第42話 ゴーレム、秘密を明かす
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結局ウッドゴーレムの姿は再改修して木の本体を削って整えると各部にアダマンタイト鋼板を張り付けて補強を行いつつ鎧を纏った機械のような見た目にして、武装を取付て騎士とロボットの中間のような姿にした。1本生えていた枝も兜飾りの様になっていた。
「それでいつまでもこの子って呼ぶのもなんだし、従魔登録もしなきゃいけないから名前を考えないとね」
「それこそウッ〇ィとか木太郎でいいのではないですか」
「そんな適当に決めちゃ可哀そうだよ。しかもなんか微妙にうまいこと言ってるし」
「私がつけられそうになった名前も大して変わりませんが………」
自分につけられそうだった名前よりも木葉が真剣に考えておりなんだか釈然としないが、とりあえず本ゴーレムと木葉に任せてとぼとぼと他の2人のもとに歩いて行った。
「あー、なんかご愁傷様?」
「いえ、そういえば何があったのですか?あのウッドゴーレムは鑑定したら通常種ではなく<ククノチゴーレム>となっていましたが」
『やはり通常のウッドゴーレムではなかったのですね。実は中層を探索しているときにーーーーー』
セレスタから状況を聞いて情報を整理すると、2人に推測を話す。
「なるほど……同種は今後しばらく現れることはないと思います。おそらく長く活動した個体がこのダンジョンの固有種に進化したのではないでしょうか。普通の……というのもおかしいですが、普通のイレギュラーだと思います。貴女達では手に余ったでしょうに良く倒せましたね。褒めてあげましょう」
「素直に褒めなさいよ。まあ、ざくろちゃんや魔道具にはたくさん助けられたわ。ありがとう」
『そうですわ。わたくしもこのシェキナーとタスラムには助けられましたわ』
「そうですか。それは重畳です。では帰ったら貴女達の成長を見て装備を調整しておきましょうか。特に依和那は装備を弄ってませんからそろそろ役不足になるころでしょう?」
「それは助かるわ。それにしても、わたし達だけ恩恵があって罪悪感があるのよね」
依和那が後ろめたそうに言うのに対して、柘榴は呆れたように返す。
「以前も同じようなことを言っていましたね。本当に貴女達は真面目というか、もう少し肩の力を抜いて欲に身を任せてもいいと思いますが……。いいですか、以前も言いました運も実力のうちですという事もありますが、貴女達は恩恵もありますが他者の思惑による様々な面倒ごとというデメリットも受けているのですよ」
「そうなのかしら?」
「マスターに知らせずに処理していますが、マスターや貴女の周りにかなりの数の工作員などがうろついていますよ。時には強引な手段も取ろうとしたりしていました」
柘榴が顔を寄せて囁く暴露に依和那が顔を青ざめさせる。
「そこは対策を取っているので安心してください。これからも手出しなどはさせません」
柘榴の宣言に依和那は安堵の表情を浮かべる。処理という言葉が気になったが、さすがに自分たちに危害を加えようとする相手を擁護するほど依和那はお花畑ではない。
そんな話をしていると、木葉がウッドゴーレム改めククノチゴーレムを連れて戻ってきた。
「お待たせ~。登録してきたよ。それで、この子の名前なんだけどね………じゃじゃん!濡鴉だよ!」
「………………………………………」
「いいじゃない。ちょっと厨二っぽいけど」
「そうかな~?」
『いいと思いますわ。濡れたような艶やかな黒色の見た目に良く似合います』
木葉達がわいわい感想を言いあっている傍で、己の時の名前のラインナップと比べて柘榴は何とも言えない顔になっていた。
それはさておき、翌日からは学校なのだからそろそろ帰らないといけない。
「マスター、そろそろ帰りませんか。明日は学校でしょう」
「そうだね。あ、濡鴉はどうやって連れて行こうか」
因みにセレスタはギルドに入ってから探索帽を目深にかぶり、耳を隠してから隠密マントを脱いでいる。
「仕方ありません。帰りは私が運転しましょう」
「へ?え?車あるの?免許は?」
木葉が戸惑って聞いてくるが、ふふんと胸を張って免許証を見せる。
「車は宝物庫に入れてあります。免許は………国家権力に借りを返してもらいました」
「あ、ああ………剱崎さん、鷹柳さん………ごめんなさい」
ダンジョンと関係ない省庁を巻き込んでの交渉になったであろうことから2人の苦労を偲び1人謝るが、元凶がイイ顔しているのがやるせない。確かに便利ではあるのであまり文句を言えないが。
「車があるのなら、なんで行きは電車だったのよ」
「マスター達は学生ですので、電車での旅行もよいでしょう!」
「選択肢くらいは欲しいわよ!他に隠していることはないでしょうね?」
依和那が問い詰めると表情だけにっこりと作って返して話す気がなさそうなので、ため息をついて諦めた。
木葉達が帰ろうとすると、職員や探索者達が見送ってくれた。
駐車場まで来ると柘榴は宝物庫からワゴン車を取り出して荷台に濡鴉を乗せて、運転席に乗り込む。
3人が乗り込んで出発してからしばらくすると、探索で疲れていた3人分の寝息が聞こえてきた。
そこからは特に何事もなく順調に帰路につき、一度全員の成長確認のために木葉の家のリビングでくつろいでいた。
「さて、では恒例の鑑定といきましょうか」
咲乃木葉
16歳
クラス:斥候
レベル:41
魔力:85
力:D
知力:D
精神:C
速さ:C
器用さ:D
スキル:生存本能 生活魔法 混乱耐性 勇気 短剣技 投擲 罠解除(下)
従魔:柘榴 濡鴉
姫宮依和那
16歳
クラス:疾剣士
レベル:49
魔力:99
力:C
知力:D
精神:D
速さ:B
器用さ:C
スキル:速剣技 回避術 風魔法(下) 魔法剣(風) 見切(下) 疾駆
セレスタ=ストアラス
184歳
クラス:精霊射手
レベル:77
魔力:248
力:C
知力:C
精神:B
速さ:C
器用さ:B
スキル:射撃 精霊魔法 隠密 必中 俯瞰 早撃ち
「順調に強くなっていますね。マスターも依和那も日々の訓練のお陰で素質評価も上がりましたし、この調子で頑張りましょう。それでは、何か聞きたいことはありますか?」
柘榴が鑑定の結果を渡すと3人とも一喜一憂していると思いきや、セレスタが難しい顔をしていた。
『あの………』
「はい?なんでしょうか」
おずおずとセレスタが手を上げるので柘榴が促すと、
『読めませんわ』
「……そうでしたね」
柘榴がセレスタに渡している魔道具は意志を伝達するものであるので、声に乗った意志を感じ取っているというものである。故に文字などの間接的な方法では意志を伝えることが出来ない。
柘榴もセレスタの使う文字は知らないので、今は口頭で鑑定結果を伝える。
『3もレベルが上がっているという事は、あのククノチゴーレムは格上だったのでしょうね。早撃ちは道中で調子に乗って撃っていたので、コツが掴めてきたからでしょうか』
内容が分かればおおよそ納得の内容だったようだ。
「柘榴、<勇気>ってどうな効果があるの?」
「わたしは<見切>と<回避術>の違いと<疾駆>を知りたいわ」
木葉と依和那から文字だけでは効果の分かりにくいスキルについて質問があり、日頃の勉強もこれくらい積極的だといいのですがと思いながら順番に答えていく。
「順番に説明しますが、まずは<勇気>というスキルは恐怖耐性の上昇と恐怖を乗り越えた時に一定時間全能力上昇(下)が付くようですね。発動条件が状況に依存するので使い勝手は悪いですが、発動すればかなりいい性能ですね」
続けて依和那の質問に答える。
「続けますが、<見切>は感覚で<回避術>は動作です。両方を組み合わせて極めればいかなる攻撃も依和那を捉えることができなくなるでしょう。最後に<疾駆>はダッシュ時に瞬発力が倍加して、その間は身体性能も上昇します」
柘榴の説明を聞いて各々自分の戦術を考え始めるが、まだやることがある。
「それでは皆さん、装備を全て預けてください。次の探索までに調整と必要なら強化をしておきます。依和那は3日後くらい一度合わせますのでに来れますか?」
「ええ、大丈夫だけど………どうするのかは知らないけど3日で出来るの?」
「問題ありません。では3日後に来てください」
「分かったわ。それじゃ、わたしは帰るわね。皆、またね」
夜も遅くなってきたので、依和那は自宅に帰っていった。帰宅する依和那を見守る黒覆面の忍者ざくろちゃんがいるので安全はばっちりだ。
「さて、マスター。マスターにはすべきことがあります」
緊張感を持って重々しく柘榴が言うと、雰囲気に呑まれて木葉が唾をのむ。
「な、なにかな?」
「それは………………………セレスタと濡鴉を佳未亜に説明して同居の許可を取ることです!」
「ぁぁぁぁああああっ!そうだったーーーーーっ!ね、ねぇ柘榴、一緒にーーー」
木葉が縋ろうとするのをにっこりと表情だけの笑顔で封殺する。
がっくりした木葉は観念して、佳未亜とついでに健を部屋まで呼びに行った。
「実は免許取ってたんだ」をやりたかったのです。




