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ぼくとお父さん  作者: 青野 乃蒼
最終章

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22/29

第二十二話 メンバー入り

 淡紅色の花びらが風を受けて至る所で舞い、人々の心を癒してくれるこの季節。


 僕は一つ学年が上がった。今日から五年生だ。


 迎えた最初の練習日。

 前の六年生は、僕たちが進級する少し前に退団しているので、新チームで練習するのは初めてではない。

 最初に感じる寂しさや新鮮さは、慣れによってほとんど感じなくなってきている。


 練習メニューも今までと特段変化はない。いつも通り淡々とこなしていく。

 しかし、今日はみんなそわそわしているように見える。


 かく言う僕も、なんだか落ち着かない。

 気にしなくても大丈夫だと自分に言い聞かせてはいるけど、どうしても意識がそちらに向いてしまう。


 何とか練習を終えた一同は、期待と不安でいっぱいの中整列し、監督が告げるその瞬間を待っている。


「全員揃っているな。よし、ではこれから新チームのベンチ入りメンバーを発表していく。まずはスタメンの九人から。ポジションと名前を言うから、呼ばれたものは返事するように」


 固唾を飲んで見守る中、一人ずつ名前が呼ばれていく。


「――以上、この九名がスタメンだ。続いて、ベンチ入りする十一名を発表する。名前だけ言うからな」


 スタメンは予想通り、九人全員が六年生だった。もしかしたらスタメンに選ばれるかもしれないという、一抹の期待はあった。でも、その淡い期待が潰えた悲しみよりも、同級生がスタメンに選ばれていない安堵の方が大きかった。


 監督はすらすらとベンチ入りメンバーを発表していく。六年生全員の名前を告げた。残る枠は五人。

 この枠を五年生以下で争うことになる。何としてもベンチ入りしたい。


 僕は祈るような目で監督を見つめる。


「――立花翔」


 呼ばれた! やった! しかも五年生で最初に呼ばれた! 

 叫びたい気持ちを何とか心の中だけに留め、威勢よく返事をした。


「――赤羽(あかばね)烈」


「はい!」


 僕の次に烈が呼ばれた。烈がいる方に顔を向けると、烈もこちらを見てきた。


 烈は満面の笑みで、こっそりピースサインを出してきたので、僕もこっそり返した。


「――以上、二十名がベンチ入りメンバーだ。ただし、これは現時点で判断したに過ぎん。実力に応じてメンバーは変えていくつもりだから、選ばれた者は気を引き締めろ。選ばれなかった者は、より練習に励みメンバーの座を奪え」


「はい!」


 歓喜と悲哀の入り混じる乱れた空気が、一瞬で引き締められた。


 監督の言う通りだ。僕だってベンチには入れたけど、試合に出られると決まったわけじゃない。

 下手をすると、ベンチ外になる可能性だってある。

 

 もっと練習して上手くなろうと、緩んでいた心を引き締めた。

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