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ぼくとお父さん  作者: 青野 乃蒼
第一章

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第八話 自己紹介

「入団希望の三年生?」


 迫りくる恐怖に戦慄(わなな)きながら、僕は何とか返事をした。


「そうです」


「じゃあ、リュックをあそこに置いて戻ってきて」


 強面のおじさんが指差す先には、野球道具やら個人の荷物やらが横一列にずらっと並んでいる。

 野球部って感じだなと思い、緊張で固くなっていた心が少し和らぐ。


「分かりました」


 言われた通り、走ってリュックを置きに行く。

 列を延ばすように荷物を一番端に置いて、元の場所に戻った。


 僕が戻ってきたのを確認して、強面の人が話し始める。


「よし、これで全員揃ったな。今日から三年生が加入する。

 まず自己紹介してもらおうか、三年生は前に出なさい」


 いきなり大人数の前に立たされ自己紹介までさせられるとは思っていなかったので、身が竦む。

 しかし、呼ばれた以上前に出ないわけにはいかないので、周りの動きを見ながら恐る恐る前に出る。


 他の三年生も同じようにゆっくりと前に出ている。いささかゾンビのようだ。


 身長順に横一列で並ばされ、低い方から挨拶することになった。

 七人が前に並んだ。僕は二番目だ。


 トップバッターの子はまるで入学してきた一年生のように背が低い。

 その子は身長に比例した小さな声で名乗った。

 上級生達には聞こえなかったのか、まばらな拍手までに少し間があった。


 拍手の音が止む。反対に、僕の心臓は止まることを知らぬ暴走機関車の如く早鐘を打っている。

 口から何か出てしまいそうだ。


 勇気を振り絞り、意を決して一歩前に出る。震える手がばれないよう、両手をぎゅっと握りしめる。

 そして大きく息を吸い込み一息に言った。


立花(たちばな)翔です! よろしくお願いします!」


 一人目の子と声の大きさに差があったからか、上級生が少し驚いた顔をしていたが、みんな拍手で迎えてくれた。


 何とか無事に挨拶できて良かった。

 大仕事を終え安堵すると、急に体が軽くなるのを感じた。

 緊張で全身に力が入っていたようだ。溜まっていた熱も幾分放出されていく。


 それにしても、自分で言うのも何だが良い挨拶ができたのではないだろうか。

 自分を褒めてやろう。

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