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第37話 ゴーレム、供物で誘惑する

ご来店いただき誠にありがとうございます。

 柘榴が一先ず考えることをやめた時、木葉はこの世界の事をそれなりにセレスタに教え終えていた。


「ーーーーだからね、セレスタさんもこの世界で生きていくのであれば、あたしたちと一緒に探索者をしないかな?あ、もちろん荒事もあったりするから、そういうのが苦手なら別の仕事が出来ないかギルドの人に相談してみるよ」


 最後に誘って話を締めくくる。あくまで判断はセレスタの委ねるようだ。


「一応捕捉しますが、この世界でも現代の文明になじまず生きている部族もいますので、全て自給自足で生きていくことも可能かとは思います。まあ、文明側が接触をしようとしたりすることもあるようですが……。望むのなら、人が来ないような場所に送りますよ。ダンジョンに住んでもいいでしょうし」


 アマゾンの少数部族を例に出して、親切心ではなく木葉の役に立つならそれでいいし、排除できるならそれでもいいという思惑で助言をする。


 セレスタは柘榴の思惑には気づいたが特に自身に害がある話でもなさそうなので、選択肢の1つとして考える。


(この者の提案自体はわたくしを遠ざけたいだけでしょうから、彼女たちから離れる選択肢であれば叶えてくれるのでしょう。しかし、独力で生きていくことなどわたくしには出来る気がしませんし、他の人間が彼女たちの様に信用出来そうなものでしょうか……。それに、万が一悪賢神が現れた時に、ここには対抗出来得る存在がいる。お父様達に生かされたこの命を簡単に諦めることなど出来ませんわ。今ある情報からの最善をう選ぶのであれば…………。)


『わたくしは探索者となり貴女がたとパーティを組みたいと思いますわ。貴女はお人好しが顔に出ていますし信用が出来そうですわね。木葉さん』


「うん!よろしくね。セレスタさん」


「これからよろしく。セレスタさん」


 セレスタの出した結論に木葉は純粋に喜び、依和那も一先ず安堵していた。一度は反対する姿勢を見せても根本には面倒見がいいので、今はただセレスタの選択を喜ぶことにした。


 しばらくは3人がじゃれ合う姿を眺めていたが、ぐ~~~という音が聞こえてきた。


「あらっ、これは……お恥ずかしいですね。お腹が空いてしまいましたわ」


「目が覚めてから何も食べてないからね。ホテルの人に何かないか聞いてくるよ」


「お待ちくださいマスター、手持ちでこれくらいならありますが」


 フロントに聞きに行こうとする木葉を呼び止め、手持ちのホットケーキやマカロンといったおやつを出す。


「魅惑の罪深い夜食ですよ。いかがしますか?」


 邪悪呼ばわりされたことを根に持っていた柘榴は、邪悪な顔をしながら罪深い供物をテーブルに並べていく。


「な、なんてヒドイことするの!こんなの、こんなの抗えるわけないよ!」


 木葉は戦慄した表情をしつつも神速で席に着き、残りの2人にも席に着かせると晩餐を催促した。後の事(カロリー)は後で考える。


 セレスタはまるでスイッチが切り替わったかのような柘榴の丁寧な対応に目を白黒させるが、目の前に並ぶ罪深い供物の誘惑には抗えなかった。


『美味しい!甘くて美味しいですわ!この世界にはこのようなものがあるのですね。感激ですわ!』


 悪魔(カロリー)の存在を知らないセレスタが無邪気に喜びながら、上品にではあるが勢いよくパクパクと平らげていく。


 出された供物を全て供した後で邪悪(柘榴)により摂取した魔力(カロリー)を聞かされて乙女たちが発狂する一幕があったがお腹を満たして人心地ついたところで柘榴が話を切り出す。


「マスター、明日は私が真田幸村と話をしておきますのでセレスタを連れて探索してきてください。探索用ざくろちゃんを渡しておきます」


 そう言って柘榴はざくろちゃんを取り出して木葉に渡すが、受け取った木葉は違いが分からず困惑していた。


「あ、うん。いつものと違うの?」


「はい。可愛いです」


「………なんて?」


「可愛いです。いえ、いつも可愛いのですが」


「いつものざくろちゃんでよくない?」


 探索用ざくろちゃんは木葉の言葉にガーンとショックを受けて落ち込んでしまった。


「そうですか…。探索用ざくろちゃんは頑丈なのでタンクとして活躍が出来るのですが、仕方ありませんね」


「そっちの情報の方が重要じゃない!?」


 柘榴の分身のようなざくろちゃんも当然のごとく自尊心が高いので、自分を認めてくれた依和那に飛びつく。


「ごっ!ぐおっ!」


 探索用ざくろちゃんの頭が腹にめり込み苦悶の声を漏らし、総金属の重量が掛かり腰にダメージが入ったことで乙女が上げてはいけない声が出る。


 床に沈んだ依和那を前にざくろちゃんがオロオロする。邪悪な本体よりは良心がありそうだ。


「ま、まあ、あたしたちタンク役はいないから探索用ざくろちゃんは借りていくね。あ……そういえば、セレスタさんは戦ったことはあるの?」


『ええ。わたくし達は子供以外の全員が戦闘を出来るように身分を問わず鍛えられていたので戦いは出来ますわ。わたくしは精霊魔法と補助で弓がつかえますの』


「わあっ!テンプレなエルフのスタイルだね」


「テンプレ?」


「マスター、テンプレは誉め言葉ではありませんよ……」


 よくあるファンタジーにでるエルフの戦闘スタイルに目を輝かせて率直すぎる感想を口に出すが、セレスタは頭に疑問符を浮かべ、柘榴には呆れられた。


「テンプレはともかくセレスタの素質を観てみましょうか」


 柘榴はそう言って本人が承諾する間もなく鑑定してしまう。


セレスタ=ストアラス

184歳

クラス:精霊射手

レベル:74

魔力:239

力:C

知力:C

精神:B

速さ:C

器用さ:B

スキル:射撃 精霊魔法 隠密 必中 俯瞰


「どう考えても射撃がメインではないですか。パブリチェンコとでも名乗った方が良いのではないですか」


 どう見ても弓が補助ではなく主力の素質とスキルにしか見えなかった。


「普通にあたし達より強いね。しかも後衛だよ。さらにはファンタジーな長寿だよ!」


「もー、落ち着きなさい。でも、これでパーティらしくなるわね」


 思わぬ形で念願の後衛が加入して2人は抱き合って喜び、セレスタは歓迎されていることに安堵した。


 まだ、この世界で知っている人間がこの2人(+1体)しかいないので、必要とされないことは死活問題になりかねない。


 実際に木葉と依和那が探索に役立たなくてもセレスタを簡単に見捨てることはないだろうが、金銭的甲斐性はともかく未成年故の社会的制限が付きまとうので、やはり厳しい立場には立っていたかもしれない。


 しかし、木葉に有用であれば柘榴が力を貸すだろう。隔絶した暴威を見せつけた柘榴は直接力を振るわなくても、味方につけているという事実だけで様々な事への抑止力になる。


「ふむ。これなら………セレスタ、これを使いなさい」


 柘榴は宝物庫からレミントンっぽいものと新宿の掃除屋が使ってそうなものを手渡した。


『?』


「銃刀法違反!?」


 銃を知らないセレスタは疑問符を浮かべていたが、依和那はファンタジー台無しの光景以前に犯罪であることに思わず突っ込んでいた。


「スナイパーライフルがシェキナー、拳銃がタスラムです。魔術・魔法を弾として撃つもので、実弾を撃つものではありません」


「そっかなら………いいのかしら?」


「銃刀法上の鉄砲とは金属製弾丸を発射する機能を有する装薬銃砲及び空気銃のことですから、実弾を撃つ機構がないこれらは銃刀法にはあたりません。撃鉄は飾りですし。ただし、これを使って脅したりした場合は別の犯罪で御用になるようですのでご注意ください」


 パーティメンバーが増えた時用の装備を創っていた時に、色々ギルド職員に聞いていた知識で答えると2人は納得した顔をした。因みに、この時ギルドの人間達に物欲しげな顔をされたが、さすがの柘榴も装備関連を創るのは手間がかかるのでガン無視した。


「そうなんだ~~~」


「ええ。そもそも銃刀法を言い出せば、お2人のナイフや剣が既に対象です」


「「………そうだった!!」」


 探索者にとって刃物があまりに身近であったため、失念していた2人は思わぬ指摘を受けて面食らった。


 驚いている2人を尻目に柘榴はセレスタに2丁の魔銃の使い方を説明して、丈夫な探索用の服を渡していた。


法律の記述がありますが、ガバ解釈なのでフィクションとしてみてください。

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