第39話 ゴーレムの主、成長する
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咲乃木葉の父親ーーー咲乃幸彦は探索者であった。ランクはB級まで上がっており、特別知名度が高いわけではないが地元のギルドではパーティメンバーと共に頼りにされる存在だった。
父親はパーティメンバーとも仲が良く、しばしば家に尋ねてきたりして木葉も可愛がってもらったこともあり、その時には他社目線の父親の武勇伝を聞いたりもした。
そして木葉の父親らしくお人好しであり、人を助けることも多いが、騙されたりしたこともあったりしてB級探索者でありながらも日常生活は一般家庭と同程度であった。
しかし、木葉はそんな父親の背を見て育ってきて、父親よりもランクの高い探索者はいるがあくまで木葉のあこがれは父親だった。
そして、そんな父親は5年前のある日、ギルドから遭難者の救助要請を受けてパーティで、あるダンジョンに挑み………帰ってくることはなかった。
父親の訃報を聞いて一時は引きこもったが、父親であれば母親や健を励まして支えるだろうと立ち上がり、やがて探索者を目指すことを夢見た。
それが咲乃木葉の原風景ーーー父親の様に優しくて誰かを助けられる探索者になるという探索者を目指した理由である。
自身でも才能がないのではないかと疑いながらも諦められなかった理由でもある。
だからーーーリーダーとして未熟でも支えてくれる仲間がいるのなら精一杯応えよう。
依和那とセレスタに感謝しながら、木葉は改めて決意していた。
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女子会を終えた木葉達は1つの課題を乗り越えようと足掻くことで互いを知って仲良くなり、絆を深めていた。
少しスッキリした顔の木葉が先頭に立って中層との境目あたりを捜索して魔物を探す。
中層に侵入する前に話し合った戦術を試す為であった。
「見つけたよ。こっち、アタックエイプ5体とカニバルアップルが8体。カニバルアップルを投げつけられると面倒だね。セレスタ、アップルに近づこうとするエイプだけ撃って」
「わかりましたわ」
木葉がカニバルアップル目掛けて走りながら指示を出すと、すぐさま背後から魔弾が翔び1体のアタックエイプを撃ち抜いた。
更にもう1体が撃ち抜かれると、カニバルアップルを投げつけようとするのをやめて木葉達に向かってきた。
「GYYYYYYYYYYYY」
木葉がアタックエイプの相手をしている脇を走り抜けて依和那がカニバルアップルに斬りかかる。本来は斥候の木葉の方が攻撃力が低いが、今は武器の性能差で逆転している為、歯以外は固くないカニバルアップルを依和那が相手をすることになった。
カニバルアップルが跳ねながら噛みついてくるが、噛みつかれる前に流れる様に1刀の元に両断していく。抜けられた個体はタスラムで撃ち落とされていた。
木葉は残り3体のアタックエイプを相手にしているが、左手のナイフで攻撃を受け流しつつ1体の懐に入り右手のミスリルナイフを一閃して首を切り飛ばすと残った体を別の1体の方に押し出す。払われた体の陰から飛び出し、喉を切り裂いてもう1体を倒す。
最後の1体は引っ掻こうとした指を切り飛ばされて、痛みに気を取られた処で袈裟斬りにされて地に臥した。
依和那の方は既に終わっており、戻ってくる処だった。
「上層の相手だと1人でも複数を相手にできるから、ただの役割分担って感じだね」
「それはまあ仕方ないわね。でも、あのゴブリンと死闘をしてた木葉が強くなったわねぇ」
「う〜〜〜〜〜イジワルだよ」
「あはは。あ、セレスタもいいサポートだったわ」
「うん、そうそう。お陰で戦いやすかったよ」
『それは何よりですわ』
歩いてくるセレスタに声を掛けると魔銃をもっと撃ちたかったという気持ちが僅かに見えるが、如才なく言葉を返した。
出番がなかったざくろちゃんは後方腕組み(組めていない)をしていた。
その後もいくつか戦闘パターンを確認して、いよいよ中層で本来の目的のトレントを探すことにした。
もともと森林エリアは障害物が多くて、索敵も空間で行わなければいけないので探索が難しいエリアではある。しかも、トレントは擬態している為、視覚での発見が難しい魔物でもある。
そのため木葉はいつもより周囲に気を配り、敵を見落とさないように集中していた。異界の存在を感知するスキル外スキルなどというものを持っているのに肝心の気配探知を持っていない木葉であった。
深くまで行かないように気をつけながら注意深く浅部でトレントを探していると、何となく生え方に違和感がある木があった。
「セレスタ、あの木を撃ってみて」
『分かりましたわ』
指示された木をセレスタが寸分たがわず撃つと、擬態していたトレントが正体を現して襲い掛かってきた。
「GUUUGYYYYYYY」
トレントは固くて上層部の魔物ならば1撃で倒せていた魔弾でも幹が抉れているだけで済んでいた。しかし、痛みはあるのか枝を振り回しながら猛然と襲ってきた。
トレントは足は遅いが振り回す枝は速い。何本もある枝を振り回している為、直撃するものはざくろちゃんが防いでくれるが依和那はなかなか近づくことが出来ずに手をこまねいていた。
「セレスタ、依和那に当たる枝を撃って援護して。依和那はトレントの根を切って周って弱らせて」
投げナイフで牽制しながら、木葉が指示を飛ばす。
必中を持っているからこそできる本来なら無茶な指示に応えて枝を撃ち落とすセレスタの援護を受けて、依和那が風魔法を纏わせた剣で根を切っていくとトレントの動きが鈍くなってきた。
そこからは一方的な展開となり、もともと身軽さを特性とするジョブの2人をとらえることが出来ずにただ切り刻まれていくのみとなった。
やがて、額に当たる部分の表面を抉られるとトレントの核が露出して、それをセレスタに撃ち抜かれて戦闘は終わり、ドロップのトレントの丸太が残された。
戦闘が終わると動き回っていた前衛2人は疲れてへたり込み、消費が少ないタスラムとはいえ何十発も撃っていたので消耗して座り込む。
「疲れた~~~。トレント固すぎだよ~~」
「本当にね。中層だからってだけじゃなく、わたし達と相性が悪いわね」
『そうですわね。温存をしながら戦ったことで余計に消耗が増えたかもしれませんわ』
セレスタの精霊魔法やクラフトソーサリーを使えばもう少し楽に倒せたのではないかと反省をすると他の2人からも同意の声が上がる。
「確かにね。じゃあ、次はこんな感じでどうかな?」
木葉が対トレント用の作戦を開陳すると賛成を得られたので、次にトレントを発見したときに実行されることになった。
次の戦闘の機会をすぐ発見できたので、早速とばかりに木葉とざくろちゃんが飛び出して枝を弾きながら撹乱する。
少し離れて機会を伺っていた依和那は核のある場所への道が抜けた瞬間に飛び出して、剣に渦状に風を纏わせて吶喊する。
ドリルの様に額を削るが、削りきる前にトレントが依和那を叩き落そうと枝を振るうので中断して飛び下がった。
『エアリアルショット!』
そこへセレスタの精霊魔法を込めた魔弾ーーー精霊魔弾が命中して核を砕いた。
「上手くいったね!」
作戦が上手くいって嬉しかったのか、木葉がぴょんこぴょんこ刎ねながら駆け寄ってくるのを眺めながら依和那は木葉の精神はもう大丈夫そうだと安堵していた。
その後も、複数同時に相手どらないように注意しながら、トレントを倒してドロップを回収して進んでいくと拓けた場所にでた。
そこは不自然に樹木がなく巨大な倒木が中央に鎮座する草花が生えているだけの場所であった。
「誰かがかい………」
「ダンジョンだから人の手で開拓したとかじゃないでしょうけど……何かしら?」
木葉がボケる前に一刀両断されて、ごまかすために当たりを見回しているとふと気づいた。
「依和那、あれってウィス草じゃない?」
「うん?本当ね。柘榴に見せてもらったのと同じように見えるわ」
「それじゃ、採取しちゃお」
「ええ」『わかりましたわ』
早速ばらけてそれぞれウィス草の採取を始める。
セレスタはそれなりの量を集めていたが、倒木の近くに群生しているのに気づいて採取に行く。
屈んでウィス草を掴んだところで、ゴゴッという音が聞こえた気がしてふと顔を上げると倒木が震えて起き上がっていく光景を目の当たりにした。
今回は木葉の原点の話です。
やっぱり、アクション部分の描写は難しいですね。
12時にもう1話投稿します。




