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9 王立学院に入学です

大門を出たら少し離れた所に騎竜が着陸した。

「わあっ、竜騎士だ。」

サララちゃんがはしゃいでいる。

「ナャン?」

「私も竜に乗って空を飛びたいな。」

「ウニャニャ(吾輩に乗るのは嫌なのか)?」

「勿論シロが一番だけど、空も飛んでみたい。」

「・・・・。」

何か思い出せそうな感じ。

う~ん。

思い出した。

「ナャン!」

「どうしたの?」

「ナャンニャン。」

少し離れた所まで走る。

サララちゃんも遅れずに走っている。

速度を上げるがサララちゃんはさらに速度を上げて並びかけて来る。

「ナャンニャン(負けて堪るか)。」

さらに速度を上げる。

疲れた。

2人とも草の上に寝転んでいる。

「久しぶりにしたら、走りっこも楽しいね。」

「ナャン。」

あれ、なんか思い出した筈なのに何だったっけ。

まあいいか。

屋敷に帰った。



思い出した。

「ニャンニャン。」

サララちゃんを誘って王都の外に出た。

少し離れた所で魔法を発動する。

“飛行”

体が浮いた。

重心を変える事で方向転換が出来る。

「凄い凄い。」

「ナャン(当然だ)。」

「教えて教えて。」

「ナャン。」

何時ものようにサララちゃんの手を取る。

魔法操作の構成をサララちゃんの魔力流に送り込んでいく。

サララちゃんは器用なので魔力構成をすぐに覚えて自分用の術式を組み立てる。

“飛行”

サララちゃんの体が浮く。

動き始めたとたんに引っ繰り返って落ちた。

「えへへ。」

失敗した時に笑って誤魔化すのはサララちゃんの癖。

“飛行”

”飛行“

”飛行“

4回目にはかなり様になっている。

魔力消費が多い魔法なので普通の人間には1回でも無理。

でもサララちゃんの魔力量なら何回発動しても全く問題は無い。

1日練習したら普通に飛べるようになったがさすがに疲れたようで屋敷に帰った時には侍女のモモに心配された。

ちなみに盗賊に捉まっていた3人の子供達はフリューゲル家で雇う事になった。



12歳の秋、サララちゃんは王立学院に入学した。

全員が寮に入ることになっているが、体調不良で入学式を欠席したことになっているので初日は屋敷からの登校。

寮の部屋は侍女のモモが指揮して既に整えたらしい。

吾輩は中型従魔扱いなので教室や食堂には入れないが、従魔の首飾りを着けていれば建物外は自由だしサララちゃんの寮にも入れる。

サララちゃんが教室に入ったのを見届けて学校探検。

王都の東門近くにある学院は結構広い。

大きな建物が沢山あるし、広い競技場や運動場、馬場や厩舎もある。

隣接している街壁との間には結構大きな森や薬草園、川も流れているし大きな池もある。

従魔棟に行くと、大型魔獣達がいた。

「ニャンニャン!」

「オゴゥゴグ。」

「ゴモゴモ。」

「ガウガウ。」

みんなが寝そべって腹を見せている。

折角なのでお腹を撫ぜてやったらみんな喜んでいた。

気持ちよさそうな木陰を見つけたのでお昼寝。

気が付いたら夕方だったので先に寮に帰った。



「ただ今。」

「お帰りなさい。」

サララちゃんが帰って来た。モモがお出迎え。

吾輩は居間のソファーで夕寝してた。

「シロ、ただ今。」

「ナャン。」

「はい、お土産。」

サララちゃんがクッキーをくれた。

モモがすぐにお皿を持って来てクッキーを乗せてくれる。

前足で掴んで口に入れると、ほろりと崩れて良い香りと甘みが広がる。

「ナャンニャン。」

「気に入ったみたいね。食堂で売っているクッキーで生徒にも大人気なのよ。」

「ナャン。」

これなら人気が出る筈だ。

学院の食堂、侮れないぞ。

「お友達も出来たのよ。今度紹介するね。」

「ナャン。」

サララちゃんが楽しそうなので吾輩も嬉しくなる。

「明日の午後はグラウンドで魔法実習だからシロも見においで。」

「ナャン。」



グラウンドにサララちゃん達がやって来た。

「シロ、おいで。」

呼ばれたのでサララちゃんの元に走る。

「シロよ、宜しくね。」

「ナャァ~。」

「可愛い。」

「綺麗。」

「ナャン(当然だ)。」

少し胸を張った。

「ねえ、触っても良い?」

「シロ、触らせてあげても良い?」

「ナャン。」

「良いって。」

「凄い。サララは猫とお話が出来るのね。」

「小さい時から一緒だから何となく判るの。」

「わあっ、気持ち良い。」

吾輩を撫ぜた女の子が嬉しそうに声を上げる。

「私も。」

「私も。」

次々と触りに来るがみんな優しく触ってくれるので気持ちが良い。

「ナャ~ン。」

「フン、たかが猫ではないか。」

取り巻きを連れて偉そうにしているガキが吾輩を睨みつける。

「シャァ~!」

睨み返して軽く殺気を飛ばした。

「ひえっ!」

ガキと取り巻き2人が座り込んでしょんべんを漏らしている。

「ダメよシロ。こんなんでも一応は王子なんだからね。」

「こんなんでも、・・・。」

「一応って、・・・。」

「王子って呼び捨てかよ。」

生徒達が小さな声で呟いている。

「ナャァ。」

サララちゃんに怒られたのでお詫びに浄化魔法を掛けた。

何が起こったのか判らないようで王子達がキョロキョロと周りを見回していた。


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