魔法職のルーキーだから役に立つぜぇ」


「分かりました!気を付けてくださいね」


「ちょおぉっ!マスターッ!?」


 都斗とは談笑をしていて気が合うし実力までお墨付きが出たとなれば断る理由もないので、即答で了承を返すと、売られた柘榴から愕然とした声が上がった。


「柘榴ー。大怪我させちゃだめだよー」


 柘榴の勝利が前提のセリフに、己が勝つことは出来ないと悟っている鮫羅木もさすがに苦笑が漏れる。


 しかし、このチャンスで強くなることを目的としても、一矢報いることを諦めたわけではない。


 鮫羅木は静かに闘志を滾らせてハルバートを握りしめた。


ーーーーーーーーーーーーーーー


「ダメに決まってるじゃないですか。決闘罪って知ってますか?」


 決闘の為に訓練場を借りようとしたら、あっさりと鷹柳に却下された。


「え~~~~~~」


「訓練場は教習や自主訓練のための場所ですよ。私闘のために貸せるわけないじゃないですか」


 今日まで邂逅が空ぶったり柘榴たちに振り回されたり散々だったところで、気合をスかされて狂犬のようなチンピラから雨に打たれた野良犬の様になって、さすがに同情の目が注がれる。


 周りの探索者達は詳しいやり取りは聞こえていないが、何となく振り回されている様子を感じて獰猛な上位アタッカーのイメージが少し変わっていた。


 木葉達もさすがに気の毒に思ったのか、皆(都斗も含む)の目が柘榴に何とかしろと訴えていた。


「あー、鷹柳」


「これは法律の問題ですから、さすがに僕も許可は出せませんよ」


「ええ、ですので、私が特別にこの男に実戦で訓練をつけてあげましょう。参考になるなら見取り稽古を許可しても良いですよ。知りたいでしょう?A級がどこまで私に食い下がれるかを」


「!!!」


 確かに知りたい。柘榴が探索者と戦ったのは波賀パーティしか記録がないが、波賀本人には申し訳ないが彼らでは正面から戦っていても試金石にもならない。


 しかし、鮫羅木はA級であり実力だけ見るならばS級と遜色がない。ただし、S級は既に全員が魔術講習を受けて習得している為、現時点では多少の差はついているが。


以前の配信では強大な魔術と槍を使用しているのを確認した。しかし、槍はトドメにしか使用していないし、本人曰く万能型であるとのことであらば他の技能も知りたい。


 この謎が多い存在に関しては、少しでも多くの情報を得たいというのが鷹柳の、ひいてはギルドの思いだ。


 それが引き出せる機会があるのであれば、この詭弁に乗っても良いと思われた。


「………分かりました。実践式の訓練ということであれば良いでしょう。今後の参考にさせていただきたいので記録を撮らせていただいても?」


「私の方は構いませんが」


 そう言って柘榴はちらりと鮫羅木を見る。


「俺も構わねぇ。ただし、その映像は後で俺にもくれや」


「承知いたしました」


 こうしてお膳立てが整い、A級探索者という上澄みの実力者との戦闘訓練という名の決闘が行われることになった。


「あ、マスターは探索してきてもいいですよ。ざくろちゃん付けますか?」


「あたし達も観るからっ!」「こんなの見逃せるわけないじゃない」『観察させていただきますわ』「鮫羅木さんの最期はきちんと看取るっす」「wood?」


 木葉達に探索を勧めると、猛反論が返ってきた。そして、鮫羅木はクランメンバーから死亡予定を立てられていた。

波賀は三下のようなチンピラで、鮫羅木は龍が如くの郷田のようなイメージです。このノリの作品なので見た目だけですけど。

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