表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/92

第38話 ゴーレムの主、探索者をする

ご来店いただき誠にありがとうございます。


この話から3話は木葉メインの話です。

 1夜明けてホテルの朝食を食べた木葉、依和那、セレスタは松本ダンジョンに向かった。


 セレスタは部屋から出るときに変装をしており、今は西欧美人のような姿になっている。


 探索者資格を持っていないのでギルドに入る前に隠密マント(メイアリス製)で姿を隠して入ることにしている。良心コンビは抵抗したが、代案も出せないので邪悪(柘榴)に屈して、ぐぬぬとしていた。


 何はともあれ無事にダンジョンに入場を果たして、セレスタが加入して柘榴が抜けた状態でのパーティで探索となる。セレスタは入場してすぐに人目を気にしながら隠密マントを脱いだ。周りに人がいなくなるまでは帽子は被ったままにする予定だ。


 入場してすぐに木葉に問題が起きた。 


言動や行動はアレだが実力は飛びぬけてあるため、精神的に頼りにしていたところはあるので木葉は普段よりも緊張していた。


「さささぁ、みみみみんな、行くよぉ~~」


「落ち着きなさい。昔は2人だったでしょ。その頃と同じじゃない」


 体が掘削機の様に振動していた木葉を見かねて依和那が口を出すが、強敵と邂逅した後はダンジョン探索は命がけであるという認識が出来ている為、仲間の命も背負っていると思うと中々緊張が解れない。


 そんな木葉にセレスタが声を掛けようとした横を探索用ざくろちゃんが走り抜けて、あたかも友達が戯れて背中に覆いかぶさるように肩に飛び掛かった。


「ぶぎゅっ!」


 当然、木葉もざくろちゃんの重量を支え切れず前のめりに倒れて潰された。


「ちょっと探索前にコロさないでよ」


 依和那に注意されたざくろちゃんが頭……に手が届かないので頬に手を当てて、あざとく舌をだしてごまかしていた。


「死んでないよぉ~~~」


 潰された木葉から地を這うような声が漏れてきた。


「ぷっ」『ふふっ』


 その様子を見た依和那とセレスタから笑いが零れて、入口周辺での痴態なので通りがかりの探索者達も大半は微笑ましそうに通り過ぎて行った。


「ひどいよぉ~~~」


「あはっ、ごめんごめん。でも震えは止まったわね。さあ、行きましょ」


「そうだね」『ええ』


 ショック療法で緊張を飛ばされた木葉は気を取り直して、パーティの斥候として先導をする。


「あ、あっちにーーー」


タタタタタタタタタタタタタ、バカン


「あ、今度はあっちーーー」


タタタタタタタタタタタタタ、バカン


「次はーーー」


タタタ、ガシッ


「ざくろちゃん。貴女が全部倒したらわたし達の意味がないでしょ」


 魔物に向けて駆けようとした柘榴ちゃんの頭を鷲掴みにして、依和那がざくろちゃんを叱る。いいとこを見せようとしたざくろちゃんはしょんぼりしたが、その隙に魔物に気づかれていた。


「みんな、来るよ」


 ダンジョンバインと、その蔓にぶら下がったアタックエイプの混成5体の群れが向かってきていた。


「行くわよ木葉。セレスタさんはえnーーー」


パシュッ


 小さな発射音を立ててシェキナーから魔弾が発射されるとアタックエイプの頭が消し飛び、残った体が地に落ちた。突然仲間の頭が吹き飛び足が止まったところを追撃する。


パシュッ………パシュッ………パシュッパシュッ


 唯の魔弾であれば魔力の装填に2秒程度しかかからないので、さらに2体をシェキナーで倒して、再び向かってきて近づいた残りをタスラムで倒した。


『この武器……素晴らしいですわっ!こんなものを使ってしまったら、もう弓には戻れませんわ!』


「あ、うん」「…………」


 頬を上気させて銃に頬ずりをするエルフを見て、2人は茫然としていた。


 2丁の銃を渡された際に柘榴が説明していたことを思い出す。


ーーーーーーーーーーーーーーー


「この2丁は本来の性能を発揮できないように制限しています」


「え、なんで?」


 柘榴の発言に疑問の声が上がる。


「本来の性能だと制御を誤るった時に1発で干からびて死にますよ。ですので、セレスタの成長に合わせて制限を解除していきます。という理由が1つ」


 理由に納得して一同は頷き続きを求める。


「第2にマスター達に中層突破のご褒美の選択肢で武器の強化を含めているのに、ぽっと出に棚ぼた式に強力な武器を渡したら不公平でしょう?」


『ぽっと出………』


 言葉の響きに若干引っ掛かりを覚えながらも、何とか納得する。


「最後に私の主に相応しく成長してもらうためには、あまりに分不相応な武器は不適切です。それは依和那、セレスタ、貴女達にもマスターと共にいるなら同じです。自分達で手に入れた物を没収まではしませんが、私から与えることはありません。……まあ、死なれては困るので防具はその限りではありませんが」


「デレた」「デレたわね」『これがデレというものですか』


 主とその周辺には甘めなゴーレムの発言の言葉尻をとらえてからかうと、そのあと滅茶苦茶〆られた。


ーーーーーーーーーーーーーーー


「これでナーフされてるんだ………」


 木葉は自分の装備も下層まで使える装備だったと思い出して、柘榴はなんだかんだと過保護だったと思い返していた。


その後も索敵、発見、即キルで木葉達は何もすることがないまま進んで行くが、中層とされているエリアの手前まで来て戦闘を終えたところで、突如セレスタがふらついて膝をついた。


『あ……あら?』


「どうしたのっ!?セレスタさん!怪我をしたの!?」


 セレスタの不調に焦る木葉の足をつんつんと柘榴ちゃんがつつく。


「ごめんね、後にしてくれる!」


 木葉に相手にされなかったざくろちゃんは今度は依和那のもとに行き、同じようにつんつんとして気を引くとセレスタの方に指をさした。


「ん?何か言いたいのかしら?」


 何かを察した依和那の言葉にコクコク頷き、もう一度セレスタを指さすと今度は自分の指を指鉄砲にして撃つ動作を繰り返す。


「セレスタさんの不調は魔銃を撃ったからってこと?」


 今度もコクコク頷き指鉄砲を撃つ動作をして敬礼の様に手を上げると、そのまま下げる動作をした。


「魔銃を撃って何かが下がった?………ああ、魔銃を撃ちすぎて魔力不足になったのね!ありがと、ざくろちゃん」


 依和那がたどり着いた答えに、腕を組んで(組めてない)うんうん頷く。


 原因が分かれば解決は容易いので、依和那はカバンからマナポーションを取り出してセレスタに差し出す。


「魔力切れになっちゃったのよ。これ、マナポーションを飲んで」


 出されたマナポーションを飲むと少し力が戻ったのか、立ち上がることが出来るようになった。


 一行は周囲を索敵して、魔物がいないようであったのでセレスタの為もあり、しばらく休憩をとることにした。


『この素晴らしい武器に浮かれて、調子に乗りすぎてしまいましたわ。柘榴さんに説明は聞いていましたのにお恥ずかしい限りですわ』


「勝手の分からない武器だし仕方ないけれど、わたしもセレスタさんに任せっきりにしていたことは反省ね。周囲に魔物が居ないことが救いだったわ」


「あぅぅぅ」


 魔力切れが起きたのが戦闘中なら大きな怪我、或いは仲間の死にも繋がりかねないミスに木葉は落ち込んでいた。


 今まで依和那も柘榴も自分の管理が出来る手合いだったので力の配分ミスなどなく、致命傷になりかねないようなミスは落とし穴にはまった時以来だった。


 柘榴の主であることから何となくでパーティのリーダー的なポジションにいたが、もともとリーダーシップをとる方ではなく、助けられる性質なので自分は向いていないのではと思い始めていた。


 付き合いの長い依和那はそんな木葉の心情を察して、木葉の隣に座る。


「木葉、今リーダー自分はリーダーに相応しくないとか思ってない?」


「うえぇっ!なんでわかったの?」


「長い付き合いだからね。顔を見ればわかるわよ」


 言い当てられた木葉は驚いた顔になったが、すぐに悄然として肩を落とした。


「うん。あたしこのパーティで一番弱いし、あまり視野も広くない、頭が回らないから何よりその場に合わせた指示が出来ていないよ。こんなんじゃ、いつか依和那やセレスタさんに大怪我させちゃうよ」


 気分が落ち込み必要以上にネガティブになっている木葉が弱音を漏らす。地味に心配対象に柘榴は入っていない。


 依和那は木葉の弱音を聞きながら、一度パーティを解散したときのことを思い出していた。その時も自分の実力不足で足を引っ張っていると卑屈になって泣きながら訴えていた。だから、その時は依和那が折れて解散を承諾した。……が、もうその必要を感じていない。


 そもそも木葉は自分の事だけであれば精神力は強い。それは素質の鑑定でも現れていたし、弱ければ当の昔に折れていただろう。


 真面目で優しいゆえに仲間に被害が及ぶことに反応してしまうのだ。しかし、探索者になることを選んだのは依和那であり、セレスタだ。そして、今回浮かれてハメを外しすぎたのはセレスタだ。


 探索者ではなくても自分の体調を最終的に管理するのは自分しかいない。


 今回、木葉に過失があるとすれば仲間の特性や武器を知らずに好きにさせてしまっていたことだろう。


 そして、幸運にも今回は被害なくそれを知ることが出来たのだから、次への反省とすることが出来る。


 クランに入っていない限りは先達からの教えがない探索者は、自分で調べて体験して覚えていくしかないのだから。


 まずは話し合いからやり直そう。依和那達は新米なのだから、西田中のような経験もなければ柘榴のような器用さもない。ならば話し合って互いを理解してパーティとしても強くなるしかない。


 結論を出すと依和那は木葉に向き直り語りかける。


「木葉、わたしは別に木葉がリーダーを辞めたいならそれでもいいと思うんだけどね、たぶん今までわたし達はパーティになれていなかったと思うのよ。だからさ、これからパーティになろう。……………わたしは姫宮依和那よ。疾剣士って言って素早さ特化の魔法剣士職でーーーー」


 突如自己紹介を始めた依和那にポカンとしながら、ジョブからスキルや特性武器に至るまで紹介するのをただ黙って聞き続けた。


 依和那の自己紹介が終わると横合いから声が掛かった。


『わたくしはセレスタですわ。ジョブは精霊射手といいましてーーーー』


 セレスタも依和那の意を汲んで自らの紹介をしていく。木葉は訳が分からずただただ黙って聞くしかない。


「さあ木葉、貴女の事を教えて。そうしてわたし達の戦術を組んでいきましょ。わたし達はお互いを知らなさ過ぎたのよ。柘榴が間に挟まることでうまくいってしまっていたけど、本来は互いを知って戦術を組み、時に応用して前に進むものだった。わたし達のパーティはワンマンではないのだから支え、補っていかないといけなかったのよ。……まあ、柘榴の性格は補いきれないけどね」


 依和那の言葉でようやくただ沈んでいるだけだった木葉の瞳に理解の光が灯る。


「うん。うん!あたしは咲乃木葉ーーーー」


 その場はしばらく和やかで姦しく声が途切れなかった。


 ……その間、ざくろちゃんは女子会に水を差されないように見回りをしてしていた。


探索者としての実力を身に着けてからは、初めて柘榴と別行動で探索をして精神的に成長をする木葉達が書きたかったので幸村さんには犠牲になっていただきました。


隠密マント≒石○ろぼうし



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ