第二十二話 メンバー入り
淡紅色の花びらが風を受けて至る所で舞い、人々の心を癒してくれるこの季節。
僕は一つ学年が上がった。今日から五年生だ。
迎えた最初の練習日。
前の六年生は、僕たちが進級する少し前に退団しているので、新チームで練習するのは初めてではない。
最初に感じる寂しさや新鮮さは、慣れによってほとんど感じなくなってきている。
練習メニューも今までと特段変化はない。いつも通り淡々とこなしていく。
しかし、今日はみんなそわそわしているように見える。
かく言う僕も、なんだか落ち着かない。
気にしなくても大丈夫だと自分に言い聞かせてはいるけど、どうしても意識がそちらに向いてしまう。
何とか練習を終えた一同は、期待と不安でいっぱいの中整列し、監督が告げるその瞬間を待っている。
「全員揃っているな。よし、ではこれから新チームのベンチ入りメンバーを発表していく。まずはスタメンの九人から。ポジションと名前を言うから、呼ばれたものは返事するように」
固唾を飲んで見守る中、一人ずつ名前が呼ばれていく。
「――以上、この九名がスタメンだ。続いて、ベンチ入りする十一名を発表する。名前だけ言うからな」
スタメンは予想通り、九人全員が六年生だった。もしかしたらスタメンに選ばれるかもしれないという、一抹の期待はあった。でも、その淡い期待が潰えた悲しみよりも、同級生がスタメンに選ばれていない安堵の方が大きかった。
監督はすらすらとベンチ入りメンバーを発表していく。六年生全員の名前を告げた。残る枠は五人。
この枠を五年生以下で争うことになる。何としてもベンチ入りしたい。
僕は祈るような目で監督を見つめる。
「――立花翔」
呼ばれた! やった! しかも五年生で最初に呼ばれた!
叫びたい気持ちを何とか心の中だけに留め、威勢よく返事をした。
「――赤羽烈」
「はい!」
僕の次に烈が呼ばれた。烈がいる方に顔を向けると、烈もこちらを見てきた。
烈は満面の笑みで、こっそりピースサインを出してきたので、僕もこっそり返した。
「――以上、二十名がベンチ入りメンバーだ。ただし、これは現時点で判断したに過ぎん。実力に応じてメンバーは変えていくつもりだから、選ばれた者は気を引き締めろ。選ばれなかった者は、より練習に励みメンバーの座を奪え」
「はい!」
歓喜と悲哀の入り混じる乱れた空気が、一瞬で引き締められた。
監督の言う通りだ。僕だってベンチには入れたけど、試合に出られると決まったわけじゃない。
下手をすると、ベンチ外になる可能性だってある。
もっと練習して上手くなろうと、緩んでいた心を引き締めた。




