第22話 ゴーレム、至高を魅せる
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光が治まり、あたりを見ることが出来るようになると、周囲の光景は一変していた。
広い部屋の隅には荘厳な彫刻が並び、神聖さすら感じるような場所だった。
手前に側には大きな扉があり、今は固く閉ざされているようだ。ここが出入口であろうか。
奥は奇妙な模様が天井、壁、床を這いまわり神聖さを感じる空間の中で唯一異質さがあった。
そんな光景にほとりを含む4人はあっけにとられていた。ドローンの先の視聴者もCGを疑ったり、場所の特定をしようとしたり、考察したりと混沌としていた。
この場を見ている全ての人間が状況を把握できない中、どこからともなく見下したような声が響く。
「鵺が倒されて転移が発動したと思えば、随分と貧相な者どもだな。本当に貴様らが鵺を倒したのか?」
木葉達が声の方を向くが誰もおらず、声の出所を探し視線を巡らせると空中に羽の生えた男が浮いていた。
「天使?」
金色の長髪に整った顔、トーガのような衣に猛禽の翼、それは人が想像する天使そのもののような存在だった。
「答えよ人間。貴様らのような雑魚共がどのようにして鵺を倒して見せた?」
不愉快そうな表情で高圧的に問いかける天使の威圧に、恐怖で身体を縛られた4人は声を発することも出来ずただはくはくと口を動かすことしかできず、身動きすらできなかった。
「この程度の雑魚に鵺が倒されたということは信じられんが、事実として鵺が死んで転移が発動している。貴様らごとき虫けらの魂では到底釣り合いが取れん……が、無いよりはましか。せいぜい我を不快にさせた罪を後悔しながら死ぬがいい」
「そ、そんなのはダメ」
このままでは殺されることを全員が意識に刻まれていたが、どうしても体が動かせずーーー否、恐怖に身を震わせながらも木葉が意志で無理矢理に身体を動かして皆の前に出ようとする……が、その肩を柘榴が掴み歩みを止めさせる。
「マスター、下がってください。後のことは任せてくださいと言ったではありませんか」
「柘榴……柘榴でも危ないよ?あの天使の人、多分すごく強いよ。あたしじゃ全く戦える気もしないくらい」
「ふっ、マスター。至高の私が、あんな自らの世界すら守護れなかった負け犬……失礼、負け鳥ごときに負けるとでも思っているのでしたら、貴女の柘榴を過小評価しすぎというものです」
地を這う下等生物に侮辱された天使は、怒りに顔を歪め柘榴を睨みつける。
「劣等種ふぜいが神族たるこの我アーロスを鳥などと侮辱するとは万死に値するぞ!貴様は魂が擦り切れるまで永劫に嬲ってやるぞっ!」
そんなアーロスの怒りなどどこ吹く風で、テーブルセットを取り出して木葉に紅茶を入れ始めた柘榴を見て、恐怖が呆れにとって代わった西田中、依和那、ほとりの体から力が抜けへたり込む。
完全に無視されたアーロスは屈辱と怒りに身体を震わせ、柘榴に手に持った錫杖を向ける。
「貴様っ!我を虚仮にする不敬を後悔せよっ!ディヴァインレイっ!」
錫杖から放たれる光線を、柘榴は宝物庫から取り出していた11枚の狼とキツツキの描かれた白磁のような美しい盾を自在に動かして受け止める。
「ファ○ネルッ!?」
「聖盾アンキーレ、紅茶を振舞い終わるまで防いでいなさい。ーーーふふん、皆様が余計な緊張にさらされて喉が渇いたであろうと見抜き、気遣って見せる。メイドとしても出来る至高の私なのです!」
「うん。気の使い所を間違ってるよ。それも盛大に」
「エナジードリンクの方がよろしかったですか?」
「そこじゃないよ……なんで、三本傷のドリンクを取り出してるの!?」
先ほどまでの緊張感は何処へ行ったのか、呆れたように木葉が突っ込み、他の3人も頷く。とはいえ、確かに緊張で口の中がカラカラに乾いていたので、紅茶も三本傷のドリンクもありがたくいただく。
その間もアーロスはけなげに光線を分散させたり、威力を高めてみたりと攻撃を繰り返していた。
「はあはあは、貴様は何なのだ!どこまでこの我を虚仮にするつもりだっ!」
「ふっ、どこまでもですが?先ほども言いましたが、自らの世界すら守護れなかった者が何を偉そうにしているのでしょうか。しかも、神族とは言ってみても、深層程度の能力しか持たない最下級神族ではないですか」
「なっ、何故……」
「おおかた深層にも到達できていないこの世界の人類の実力であれば、この世界を乗っ取って元の世界の代わりに出来るとでも思いましたか?先ほどの鵺はダンジョンが生み出したものではなく、殺した探索者達の魂を使って生み出したのでしょう?これまでせこせこと造ってきた他の魔物たちを、全て出してもいいのですよ」
「貴様っ!」
地上の人類であれば知るはずもないことを言い当てられてアーロスは狼狽するが、それ以上に柘榴に対して得体の知れなさを感じ取り切り札を切ることを決めた。
「貴様の挑発に乗ってやろうではないかっ!来たれ僕ども、サモン!」
アーロスが錫杖を背後の奇妙な模様がある方に向けて唱えると、模様が明滅し、まるで脈動するように蠢き始める。やがて模様から影が溢れだし一角を覆い、影がまた模様の中に消えた時そこのは無数の魔物たちの姿があった。
オークロード、アースドラゴン、ゴブリンキング、ミノタウロス、バジリスクや木葉のトラウマであるオピオタウロスと見渡す限りすべて下層級の魔物たちであった。
「う、うあ」「多すぎるわ」「くそっ」「せっかく助かったのに、ここで終わりなのかな」
柘榴が優勢になっていて未知の情報ばかりだけであったため、成り行きを見守ることしか出来なかったが、木葉達は聞いたことがある魔物から未知の魔物まで、見渡すばかりの強力な魔物の群れに戦っても生き残る未来が見いだせず震える。
「どうだっ!私が生み出した全ての魔物どもだ!いかに貴様の盾が優れていようとも、この数を防ぐことなど出来はしまい!行けっ、皆殺しにしろっ!」
アーロスが勝利を確信して魔物に号令を出した瞬間、
「それでは至高をお見せしましょう!放射ー金剛ー死棘ー全方ー極大」
柘榴より前の空間に全方位から無数の金属のような錐が生えて、魔物たちの集団を貫き、千切り、磨り潰して蹂躙しつくした。
「ぬぉおおおおっ!」
錐に襲われるのはアーロスも例外ではなく、なりふり構わず回避をするが全てを避けることが出来ず、右羽と右腕をえぐり取られて地に落ちた。
「ぐはっ」
アーロスは初めの威厳が見る影もなく、己が見下していた人間と同じ地を這う存在となり果てる。
たった一撃の魔術であれだけいた魔物の群れも殆どが死に果て屍を晒し、わずかに虫の息となったものが残るだけとなっていた。
「すごい……」
「これほどまでなんて……」
「すげえ光景だな」
「お姉さま///」
木葉達も柘榴が強いことは分かっていたが、想像以上であったことの驚きが隠せず、ついでに約1名が何かに目覚めていた。
アーロスが身を起こしたところに、柘榴が投げた数枚のカードが突き立つ。
「起動」
カード自体の傷は僅かであったが、柘榴の文言によってカードから発生した劫火がアーロスを呑みこみ全身を焦がす。
炎が消えると錐の魔術によって付けられた傷に加え、劫火によって焼死体と見まごうべき有様になっていた。
「がっ、ぐぅ、ばかな、我の大望がここで終えるのか……くっ、殺せ」
己の攻撃が通じず頼みの数の利も壊滅し、もはやまともに動くこともままならないダメージを受けて、この場での勝利を見いだせなくなったアーロスは足掻くよりも次の機会を伺うことに決めて、この度の敗北を受け入れる。
「貴方がくっころするのですか!?」
「??なんのことだ?」
柘榴が変なところで衝撃を受けるが、もちろんアーロスが何のことか分かるはずもなく首を傾げる。
「はあ、詰まりませんね。では殺して差し上げましょうか」
「ふんっ。さっさとするがいい」
膝をついて大人しく己の死を受け入れるアーロスに、宝物庫から取り出した特徴のない槍で胸を貫く。
「ああ、そうだ。この槍には【無名の槍】という銘があります」
「がふっ。なんのことだ?」
胸を貫かれ血を吐きながらもア××スは、柘榴が唐突に槍の銘などを語り始めたことに疑問を持つ。
「ところで貴方は自分の名前を言えますか?」
「?なにを言って……我の名はア××ス……!!!なんだとっ」
己の名を言うことが出来ずに驚愕を顔に浮かべ、原因として考えられる唯一の存在である柘榴を見上げる。
「このダンジョンの中でなら、ダンジョンと繋がっている貴方は記憶を保持したまま復活ができるでしょう。それを見越していわゆる死に戻りを想定していたのだと思いますが、私がマスターの害となるような存在を残すはずがないでしょう」
ただひたすら冷たく響く柘榴の言葉に、ア××スはただ恐怖に震えながら、耳を塞ぐことも出来ず聞きたくない事を聞き続ける。
「ですので、貴方達神族の力の源泉、神名を壊して消滅していただきます。名を無くす。故にこの槍は、無名の槍なのですよ」
「ばか……な。返……せ、我の名を……かぁえせぇえええええっ!」
槍が刺さっているにも拘らず、必死の形相で突進してくるア××スを槍を上に振り上げてア××スを宙に放り投げて落下してきたところでーーー額を刺し貫いた。
「ぁ……」
額を貫かれた××××は目から生命の光を消して、光の塵になって消滅していった。
作者:今回は1章クライマックスなので強めの魔物を多数借りに来ました
魔物屋:モブ魔物ね。オークロードやミノタウロスとか他にもいるよ
作者:有名どころがたくさんいますね。このあたりの子達は予約で埋まっているんじゃ?
魔物屋:あっちは魔物界のハリ○ッドスターだよ。今いるのは一般通過魔物さ
作者:一般通過魔物ぉ!?そんなの区分けがあるのっ?
魔物達:('◇')ゞ
作者:精悍な奴らだな。おっ、オピオンもいるな。
オピオン:(`・ω・´) b
作者:気合入っているな。皆、任せたよ
魔物達:('∧')ゞ
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作者:み、みんなぁああああ




